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2006/01/24

「見れます」と「見られます」の違いを考える

あんまり大きな声では言えないが、実は私は大学では文法を学んでいた。正式には国語学というのだが、その中でも萩原朔太郎のオノマトペを研究してた。

現在君たちに教えている助動詞は、橋本進吉先生という学者の唱えた日本語文法の考え方に則っている。違う考え方を持っている学者たちもいるのだが、今はこれがスタンダードである。ここはちょっと勉強しただけでは歯が立たないこともあり、入試には出しやすい部分なので、じっくり学んでほしい。

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入試の文法では、助動詞に関する問題が出題されやすいのだが、これはなぜであろうか。ここでは、「れる・られる」という助動詞で考えてみよう。

「れる・られる」という助動詞には、「受身・尊敬・可能・自発」の4つの意味がある。「れる」にも「られる」にもある。これは何を示しているかというと、

・ 形(「れる・られる」)は同じなのに、意味(「受身・尊敬・可能・自発」)が違う

ということを示している。そこで、

・ 同じ形の中に、違う意味のものを紛れ込ませて選ばせる

という問題を作ることが可能になるのである。

                  ◆

さらに、「れる・られる」という助動詞が、「受身・尊敬・可能・自発」の4つの意味を同じように持っているのであれば、「れる・られる」と2種類の単語がなくてもいいようなものだが、実際はある。

なぜあるのであろうか。それは「れる・られる」が、くっつく単語の種類が違うからなのだ。具体的には動詞の活用の種類(五段活用動詞、上一段活用動詞、下一段活用動詞、カ行変格活用動詞、サ行変格活用動詞)が違うのだ。教科書では、

1) 遮られて、
2) 見られます。

と一見同じように見えるものなのに、1)は「れ」に、2)は「られ」に下線が引っ張ってある。これは「れる・られる」の前に来る活用の種類によって違ってくるからなのだ。このくっつきかたのことを、文法では「接続」という。ここが違うのである。表にすると、1


となる。1)は、「遮る」という五段活用動詞の未然形についていて、「れ」の後ろに「て」があるので、この「れる」は連用形ということが分かるのです。2)は、「見る」という上一段活用動詞の未然形について、「られ」の後ろに「ます」があるので、この「られる」は、連用形ということが分かるのです。(って、わかったかなあ。分からない場合はもう一度読んでね)

だから、「見れる」という言い方は、今一般的に使われるようになってきていますが、少なくとも学校で教えている文法を基準にすると、おかしいのです。「見られる」でなければならないのです。こういう「ら」のない言葉を「ラ抜き言葉」といっているわけです。

まとめます。助動詞に関する問題では、助動詞と思われる部分にある棒線部の

1)品詞は何か
2)意味は何か
3)活用形の種類は何か

これらを全ての助動詞について答えられるようになると良いのです。ちょっと大変だけど、頑張れ。

(教科通信「志学」 NO. 41 より)

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