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2006/04/30

学級経営の足並みを揃える是非

ネットワークの最後の講座に、講師達がステージに登り上條さんや会場からの質問を受けるという企画があった。まず、授業成立の基礎として必要な事と思われる4つについて意見を述べた。

これに答えた後、会場からの質問で、小学校の先生が
「学年でクラスの掲示物等を統一しようといことがあるのですが、これは良いのでしょうか?」のような質問があった。つまり、学級経営を統一すべきかどうかということである。もちろん、質問の先生は、反対の意見である。

講師の先生は5人だが、私以外は小学校がベースの先生である。その先生達は学級経営の統一には反対であった。理由は個性豊かなものができない、また、合わせる時は低い方に合わせてしまうからであるというものであった。

私は
『中学校では一般的には合わせます』
と言った。教師のキャラクターの部分や、細かーいところは別にしても合わせる。それは、学級経営も大事だが学年で動いていくという意識が強いからである。また、進路指導や生徒指導でクラスごとにブレがあってはならず、いろいろな先生が授業に来るためクラスごとに運営の基礎が違っているとやりにくいからである。

            ◆

ただ、この学年で合わせるというものにも、いろいろなレベルがある。

1)低い方に引っ張られて合わせられる。
2)高い方に引っ張られて合わせられる。
3)高い方に支え合って合わせ合う。

もちろん、一番良いのは3)である。私の経験では2回ほどあった。ということは、そんなに実現するものではないということだ。

場合によっては、1)がやってられなくて、そこから離反する事もあったし、2)に疲れてやってられないということもあったし、そもそも一緒にするなんて考え方を持っていない学年にも所属した事もある。

しかし、中学校での指導は学年の教員のチームワークが必要であり、クラスだけで解決できる問題はいいのだが、学年で揃えないと解決できない問題の方が多いのである。

            ◆

小学校の場合、学級王国という言葉に象徴されるように、担任がすべてであることが多い。私は小学校の場合、理想的な学級王国はあってもいいのではないかと思っている。それは、隣のクラスは隣のクラスで凄い学級に成長しているのに、子どもたちは(私は、このクラスで良かった)と思えるようなクラスである。これは担任が自分のクラスの一人一人の子どもをきちんと理解しているとういうことからできることである。どのクラスの子どもも自分のクラス、先生が大好きなクラスである。

ただし、自分のクラスだけは良いクラスにしようとか、自分のクラスに問題があっても「私のクラスの問題だから」と抱え込んだり、介入を拒否したりというような「学級王国」になってはまずいと思う。

3)というのは、学年に所属している子どもの実態を分析し、どのような学年に育てようかと考え、方向目標を立てる。そして、そのために学年に所属している先生を中心にして、自分の得意な指導の分野を活かしながら、その方向目標に向かって学級、学年を育てていくというものである。

これが出来ているときは、仕事をしていても充実しているし、子どもたちも生き生きと伸び、問題が発生しても実りある解決をする事が多い。

            ◆

これから小中一貫の学校が増えてくると思うが、この小学校と中学校の学校文化の違いを、お互いの特性として理解して、活かすレッスンは作れないものかと思う。

国語の授業名人の野口先生と

「授業づくりネットワーク2006in大阪」プレ集会 IN 京都が終わった。
関西地区では、はじめての参加で、はじめての講師だったのでどうなるかと思ったが、やっぱりネットワークであった。非常に充実した会であった。

上條さんの、授業成立はどのような前提で行われているのかの分析。赤坂先生のアドラー心理学に基づく学級経営。土作先生の爆笑ミニネタ授業。深沢先生の熱い道徳の授業。野口先生の国語の授業成立の基礎の講座。いやあ、凄かった。

一応、私の『こんな時どう言い返す』方式の生徒指導講座も好評だったようで、講座のアンケートも事務局からの話ではすべて肯定的なものだったとの事。本も完売でした。やった。

            ◆

講座が終わってから懇親会。
私はあまり話をした事がない野口先生の近くに座り、いろいろと質問をさせていただく。
野口先生とは、昨年の授業作りネットワークin福島の時にちょこっと「わくわく授業」つながりでお話をさせていただいたぐらいである。

国語の授業名人の野口先生と直接膝を交えてお話を聞けるのだから、すごいことだ。

で、いくつか禁断の質問をしてしまったf(^^;。

『「うとてとこ」の授業でのここは違うのではないでしょうか』
『先生は、学校現場の教師を(ああ、もうやめたい)と思った事はないのでしょうか』
『今日の授業の前半と後半の作りが違っていましたが、あれは意図的でしょうか』

一つ一つ答えていただいた。
で、思ったのが野口先生と私の父親は同じ年であった。誕生月も同じである。ふーむ。

            ◆

さらに、懇親会参加のみなさんから私の講座のありがたい感想も頂いたり、二次会では赤坂先生とディープな話をしたりと楽しく過ごしました。

今度は大阪で夏に大会があります。
こちらも、楽しみです。

2006/04/29

あどけない話

一日まったく大学に行かなかったのは、今日がはじめてである。先月の30日に京都入りして一ヶ月だから、良く大学に通ったものだ。

今日は高校訪問する予定が流れたので、大学には行かず自宅と近辺で仕事をしていた。
授業作りネットワークの原稿の推敲と、去年から連載しているひまわり社のHPの原稿である。去年が「教育におけるデジタルカメラの活用」ということで、今年が「教育におけるパソコン・インターネットの活用」というテーマである。

