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2005/09/15

1回使って、1円

先日、昼休みに廊下を歩いていたら窓の外を眺めている国語係が二人いた。青春の悩みを相談しているのかとも思ったが、それにしてはちょっと雰囲気が違う。
「どうしたの?」
と聞いてみると
「先生、カラスが池で水浴びをしています」
とのこと。
「あのねえ、そういうときは『カラスの行水』って言うんだよ」
と言うと
「え? 行水って何ですか?」
との返事。

(うーむ、国語係がこれではなあ)
と思っていると、
「えー、先生。知らないですよ、行水なんて」
と言われたので、授業で確認してみた。すると、知らない生徒がクラスの1/3いた。そうか、カラスの行水って諺(ことわざ)は、行水から説明しなければ行けないのか。

早速辞書で調べてみた。『大辞林 電子版』

ぎょう ずい ギヤウ 【行水】 →♪[0]
(名)スル (1)(夏の暑いときなどに)たらいに湯・水を入れ、その中で体を洗うこと。[季]夏。「—を使う」
(2)(鳥などが水辺で)水浴びをすること。「烏の—」
(3)潔斎のため清水で体を洗い浄めること。「こよひは、御—も候はで読み奉らせ給へば/宇治拾遺{一}」

というわけである。しかし、今度は「たらい」が分からないかなあ。

たらい タラヒ【盥】 →♪[0]
〔「手(テ)洗い」の転〕水や湯を入れて、顔・手足を洗うための丸くて平たい器。現在では多く金属製・プラスチック製で、洗濯に用い、洗面器などより大きいものをいう。「洗濯—」「金—」

ここまできたら、カラスであろう。

からす【烏・鴉】 →♪[1]
(1)スズメ目カラス科の鳥のうち、大形でくちばしが大きく、全体に黒色のものをいう。日本ではハシブトガラスとハシボソガラスが全国に普通。全長五◯〜六◯センチメートルで、羽には光沢がある。田園や人家近くにすみ、雑食性で何でも食べる。古くから、神意を伝える霊鳥とされたが、現在は凶兆を告げる鳥と考えられることが多い。

(2)〔カラスの性質に似通うので〕(ア)口やかましい人。(イ)物忘れのひどい人。(ウ)意地汚い人。(エ)うろついている人。「旅—」
—が鵜の真似
「鵜の真似をする烏」に同じ。
—に反哺の孝あり
〔「小爾雅{広鳥}」より。烏が成長ののち、親鳥の口に餌を含ませて養育の恩に報いるということから〕子が親に孝行することのたとえ。
—の頭白く馬角を生ず
「烏の頭(カシラ)白くなる」に同じ。「烏の頭の白くなり、馬に角のおいんずる其期もいつと知り難し/保元{下}」
—の頭白くなる
〔秦(シン)に捕らえられていた燕(エン)の大子丹が故国に帰りたいと申し出たとき、秦王が、烏の頭が白くなり、馬に角が生えたら許してやろうと言ったという「史記{刺客列伝賛注}」などの故事から〕ありえないことのたとえ。烏頭変毛。
—の行水
入浴時間の短いたとえ。
—の雌雄
⇒誰(タレ)か烏(カラス)の雌雄(シユウ)を知(シ)らん
—を鷺
黒い烏を白い鷺だといいはるように、理を非に、非を理にいいくるめること。鷺を烏。黒を白。

というように、言葉の旅は続く。
「カラスの行水」という諺を知らない諸君を嘆いたが、こうやって辞書を改めてみてみると「カラスに反哺の孝あり」という諺は、私も知らなかったなあ。

新しい言葉を調べるにも、知っていることを再確認するためにも、辞書を引く習慣をつけるのは大事だぞ。

ちなみに、辞書は、使えば使うほど安くなるという性質を持っている。3000円の辞書だって、1日1回使えば、年間の1回の使用量は10円以下。3年間続ければ、1回の使用量は3円。1日3回、3年間使えば1回の使用量は、1円です。

使え、使え! 
使えば使う程やすくなる辞書だ。

辞書を友にしよう。

(国語科教科通信 「志学」 NO14より)

2005/09/13

オー

和田中学校は、現在夏学期の期末考査である。
よって、クラブは活動停止中。

クラブ活動の黒板には、
「勉学に励まれよ。テストが終わったら、HPづくりやらをやり、秋の大会に向けて頑張るぞ」
のようなことを書いて置いた。

ただ、これだけでは寂しいので、自分でその後に「オー」と私が書いて置いた。

そして、今日何気なくその黒板を見たら、

「オー」
「オー」
「オー」

と書きまれていた。
こういうコミュニケーションができる生徒は、いいなあと思う(^^)。

2005/09/12

ムツゴロウ流 漢字の学習法

でね、その『ムツゴロウの青春期』なんだけどね、結構良いことが書いてあったんだよ。私が特に影響を受けたのは、「くたばれ受験勉強」というタイトルが付けられた文章だったな。

ムツゴロウさんは、高校三年生のときには勉強することがなくなってしまって、毎日学校に行っては一人でバスケットをして過ごしていたらしいんだ。なんでこんなことになってしまったかというと、彼の独自の勉強方法の成果なんだね。

中学生の君が、小学校の三年生の算数の教科書を見ると簡単に見えるでしょ。この原理を使ってムツゴロウさんは、大学の数学の教科書を高校生のときに解いていたんだ。で、高校二年生のときには、大学二年生レベルの数学の問題を解いていたというのだよ。

