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2005/11/07

名文を暗記するぞ

二年生は、『平家物語』の那須与一を暗記する。今年度のNHK大河ドラマの『義経』を見ている人にとっては、良く分かる話であろう。以下の部分である。


ころは二月十八日の酉の刻ばかりのことなるに、をりふし北風激しくて、磯打つ波も高かりけり。舟は揺り上げ揺りすゑ漂へば、扇もくしに定まらずひらめいたり。沖には平家、舟をいちめんに並べて見物す。陸には源氏、くつばみを並べてこれを見る。いづれもいづれも、晴れならずといふことぞなき。

 与一、目をふさいで、

「南無八幡大菩薩、我が国の神明、日光の権現、宇都宮、那須の湯泉大明神、願はくはあの扇の真ん中射させてたばせたまへ。これを射損ずるものならば、弓切り折り自害して、人に再び面を向かふべからず。いま一度本国へ迎へんとおぼしめさば、この矢はづさせたまふな。」

と、心のうちに祈念して、目を見開いたれば、風も少し吹き弱り、扇も射よげにぞなつたりける。

 与一、かぶらを取つてつがひ、よつ引いてひやうど放つ。小兵といふぢう、十二束三伏、弓は強し、浦響くほど長鳴りして、あやまたず扇のかなめぎは一寸ばかりおいて、ひいふつとぞ射切つたる。かぶらは海へ入りければ、扇は空へぞ上がりける。しばしは虚空にひらめきけるが、春風に、一もみ二もみもまれて、海へさつとぞ散つたりける。

 夕日の輝いたるに、皆紅の扇の日出したるが、白波の上に漂ひ、浮きぬ沈みぬ揺られければ、沖には平家、舟ばたをたたいて感じたり。陸には源氏、えびらをたたいてどよめきけり。


553字である。今の三年生も去年暗記したところだ。

『平家物語』は、鎌倉時代に文字を読むことのできなかった庶民に、琵琶法師達が語って聞かせた物語である。ここでのポイントは、「語って聞かせる」である。文字を読むことのできなかった庶民でも、文学に触れることができたのである。そして、語り続ける作品であったことが、この作品を鍛え上げてきたのである。

二年生の諸君は、授業で私と一緒に声を出して5回ぐらいは読んでいる。(ま、私は二クラス教えているので君たちの倍読んでいることになるが)もうそろそろ古文の言葉の音が身体に入ってきていることだろう。

こんな少ない回数で身体に入ってくるのは、多くの琵琶法師達が語り続けることで磨かれた文章であるからと言える。言いにくいフレーズは言いやすいフレーズに置き換えられ、覚えやすい決めのせりふが作られ、育てられたのであろう。その文章を覚える。

覚え方として、お勧めなのはペアを作って行うことである。二つやり方がある。


【方法1】

例えば、Aさんが「ころは二月」と言ったらBさんが「十八日の酉の刻ばかりのことなるに、をりふし北風激しくて、・・・」と続けて読むのである。

Bさん役は、「磯打つ波も高かりけり。」と「ころは二月」から始まる一文の最後までを読む。読み終わったら「舟は」とAさんに出題する。これを繰り返す。

【方法2】

Aさんが「ころは二月」と言ったらBさんが「十八日の酉の刻ばかりのことなるに、をりふし北風激しくて、磯打つ波も高かりけり。舟は・・・」と、言える限り続けて読むのである。

で、Bさんが「・・・扇もくしに定まらずひらめいたり。えーと」とつっかえたらそこでストップ。Bさんは、「沖には平家」と出題します。これを受けてAさんが続きを読みます。そして、これを繰り返す。


方法2は、つっかえた数の少ない方が勝ちのゲームにすることもできる。

ポイントは、声に出して読むことだ。800年の時間の流れを感じつつ、覚えるまで読み続けよう。

三年生も思い出しておこう。

(教科通信「志学」 NO. 31 より)

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