カメラは高校時代に白黒フィルムを自分で現像したりしていたし、パソコン通信も比較的早い時代に始めていたが、まさか私がこういう連載をするとは思わなかった。もともと書道のベースがあるので、コンピュータなんかやらないと思っていたんだけどねえ。

            ◆

午後からは、近くの岡崎公園を散策する。疏水の桜はすっかりと葉桜。しかし、大手まりの桜や枝垂れ桜はまだ咲いていた。長いなあ、桜の季節。

市営美術館の広場には、修学旅行の生徒達が集合していた。制服、私服、ジャージ。それぞれの学校の指導によって同じ修学旅行でも随分違うなあと改めて思う。そして、その集団を指導している先生。
(俺も、二年前の楢原中学校の時には、ここにいたんだよなあ)
と改めて思う。

桜が満開の時には一杯だった疏水沿いのベンチも、人はまばら。座って本を読み始めると、鳩がやって来る。
「餌はないよ。私は読書だよ」
と話しながら、寝転がって読書を進める。すると、そこには春の光を受けた葉桜が一杯であった。

そうだと思い出したのは、高村光太郎の詩である。

引用開始 ーーーーーーーーーー

あどけない話

智恵子は東京に空が無いといふ、
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、切つても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山の山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。

引用終了 ーーーーーーーーーー

私も少し、人の生活を取り戻しつつあるかなあと思う。

            ◆

その後、美術館、動物園の入り口まで歩き入る事はせずに、図書館に向かう。
平安神宮の入り口の左側に大きな図書館があるのだ。やっと入れる。

雑誌を確認し、(ここで良い情報を得た)インターネットの環境と、DVDの環境を確認。
十分仕事ができることが分かり、満足満足。

聖蹟桜ヶ丘にいるときは、自宅で外の景色を眺めながらやっていたが、外に出て空気を感じてやるのもいいなあ。

ずっと大学にいて帰ってくるのは、近辺が真っ暗になってからだったから住んでいる町の夕暮れを見る事がなかった。西日の当たる比叡山は若葉がきれい。大阪の方面に沈む夕日も見事だ。

明日のネットワークの最後の準備をするか。

2006/04/27

板書の基礎

授業作りネットワークの7月号の原稿が、ひとまず仕上がった。しばらく時間を置いて、原稿の持っている粗熱が冷めるのを待って、推敲だ。月末の締め切りがあと二つ。なんとか間に合うペースになった。

教職を目指す学生が学習会をしているというので、顔を出す。願書の書き方をちょこっと話す。細かい事だとは思うが、願書の書き方一つでその人の真剣さが伝わると私は思う。手書きの持つ力というのは、それなりに凄いものだと思う。

            ◆

午後は国語科教育法の授業。今日は、教師の声、板書の基礎、メモの取り方の指導の三本立て。だが、メモの取り方指導は、時間切れであった。はあ。

板書の部分は、以下のように行った。

            ◆

1 どこに書くのか

・具体的な場所は?
・板書の内容を見にくくさせる要因は?

2 どのように書くのか

【課題】 実際に書いてみよう 3人を指名

走れメロス     太宰治

メロスは激怒した。
必ず、かの邪知暴虐の王を除かなければならぬと決意した。

学生の実際の板書を確認した上で、

・書く時の構え
・チョークの持ち方
・目安にする文字の大きさ
・黒板に使うフォント
・チョークの種類
  材質と使い分け
  大きさ
  色
・書く時に配慮する事項
・何を書くのか
・黒板の使い分け

 これらを一つ一つ具体的に見せながら説明するので、時間がかかる。ま、大事な部分だから丁寧に丁寧にね。

3 どのくらいの量を書くのか

とやって、最後に課題を出した。

【課題】 国語科の授業における板書計画を捜してくる
     まとめのプリントに記入のこと。コピー不可。

とした。毎週まとめと提出があるので、学生達は大変だと思うが、力を付けてほしいからなあ。
そうそう、奥村先生、あの新潟のスペシャルチョークもきっちり伝授しましたよ(^^)。

【参考】黒板とチョークの歴史 

授業後、研究室で教職希望の学生と、授業の導入についての相談を受ける。そして、土曜日の土作先生の授業を受けるようにと再度勧める。折角だもんなあ。

             ◆

夕ご飯は、きちっと手作り。白身魚のガーリックオイルがけ、舞茸の水餃子、こごみのマヨネーズ和え。白身魚はウマヅラハギ。関東では安価に手に入らない魚。また、こごみはもっと手に入らない。去年の新潟の修学旅行で食べたのが最後だ。

今日のこごみは京都産。京都は広いから色々手に入るのだろう。いやあ、おいしかった。

さあ、明日あさってはネットワークだ。元気が出てきたぞ。おー。

2006/04/26

児童教育学科の起工式

200604261212000
昼から児童教育学科の起工式に参加する。
近くの岩屋神社の神主さんが式を執り行う。

起工式の神事なんて滅多に見られるものではない。もちろん、参加できることもないだろう。新学科のできる一年前に着任した御陰で、こうして起工式にも参加する事が出来た。これから私達の校舎が出来るのかと思うと、素直に嬉しい。

式の流れは、場所を清め、そこに神を呼び、神事を行い、神を戻す。そして、最後にお酒で祝うという流れだ。子どもが見たら、
(なにを良い大人が、こんなごっこ遊びをしているんだ?)
と思うかもしれない。