このときムツゴロウさんが使っていた本は、高木貞治先生の『解析概論』という本だというので、私も本屋に行って見てきた。中学生の私には当然全く分からなかったけどね。

でもね、この考えはなるほどと思ったね。さすがに数学では無理だろうが、漢字ぐらいならこの考え方を使って勉強するとうまく行くのではないかと思ったのさ。

                   ◆

中学校2年生当時の私は中学校を卒業したらコックになろうと思っていて、高校に行こうとは思っていなかったが、
(ま、どうせ学校の勉強で漢字をやるならまとめてやってしまえ)
と単純に思い、漢字の勉強を始めたのだよ。

本屋に出かけていった私は『漢字に強くなる本』(学燈社)という問題集を見つけたんだ。確か500円でそんなに厚い本ではなかった。見てみると大学受験用の問題集。それを手にした私は
(ま、高校受験も大学受験もそんなに変わらないだろう。大は小を兼ねるだ)
とタカをくくってその問題集を手に入れたんだな。

                   ◆

家に帰ってから早速その問題集をやってみた。
「練習問題」という項目があり、見開き2ページで結構な問題量があったが、私は、
(まあ、なんとかなるだろう)
と根拠の無い自信を持って問題を解き始めたんだな。
ところが、これが笑ってしまうぐらいにできない。忘れもしない最初の問題は、


1) ハクヒョウを踏む思い。

だったが、どんなに頭をひねっても「白票」「白豹」しか出てこない。しかし、これを入れても意味は通じない。
(白豹なんているのか? いたところでしっぽを踏んだら大変なことになるぞ)

恐る恐る解答を見ると「薄氷」と書いてあった。漢字を見れば意味は分かったが、当時の私のボキャブラリーにはこの「薄氷」は無かったんだな。

                   ◆

頭に来た私は(というか、大学受験の問題集が解けなくて頭にくる私も、今から思えばとんでもなくアホだが、このアホさが中学生の成長のエネルギーなんだな)、この問題集を徹底的にやっつけてやれと思ってやったのさ。

どうやってやったかというと、問題集の上端に「正」の印を書きながら何回やったのかを記録し、各問題ごとにも「正」を書いていったんだな。つまり、問題集自体は5回やっていても、漢字のとろが3回しか印が無ければ、その漢字は4回目には覚えていたということを表しているのね。

私は中学生のレベルの漢字は、そのときには13回書けば覚えていたのだが、さすがに大学生レベルの漢字はそうはいかなかったね。でも、分からない漢字が出たら広告の裏側で白いものがあれば、そこに書いて練習して覚えていったなあ。

そのときに、思ったのは
(俺は何回で覚えられるだろうか)
というのではなくて、
(俺は、いったい何回忘れ続けることができるのであろうか)
というものだったんだな。

覚えなきゃと思う変なプレッシャーがかかったが、何回忘れられるかなと思うとなんか楽しくなってしまったのを覚えているよ。結果的には、「正」という字が二つ書かれることはなかったね。ということは、10回は忘れることはできなかったんだな。そのときに覚えたのが、「木乃伊」。みんななんて読むか分かる? 「憂鬱」は書けるかね?

                   ◆

という話を授業でした。実はこの話には続きがある。この『漢字に強くなる本』(学燈社)は、まだ本屋で売っていて、これを買ってきた生徒が去年教えていた生徒にいたのだよ。私は感動したなあ。相変わらず1問目は、

1) ハクヒョウを踏む思い。

であったよ。

さあ諸君、君たちの時代には漢字検定がある。中学生の時代に遠慮せずに3級、2級と取ってしまいたまえ。後が楽になりますよ。

9/20が申し込み締め切りです。

(国語科教科通信 「志学」 NO13より)

2005/09/11

選挙に関する素朴な疑問

夏の終わりと秋の始まりが、
一日の終わりと夕方の始まりが同じ時間の今日この頃

という台詞をラジオから聞いた。
そうだなあと思うこの週末であった。

                  ◆

この週末は原稿を二つ終わらせた。原稿の締め切りが評定の時期に重なるので、前倒しで書いていた。私らしくない計画的な執筆であるf(^^;。

と同時に本も読んだ。いやー、良かった。もうこの人の作品はこれから生まれようも無いので大事に読んでいるのだが、結局我慢できずに読み切ってしまった。
隆慶一郎『鬼麿斬人剣』だ。
いいなあ。

今年の夏に手に入れたハンモックをベランダに張って、そこに寝転びながら読み切った。幸せの時間であった。

                  ◆

で、今回の選挙で疑問がある。

1)箱乗り
2)応援
3)比例候補者名簿

1)選挙演説のときに、車から上半身を出して、更にはお尻まで出して車に乗って演説をしている候補者がテレビで出ていたが、これって道交法違反じゃないか?

2)私は公務員なので、選挙に関わって中立を保つことをさんざん言われる。私もその通りだと思う。だけど、分からないことがある。石原都知事にしても、田中長野県知事にしても、公務員なのに選挙演説、応援をしている。これって違反にならないの? 

ちなみに、お坊さんをやりながら教師をやる先生もなんでいいのかわかりません。公務員はアルバイトをしてはいけないのに。兼業、兼職届けを出しているのかな? 

3)今回の選挙で言うと、比例の候補者名簿はどこかで公表されていたのでしょうか。選挙公報で配られても良いと思うのだが、見たことがない。なんだかなーと思う。

                  ◆

テレビを見ていると今日の選挙は、与党圧勝のようである。が、次の選挙はもっと大きなテーマがくる。そのテーマを伏せて今回の選挙だったと思うのだが、そういう伏線を読もうとする人間を育てることが今までの国語教育でできていたのかと考えると、ちょっと悲しい。

伏線、文脈、隠れた主題。こういうのを読み取る文学教育を手に入れたいなあ。

文学を専門で教えている方、どうでしょうか?

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