『グレンミラー物語』
最初に聴いたジャズは、たぶん、グレンミラーだと思う。
小学校の4,5年の頃に、我が家に初めてLPレコードを聞くためのプレーヤーが来て、私はアニメソングのLPを買って貰った。グレンミラーは、母親が買ったLPであった。
アニメソングにも飽きたとき、グレンミラーを聴いてみた。
(なんだあ、この終わりが分からないのんびりとした音楽の固まりは)
と思った記憶がある。それから、自分から聴くこともなかった。
だが、残っている音楽だったのだろう。
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帰りの電車の小さな楽しみである、映画鑑賞でクリスマスっぽいものを見続けているのだが、昨日は『グレンミラー物語』を見た。
終業式でこの学期を終え、
(ああ、生き残った)
と思いながら、各駅停車の電車に座り、見ながら帰ってきた。
このグレンミラーって男は、非常にわがままであるが天才でもある。また、そのわがままな男に、奥さんが良いアドヴァイスをするんだな。
『スイングガールズ』でも演奏されていた名曲「ムーンライトセレナーデ」が誕生する瞬間や、この曲が独特の「サウンド」を手に入れる過程も描かれていて、良かった。
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こう、なんというか、煮詰まっていきながら、一瞬のひらめきを活かしていくのだが、煮詰まっていることの大切さがよく分かる。煮詰まっているときには、その煮詰まりが辛いのだが、それを突き抜けるたときに感じるのは、その煮詰まりがなかったら、突抜はなかったと言うことだ。
煮詰まりという言い方がしっくりと来なければ、壁にぶつかったときでいいか。その壁をよじ登って行くために、足下に足場を組み立てて最後の最後に、よいしょとその壁を乗り越えるようにする。一気には乗り越えられない。足場を組んでいる状態が煮詰まっている状態といってもいいか。
私の今までの人生にも、書けなかった文字が書けるようになり、歌えなかった歌が歌えるようになり、まとまらなかった原稿がまとまったり、分からなかった前置詞が分かるようになったりする瞬間があった。
今は煮詰まり観があるときは、その次に来るジャンプを期待できるようになったが、煮詰まりは、まあ、つらいやね。
でも、そうやってでしか成功できないのが、人生なんだろうなあとも思う。
『グレンミラー物語』。良い映画であった。
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