しかし、分かるんだなあ、これが、大人になると。
懸命に祈りを重ねているという事が分かるんだな。
神様がいるかどうかということがポイントなのではないと思う。
祈りを重ねるために、一つの流れが必要になるのだと思う。それがこの神事なのだろう。

工事を担当する方と昼の食事をしたのだが、面白い事を教えてもらった。
今は、工事の様子を定期的に見てもらうようなプログラムがあるとの事だ。
とくに、建築とか土木の学科がある大学で工事をする時は、同じ学生に定期的に見てもらうプログラムを用意するとの事だ。そのことで、品質の管理にもなるしリクルーティングにもなるのであろう。

「先生もどうぞ見に来て下さい」

と言って下さった。楽しみに見せてもらう事にしよう。

「よのなか」科 ワークシート完成

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昨年度、和田中学校で行った仕事の一つが完成した。
「よのなか」科のワークシートである。
実際に授業で使っているワークシートを使いながら、本にした。

昨年は研究・研修主任をしていたのだが、その中で総合的な学習の時間に関する研究の一環として、この本を出す企画を立てた。

テキストとして多くの学校現場で生徒一人一冊ずつ使われる事を願い、定価を極力下げました。
本務としてこの本の制作に関わり、印税は受け取らないということで、一冊160円に設定する事が出来ました。

私がこの本作りでこだわったところは、「本書の使い方」と「教師用の赤刷り本」の作りです。ワークシートの横に、授業で行う時の目安時間(ここまでに何分かかるか)というガイドを入れました。

学校現場の先生は忙しいので、文章を読むではなく、文章を見るという感じですぐに使えるものに仕上げました。お手に取ってご確認ください。お問い合わせは、こちらにどうぞ。

教員採用試験の二次試験対策

本日は、朝から高校訪問。全部で5校回る。
いやあ、面白い。
中学校の進路指導部と高校の進路指導部ってこんなに違うのか。

高校の進路指導部は、ハローワークと同じ権限を持っているから専門的になるのは分かるが、高校は恵まれているなあと思った。中学校だってやっている仕事は同じだし、中学校の方が切実だと思う。だけど、環境は悪い。進路指導主任を二回やった事のある私はそう思う。

また、校門をくぐっただけで、その学校の雰囲気と言うか、指導にかける熱とかが分かってしまうのも面白い。自分のところはそういう目で見ることがないのだが、見られている訳だ。心しなければ。

            ◆

大学に戻ってからは、教職関係の会議。どうやって学生の支援をするかの会議である。

自慢じゃないが、私が学生時代に就職課にお世話になった事は、一回しかない。
「教員採用試験の一次に合格した時に、二次に向けて面接の練習をするから就職課に来い」
と呼ばれていった時だけだ。

私は、どうも人から何かをしてもらうというのが、ダメだったのであまり関わらないようにしていたのである。ま、今はなんでもしてもらうのが好きだがf(^^;。

で、会議である。
頑張っている学生達をなんとかしてやろうというものだ。
よし、私もできるところをやっていこう。

            ◆

その後、なんとそのセミナーの先生と学生たちと食事をする事に。4回生なのでお酒が入っても大丈夫。うーん、大学だなあf(^^;。
いろいろと話をする。ちょっと凄いことになりそうな話もでる。採用試験に向けて役に立つのなら、一肌脱ぎましょう。

で、その席でセミナーの先生が、
「『こんな時どう言い返す』をみなさん買いなさい」
と指定図書にしてくれていた。
教員採用試験の二次試験対策にぴったりだというのだ。
状況、場面を設定して、こういうときあなたならどう指導しますか?という問題が全国の都道府県で多く出題されているというのだ。

なるほど。そういうところにもニーズがあったか。
全国の大学生協に置いてもらえると嬉しいなあ。
『こんな時どう言い返す』の第二版も出た事だし。

2006/04/25

【再掲】「授業づくりネットワーク2006in大阪」プレ集会 IN 京都 

予定していた参加者数は、現在の段階で予約で越えたようですが、まだ少しだけゆとりがあるそうです。良かったらお越し下さい。今週末です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 多彩な講師陣が授業成立の基礎技術を伝授する!
 「授業づくりネットワーク2006in大阪」プレ集会 IN 京都
  授業成立の基礎技術を学ぼう
                   主催・古都教育サークル 
                   後援・授業づくりネットワーク
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
           
 この度、京都にて全国の有名実践家の先生方をお呼びし、「授業成立の基礎技術」について語っていただきます。「教壇に立ったけど、授業や学級経営の方法がよくわからなくて」、「最近授業も学級経営も何となくマンネリ化してきて、子どもたちの反応が今ひとつだなあ」というお悩みを持たれている先生方!ゴールデンウィーク最初の連休は是非交通至便な京都駅前にて学び合いましょう! お待ちしております。

○日時 2006年4月29日(祝)10:00〜17:10

○場所 キャンパスプラザ京都(JR京都駅より徒歩5分)
http://www.consortium.or.jp/campusplaza/guidance.html

○講師陣
野口芳宏氏 「野口流・国語科授業成立の基礎技術」
深澤 久氏 「道徳授業成立の基礎技術 〜「技術」を支える「哲学」を〜」
上條晴夫氏 「授業成立の基礎技術の必要性」「授業成立の基礎技術−まとめ−」
赤坂真二氏 「学級の状態を分析し処方する」
池田 修氏 「こんな時どう言い返す』方式による中学校生徒指導入門」
土作 彰氏 「ミニネタは授業成立の基礎情報〜授業構造論と開発法〜」
    
