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2005/11/19

直径2mm、0.7gの側座核を使え

来週から、秋学期の期末考査が始まる。

この秋学期はなんと言っても最大の行事を乗り越えながら、自分の進路の方向性を定めるという非常に大きな学びがあった。この学びは、その場だけでなんとかやってしまうことはできない。三年間の少しずつの学びが積み重なってできるというものである。

提出物一つにとっても、期日に何事もなく出せる人もいれば、一週間も十日もほったらかしにして怒られてやっと提出する人もいれば、提出したと思ったら鉛筆書きであったり、判子がなくて再提出しなければならない人もいた。おかしな所を注意されたらきちんと直してきた人と、適当に誤魔化してきたととでは、この時期の乗り越え方が全然違ったであろう。

当たり前のことだが、努力を重ねてきた人とそうでない人の結果が同じ訳がない。心しなければならない。残り少ないテスト勉強の時間を有意義に過ごそう。

やる気を十分に持って望んでほしい。

                   ◆

しかし、この時期になっても「やる気」がでてこない人もいるようである。保護者会などでも
「先生、うちの子どもやる気がないんですけど、どうしたらやる気が出るでしょうか?」
などと相談されることがある。以前なら、
「やる気は本人の問題ですからねえ」
と答えにならない答えしか言えなかったのだが、最近の脳科学の発達は、やる気も解明しつつあるらしい。

実は、やる気を出させる魔法の言葉がある。その魔法の言葉は、

とにかく、まずやってみよう

である。
科学的にはこれしかないらしい。なぜだろうか。やる気を司(つかさど)っているのは大脳の中に左右一つずつある直径2mm、0,7gの「側座核(そくざかく)」という部分である。この「側座核」は、刺激を受けることで「やる気」というホルモンを分泌するという。つまり、ある程度の刺激を与えないと、やる気は生まれてこないのだ。ただ、ぼーっと過ごしていてもやる気は生まれてこないのだ。

たとえば、親にさんざん言われて仕方なしに机の周りの片づけをはじめるとする。はじめたときには嫌々だったのに、事が進んでくると熱中して思っていた以上に片づけてしまったという経験はないだろうか。これが、やる気の構造なのである。

そうだとすれば、「とにかくまずやってみよう」という言葉を受け入れることである。この言葉を親や先生に言われて受け入れることが第一段階。最終的には自分でこの言葉を自分に向けてつぶやき、スタートを切るのである。これこそが、やる気を出す第一歩なのである。

                   ◆

「好きこそ物の上手なれ」ということわざも、このやる気に関連している。脳の仕組みでは、扁桃核という部分がこれに関連している。この部分は自分の目的を「好きか嫌いか」で判断して行動に移そうとする部分である。好きなことは楽しくやり、嫌いなことはやらない。この扁桃核を活発にするには、ちょっと生理的な危機状態に置くと良いらしい。ちょっとでいい。頭寒足熱のように頭を冷やすとか、空腹状態を作るとかである。それで好きなことをやると良い。

で、好き嫌いだけで動かないように記憶に則って動くことも脳は考えている。それが海馬という部分である。自分の経験で良かった部分に従って動くのである。だから、今までの学習で成果のあったところから、その先を行うと効率がよいのである。

                  ◆

当たり前のことだが、努力を重ねてきた人とそうでない人の結果が同じ訳がない。

だから、やる気を自分で作り出して、この週末を充実した学びで満たして欲しい。

君たちの努力が学力の向上と人間的な成長に結びつくことを、願っている。

頑張れ。

(教科通信「志学」 NO. 34 より)

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コメント

 私も中学校の国語科教師です。これからも来ます!よろしくお願いします。

kazukitomidukiさん、初めまして。
中学校の国語科の先生が読んでくれるのは、嬉しいです。
よろしくお願いいたします。

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» 051121 やる気を出す! [あいらぶしょうがっこう since 2005]
中学校国語科・学級経営のページ実は、やる気を出させる魔法の言葉がある。その魔法の言葉は、 とにかく、まずやってみよう である。?? 昨日は、久しぶりに天気も良く、気温も上がった。 わたしとしては、土日珍しく一切家から出ることなく過ごした。 妻に、年末の大掃除の時期になると寒いので、できることをしておいてちょうだいと言われた。 普段手の届かない部分の窓ふきだ。 まあ、いつかはやらなければならないのだからということで「自分を奮い立たせて」行った。 「まずはやってみること」 いい... [続きを読む]

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