○参加費   5000円

申し込み方法
 ■まず事務局の土作までメール、電話、ファックスで「参加希望」と連絡してください。仮予約としてお席を確保の上、追ってご入金方法など詳細をご連絡いたします。

事務局連絡先 
 土作 彰  メール tuttyan@manekineko.ne.jp
 電話・ファクス 0747−53−0282

久しぶりに怪しい雰囲気

引っ越しの準備をする。引き続き本を買う。
聖蹟桜ヶ丘には三軒の本屋がある。それぞれ特徴があるので、同じように見て歩いても目に飛び込んでくる本は違ってくる。これが楽しい。

夕飯は、亀我楽で。はじめてビールも飲む。チャーシューの切れ端がおつまみに出た。美味いなあ。これでしばらくは食べ納めである。

            ◆

明日の10時から高校生への説明会があるので、明日の朝には京都にいなければならない。新幹線で帰ろうかとも思ったのだが、今回は夜行バスにしてみた。

京王八王子駅から山科、京阪三条、京都駅と止まって帰るバスがあるのだ。7950円、3列独立シート、トイレ付きとなれば乗ってみるしかないでしょ。

京王八王子駅前バスターミナルを23:10に出る。
飲み物、スリッパ、毛布などがある。まあまあである。
しかし、カーテンで区切られる事はなく、私の座席の近くではトイレ用のファンが鳴っているのかちょっと五月蝿い。また、車両の後方だったためか、割と跳ねる。ま、仕方がないか。

足下は広いが、やはり伸ばしきるという感覚ではない。新幹線よりはそりゃあましであるが、フルフラットにはならないんだね。

途中、何カ所かで休憩や運転手の交代をしながら京都に向かう。窓の外が明るくなってきた時カーテンをめくったら「蹴上」近くであった。ということは、私の住んでいるマンションの前を通ることになる。と、止めてくれ。そこでいいんだ。

と言える訳もなく、京阪三条に到着。朝の5:40である。5時間30分で到着か。新幹線より1時間30分違い。家までの事とを考えると、実質1時間違いかもしれない。東京や京都での一日をたっぷりと使えるから、この方法も慣れるといいかもしれない。

一つ気になったのは、目覚めた時にお茶を飲んだら耳が痛かったという事。いわゆる耳抜きを必要な状態になっていたのだ。中央高速で山岳地帯を通った事がこの耳に繋がったのかな。すごいことだ。

            ◆

体を伸ばしてから大学に向かう。
高校生相手に説明を行う。40人強の二年生たちである。
30分の予定が15分になってしまったので、ポイントを絞って説明。
新学科の特徴が伝わったようで良かった。

その後事務仕事に一日を費やす。
研究費で買った本の伝票書きや授業のゲストへの依頼の電話、手紙、学会参加の手続きなどなど。贅沢かもしれないが、ここを手伝ってくれる助手や秘書がほしいなあと思う。

            ◆

夜は、ライブに参加。
地球の日を記念して京都の大学生が中心となって行ったものである。
ライブハウスを借り切ってのパーティ。

約束していた岩本君が出演するのが、21時以降という事で、あわててタクシーで駆けつけなくても良かった事がわかる。はあ。2時間近く時間があるので、近くを散歩して食事をする。京阪三条よりも北側は歩いた事がなかったので。これも一つの経験。時間が来て、会場に向かう。

            ◆

いやー、久しぶりに怪しい雰囲気の場所に足を入れた。
高校生、大学生であればそれだけでわくわくだろうなあ。
私は、ブレザーにネクタイという姿での参加だったので、浮きまくっていた。

しかし、思うのだが、地球の日ということになると、なぜ「アフリカ」スタイルなのだろうか。扱っているグッズや音楽がなんかアフリカなのである。一種のステレオタイプかなあ。

岩本君の話の途中でお客さんの年配のおじさんが、質問の時に叫び出す。
「お前たちは、地球を歩いて行きて、それで結局何を手にしたんだ。世界を歩く連中なんて30年も前からいくらでもいるぞ。日本に何を伝えるべきなのか、一言ぐらいキチンと話せ」
と。

言い方は荒々しく完全に浮きまくっていたが、的は射ている。これを世代のギャップの一つということですませてしまうのであれば、地球の日といって地球全体を考えることなど、ちょっと荒唐無稽すぎるなあ。

            ◆

岩本君とは、ライブが終わった後少し話した。
忙しく人気者の彼なので、邪魔にならないようにちょこっとだけ。

そこで、彼に
『時間があるときでいいから教えて』
と聞いた事が三つある。

1)旅に出て失ったものは何か?
2)旅に出る前、正しいと思っていたけど、帰ってきてますます正しいと思った事は何か?
3)これからの人に、ここができてから旅立てというものは何?

私が『流学日記』を読んで思った疑問だ。
そのうち、答えてくれるだろう。楽しみ。

会場から家まで、歩いて帰って寝る。はあ、疲れた。

2006/04/24

野口流・国語科授業づくりの極意

名人の授業を受けることができます。
是非ご参加ください。

                  ☆

第25回連続ワークショップ 教師力UPセミナー2006のご案内
~野口流・国語科授業づくりの極意~

 最近、授業中、子どもたちが教師の話を聞かなかったり、すぐに立ち歩きを
はじめてしまったりして、授業成立がむずかしくなってきています。少し比喩的
に言えば、いま、教室は「安定した草原」から「不安定な湿地」になってきたと
いうふうにいえるのではないでしょうか。これは教室文化の大きな変化といえます。

 こうした中、「授業成立の基礎技術」が強く求められています。子どもを引き
つける授業技術、子どもの集中力を生み出す授業技術です。高度な技術では
ダメです。誰にでもできる普通の授業を支える基礎技術が必要です。そうした
ベーシックな授業技術・教育技術を学ぶために「教師力UPセミナー2006-」を
企画しました。

 今回は、授業名人として広く知られる野口芳宏氏をお迎えします。
 野口氏は、「発問中心の授業」に関する展開技術の素晴らしさと同時に、子ども
たちを授業に誘い込む多様な技術をお持ちです。たとえば、「○か×か」の指導
です。野口氏は言います。「授業には『全員参加』の保障が必要である」と。

 野口氏の二大メッセージである「授業には『学力形成』が不可欠である」
「授業には『全員参加』が必要である」について、具体的な模擬授業を通して、
学ばせていただきます。授業成立の根幹に関わる「授業観」と、それを支える
「教育技術」について、野口名人ご本人から直接、ご指導をいただきます。
楽しみです。

 ぜひたくさんの方の参加をお待ちしています。


■日時:6月4日(日)13:00~17:00

■場所:成蹊大学 9号館302教室(武蔵野市吉祥寺北町)
  *JR中央・総武線、井の頭線、地下鉄「吉祥寺駅」下車
   吉祥寺駅前より関東バスで成蹊学園前下車(約10分)

■テーマ 野口流・国語科授業づくりの極意-学力形成と全員参加-
  13:00~17:00 講師:野口芳宏(麗澤大学)
  *4時間の実技講座。解説型模擬授業(2つ)を中心に野口流の国語科授業
   づくりの方法論を学習します。

■定員:50名(定員になり次第締め切ります)
■参加費:2,500円(授業づくりネットワーク会員:2,000円)
 *当日お支払いください。

★申込・問い合せ先
 1)氏名、2)会員・一般の別、3)〒・住所、4)電話・FAX番号、5)勤務先、
 6)メールアドレスを明記の上、下記あてにFAX、 Eメールまたはハガキで
 お申し込み下さい。

 授業づくりネットワーク事務局 担当:鈴木宣昭
 〒162-0814新宿区新小川町6-12 TEL/FAX:03-3269-3715
 Eメール:yoyaku@jugyo.jp

2006/04/23

授業の感想に答える

今年は、受講生の数が多くはないので少し丁寧に対応する事ができるかなと思います。

一回目の授業ですので、みなさんがマッピングのメモに書いた感想についてコメントをしましょう。

            ◆

S1 メモを取りながら聞いたので、”聞こう”という気持ちが持ててよく理解できたように思います。書くのが遅いので耳と手が合わなくて聞きのがしてしまったところがあるかも知れないです。とても興味深いお話でした。

T 教育の世界にある有名な言葉の一つに、「Aをさせたいのならば、Bと言え」と言うものがあります。例えば、書道の授業中に静かにさせたいときに、「静かにしなさい」と言う指導言は、「Aをさせたいときに、Aと言う」という例です。これでは、子どもは動きません。

そうではなくて、「軽く息を吐いて、息を止めてから筆を動かすと筆先がぶれなくてよい」とBを示すと良い訳です。息を止めながら話す事はできませんから。このことが書かれている本としては、

『教育新書67 AさせたいならBと言え 心を動かす言葉の原則』(明治図書 岩下 修著 1988/12/1 18版 定価:1,323円(税込))

があります。18版ということからも分かるように、学校現場の先生に読み継がれている本です。

            ◆

S2 今日は、これまでの教職の授業とは違う内容で楽しく授業を受けることができた。

T 授業は、同じような内容を教えるにしても先生によって違う事が多くあります。それだから面白いし、難しい。だから、指導の技術と人間性を高める努力をする必要があるというわけです。いろいろな先生から学び、あなたの中の先生像を育てていく事が大事です。

            ◆

S3 授業に集中させるための技法の一つがこのマッピングメモだと感じました。集中する授業作りの一部を見ました。話術にも”おっ”と思うところがありました。

T 授業というものは、種も仕掛けもあるものです。高校生までのあなた達は、その種も仕掛けも分からなくても良かった訳ですが、教師を目指す以上は大学の授業であってもその授業の種や仕掛けを想像し、やがて創造できるようにならなければなりません。
「話術にも”おっ”と思うところがありました。」とありますが、何があったのでしょうねえ(笑)。ではありますが、もし(これは使える)と思ったのならば、是非使って使えるようにして下さい。

            ◆

S4 メリ・ハリがあって分かりやすかった。まだメモの取り方が下手なので、上手くまとめられないが、自分なりにまとめられるようになりたい。また、どう授業を始めたら良いのか少し分かった気がする。

T 今回のメモ(ノートテーキング)は、たくさんの情報を効率よく取ることを目的としました。私はメモには、

1)記録のメモ
2)思考のメモ
3)まとめのメモ

の三種類があると考えています。
マッピングメモ*1は、このうち基本的に1)のメモに対応しています。指導の段階としては、次に2)のメモを行うことがありますが、1)と同時に2)ということもできるようになると良いですね。これについては、授業で触れたいと思います。

*1 私はマッピングメモと言っていますが、一般的には「ウェビング」とか「マインドマップ」と言う言い方をすることが多いです。「マインドマップ」は、『人生に奇跡を起こすノート術—マインド・マップ放射思考』(トニー ブザン (著), Tony Buzan (原著), 田中 孝顕 (翻訳) 価格 ¥1,575 (税込))などの本があります。興味があったら読んでみて下さい。

            ◆

S5 すごいテンポが良い授業で、メモを取るのも大変だったけど、「授業」というものがすごく分かった気がしました。二回生より、教師の仕事というものが身近になった授業な気がしました。

T 嬉しい感想ですが、授業がどのようなものと分かったのか教えてくれませんか。いえ、興味があるんですよ。よろしくお願いいたします。

            ◆

S6 今まで授業開きについて考えた事などなかった。短い時間で言いたい事を伝えるのは難しいと感じた。これから国語の授業ができるように、勉強していきたいと思った。

T 限られた時間の中で行うのが授業なので、準備、構成をしっかりと行ってから臨む必要があると思います。授業を作るための4要素は先日の授業で説明した通りですが、それぞれを授業をする本人がしっかりと理解していないと、伝える事は難しいですね。

ちなみに、『効果10倍の〈教える〉技術 (吉田新一郎著・PHP新書)』には、以下のように書いてあります。これは京都の凄い小学校の先生である糸井先生のHP(学校に新しい風を http://susumu.exblog.jp/)にありました。

引用開始 ーーーーーーーーーー

しかし、約2500年前にあの有名な老子は「聞いたことは忘れる。見たことは覚える。やったことは分かる。」と言ったそうです。うまい話は、いくらでもその時は分かった気にさせてくれますし、いいノートも取らせてくれますが、それらが活かされることはほとんどなく、忘れられる運命にあります。

ちなみに、「見たこと」もあまり当てにはなりません。例えば、私は感激して見た映画やテレビなどすぐに忘れてしまいます(おかげて何回も新鮮に見ることができますが)。

その後、大分後になってですが、「見つけたこと(発見したこと)は、できる」と付け加えた人がいます。ちなみに、この老子が言ったことを数字で表したアメリカの研究者がいました。それは次の通りです。(数字は、記憶に残る割合を表しています)

聞いたことは、   10%
見たことは、    15%
聞いて見たときは、 20%
話し合ったときは、 40%
体験したときは、  80%

ここまでは、老子が言ったこととだいたい合っています。それでは、「見つけたこと(発見したこと)は、できる」のレベルは、どのような体験に相当するか想像がつきますか?

教えたときは、   90%です。

引用終了 ーーーーーーーーーー

この国語科教育法では、教える事で身につけるというワークを取り入れたいと考えています。

            ◆

S7 マッピングメモを今回初めてしました。ただ授業を聞くだけでなくこのやり方をすると自分の頭でどう整理したらいいかなども分からされた気がします。先生は授業は(ママ)すごく引きつけられたのでこんな授業ができたらと思いました。あと少し高校や中学の授業を受けているようで懐かしい気分でした。(笑)

T 通信にも書きましたが、去年まで中学校の教師をしていたので急に大学の先生の授業をするということはできそうにもありません。いや、ひょとしたらしないかもしれません。自分にあった授業のスタイルというものがあり、そのスタイルを確立するのに時間をかけてきた訳ですから、それを大学の先生になったからと言って変えてしまうのは、リスキーではないかと思っています。

この辺りは、自分の授業スタイルをこれから作っていくみなさんには分かりずあいかもしれませんが、割と大事な事だと思いますので、ちょっと心に留めておいて下さい。

            ◆

S8 大学で当てられる授業というのがあまりないので緊張してしまいました。辞書をすぐに引くより、まず考えろといわれて普段自分があまり考えて生活してないかもしれないと感じました。今までただ知識の蓄積だけの勉強でしたが、今日の授業で教えるための勉強をしなければならないと思いました。

T 学校現場ではインターネットを使った調べ学習が盛んに行われていますが、これはちょっと違うのではないかと私は考えています。分からない事柄があったらすぐにインターネットに飛びつく。確かに調べる習慣はつくでしょう。そして、正解らしきものも手に入れる事ができるでしょう。

しかし、考える力は育たないのではないかと思います。
失敗学の畑村先生の本だったと思いますが、ある会社の社長とお話をしている時に、
「このビルの階段は何段ありましたか?」
という質問をされたそうです。その時に、
「わかりません」
と答える人は採用しないのだそうです。
(えっと、この部屋の高さは2メートルぐらいで、階段の一団が20センチぐらいだから、階段の数は・・・)
と自分の手元にある情報で類推し、仮説を出せる人でないと採用しないのだそうです。

みなさんは、20年以上も生きてきて、勉強してきています。自分でも気がつかないほどの情報量を頭の中に既に溜め込んでいます。ですが、それを活用する練習が不足しているのではないかと思います。知識が知恵になっていないのですね。

疑問があったら、

1)メモする
2)自分なりの答えを出す
3)調べる

という流れで自分を訓練して下さい。それが、学校教育現場で突然襲ってくる指導の場面でなんとか切り抜ける力を育てていく一つのレッスンにもなると思います。

            ◆

S9 初めは先生が言った事を全部書こうと思ったけど、そうすると、ずっと下を向いてばかりだし、書く事が多すぎて頭の中もぐちゃぐちゃになってくるので、大事だなあと思ったことだけを書いて前を見るようにしました。難しい授業かと思ったけど、少し、楽しかったです。

T (を、この学生さんは前を向いて話を聞いているな)
というのは、私にも伝わってきましたよ。授業の中でコミュニケーションを取ろうとする姿がありましたね。

メモを取る時に

1)ひたすらメモ帳に視線を落として書き続ける。
2)時々、顔を上げて話し手を見ながら書く。
3)話し手を見ていて、書く時だけ下を見る。

というパターンがあるのですが、上級者になると

4)話し手を見ながら、手元を見ないでメモを続ける。

というものもできるようになります。ここはディベートのレッスン等でやりましょう。

            ◆

S10 マッピングメモははじめてだったのと、字を書くのが遅いので、メモを取るのに苦労しました。でも、メモを取る事は凄く大事な事だと思うので、なれていきたいです。集中して受ける事ができたので、時間が早く過ぎました。

T 書道を学んでいたり、国語が好きな人は、字を雑に書くという事に抵抗がある人がいるかもしれません。だから各スピードが遅くなる訳です。

ですが、なにを優先するかという事です。情報を記録するためものメモは基本的には自分が後から読んで分かれば良いわけです。他人が理解できなくてもかまいません。スピードを優先して多くの情報量を手に入れるメモの場合は、どうしても字が乱れます。しかし、それはそれで良いのです。

ゆっくりと書いて美しさを優先する手書きもあります。その時は美しさを優先させれば良いのです。私の場合、黒板に書くときは三つのフォントを使い分けて書くようにしています。

ただ、生徒に指導する時は
「雑な字を書き続けると、美しい文字に戻れなくなる場合があるのできれいに書く事」
と言う場合もあります。

            ◆

S11 おそらく、初めてマッピンング形式での学習をしたのですが、うまくコンパクトにまとめることができず、やってみて難しかったです。でも、こういった授業、または先生の授業はメリハリがあって、緊張感もあって、集中して取り組む事がでたし、楽しかったです。先生のじがとてもきれいで読み書きしやすかったです。

T 書道科の諸君に字を褒められるのは嬉しいなあ(^^)。コンパクトにまとめることの難しさを書いていますが、生徒が感じるであろう難しさを実感できたのではないかと思います。

さて、では、どう指導したらその難しさを子どもたちが感じる事なく、または、今よりも少し優しく感じるように指導できるでしょうか。考えてみて下さい。

            ◆

S12 私が中学校の時や高校生の時の国語の授業は、指導要領にそったような授業だった気がするので、楽しいとか感じることがなかった。だから、私はこの授業で国語とは楽しいと思えたり、生徒を引き込めるような授業ができるようになりたいと先生の話を聞いていて思った。

T 二つの事を述べます。一つ目は、学習指導要領に沿った授業が悪いという事ではありません。逆で、学習指導要領で規定されている内容は教えなければならないことです。

私が授業で言いたかったのは、生徒の実態を考える事なく、教えるべき内容をただ教えているというスタイルの授業です。こういうのを「上からの道」と言います。これはこれで一つの方法です。

しかし、この方法だけで授業が上手く行く事が難しくなっている今、生徒の実態から授業を作りしかも学習指導要領の内容を十分に満たしているという「下からの道」という方法です。下からの方が大変ではありますが、面白くなる可能性、生徒が学習意欲を持って取り組む可能性が高いという事です2 。

上からも下からも授業が作れるようにする事が大事で、生徒の実態合わせてどちらか、またはどちらも使いながら授業を行う事ができるようになる必要があります。

二つ目です。楽しくなければ○○でない!という言い方が一時期はやっていたような気がします
が、この○○の中に授業が入るということもありました。私はこれに対して、いくつかの考えを持っています。

まず、楽しいについて。楽しいは、ファニイ、インタレスティング、エキサイティング、クールなどの英語が当てはまると思うのですが、上記の「楽しくなければ○○でない!」という時の楽しいは、どうもファニイであることが多いような気がします。

ファニイの楽しさを授業でやったって意味がないと思います。授業ではインタレスティングの楽しさ出なければと思います。

次に、んじゃあインタレスティングならいいのか、という問いが立ちます。私は、インタレスティングは当たり前で、その次に、ノウレッジやスキルが身に付いているかどうかが大事だと思っています。

まとめると、ファ二イから入っても良いのですが、インタレスティングにたどり着き、知識や技術を手に入れる授業でなければならないのではないかということです。

            ◆

とまあ、思いつく事を書いてみました。抽象的な説明もあるので、何の事だか分からない部分もあるでしょう。それについては授業中においおい理解する事にして下さい。

なお、紹介した本は是非読んでみて下さい。学生時代に読み進めることが、あなたの将来の授業の基礎を作ります。

(国語科教育法通信「修学」 NO.2〜5 より)

2006/04/22

別れと出会いの一日

風呂に入り、ひげを剃り、新しいシャツとネクタイを選ぶ。中学校の教師は辞したが、これが最後の中学校の授業だと思い、気持ちを改める。

朝日が出窓から入ってくる。出窓の向こうは、新緑だ。
ああ、瑞々しい朝だ。

            ◆

で、学校に行く前に、歯医者に飛び込みで行く。差し歯がぐらついているのだ。京都で良い歯医者を捜さなければとは思うのだが、まずは差し歯の延命治療をしてもらいにかかりつけの歯医者に向かう。根っこが厳しい状態にあるが、もたせるしかない。

            ◆

歯が落ち着くまで、通い慣れた本屋に向かい、研究室に必要な本を買いあさる。思うに引っ越しというのは、パソコンで言うところのOSの変更と同じではないかと思う。

パソコンを使ってやる事は、マックでもウインドウズでもリナックスでも同じだろうが、その使い勝手が違う。引っ越しをしても生活を続けていく事には変わりないのだが、その生活の勝手が全く違ってしまう。本屋はどこにある、美容院はどこがいい、歯医者は、ラーメン屋は? と最初から学習し直さなければならない。

これを村上春樹などは「引っ越しは過去がチャラになるのが良い」なんて言って、引っ越しを繰り返すのだが、私はどうもそうではないらしい。何に出会うのかというわくわくも良いが、まあ、それは旅で良いかなとも思う。生活は、どこに行けば何がどういう状態であるのかというのが分かっている方が良いなあ。

            ◆

昼ご飯は、久しぶりに「亀我楽」。
嬉しい。
じっくりと味わって食す。
おいしい。

そして、あることをご主人に相談。
そうすると、快諾してくれる。
これで、安心して京都でも暮らせる。

            ◆

和田中学校のある堀之内二丁目のバス停で降りる。
信号待ちをしていたら、一緒の学年で仕事をしていたY先生に会う。
一緒に離任式に出席することになっている。よくバス停から一緒に歩いたよなあ。

校長室で開始の時間を待つ。
まあ、いろいろなことがあったよなあと思い出す。

開始の時間になり、体育館に向かう。なぜかスピーチは一番最初。先頭を歩く。音楽も拍手もないので、ちょっと緊張、するかと思ったが全然しない。自然と微笑んでしまう。ステージの上から子どもたちを見ると、いるいる、懐かしい顔。ああ、ここには中学校の日常があるなと思った。

和田中学校では、生徒のスピーチはすべて暗記という伝統がある。ま、生徒がそうだからといって教師もそうする必要はないのだが、私もそうした。

最後の授業である。自己紹介のあと、中学生とは何かという話をした。一部を思い出して書いてみる。

「私は生徒に指導しているつもりでいたけど、実は君たちから育てられていたのではないかと最近は思っている。こんなだらしのない私がそれなりに中学校の教師という仕事をすることができたのは、中学生である君たちにそだて貰ったからではないかと思います。ありがとう。

で、中学生とは何かを考えてみました。
小学校の学校の目標は、ま、簡単に言うと「いい子になろう」ではないかと思うのです。が、中学校はどうでしょうか? 日本中どこの中学校を見ても「いい子になろう」なんてことはないと思います。なぜでしょうか。中学校は大人に向かってい一歩を踏み出す場所だからです。

君たちは子どもですか、大人ですか。子どもかもしれないし、子どもと大人の間かもしれないし、大人かもしれません。では、大人ではないという人に聞いてみたいのですが、ずっと大人にならないでいられる人っていますか? いませんよね。そうなんです、大人には、ならざるをえないのです。そうだとすれば、君たちには是非カッチョエー大人になってほしいのです。その一歩目を学ぶのが中学生の時代だと思うのです。

小学校の先生の仕事は、海に眠っているかもしれない、山に埋まっているかもしれない宝石の原石である君を取り出す事ではないかと思っています。君は原石の宝石のままで中学校にやってきました。

中学校の教師であった私は、その原石である君を磨く事が仕事だと思っていました。玉磨かざれば光無しという言葉がありますが、そのことをやろうと思って仕事をしていました。

だけど、違うんだなあと仕事を進めるに従って思うようになりました。君たちは原石ではありますが、石ではありません。人間なんですね。先生が磨かなくとも、自分で自分を磨く事ができるのですね。さらに、あなたは仲間と磨き合う事ができるのですね。それを切磋琢磨というのではないかと思うようになりました。

中学校ってそれができる場所なんですね。中学生ってそれができる時期なんですね」

話の後、クラブの子どもたちから言葉と花束を貰った。ちょっと照れてしまったが、嬉しかったな。全国大会で会おう。

校長室で次の会を待っていたら、三年生が何人か顔を出した。
「先生、『たほいや』やろうよ」
と。
やっぱり、俺はたほいやか(^^)。
そして、なぜか私のお腹を触る。
「ぷにょぷにょして気持ちいー」
うーん、この生徒はこういう一面を持っていたのか、と最後の最後に分かる。
本当は、こういう触れ合いをしたかったんだろうなあ。
『これこれ、セクハラはやめんしゃい』
というが、
「だって気持ちいいんだもん」
まあ、もうこんなこともないから好きないようにさせておいた。

その後、PTAの歓送迎会でお茶を飲み、和田中を後にしようとしたら、去年指導していた生徒達が、いた。おーおー、スカートも短く化粧もしているなあ。やっぱり今風の高校生になったか。でも、笑顔は変わっていないなあ、良かった。男の子達は、シャツを出して着ていた。やりたかったんだろうなあ。見せたかったんだろうなあ(^^)。

さらば、和田中学校である。

            ◆

さて、その後は学芸大学の大熊研究室の歓送迎会である。
5月にある学会の打ち合わせがメインだが、さらに私の転職のお祝いもして下さるというので国分寺に向かった。

今年院にやってきた新人は、なんと国学院の後輩。恩師の話等で盛り上がる。また、14条特例で合格した現職の先生とも熱く話す。研究室での過ごし方の奥義も伝える。

別れと出会いの一日であった。

2006/04/21

「大きな声」の意味

昨日の授業では、教師にとっての声について考えてみた。国語科教育法ではあるが、授業の基礎として教師に必要不可欠な声を理解する事はかなり大事だと思う。

本当は、板書の基礎技術と一緒にやる予定だったのだが、声だけで授業の指導案が90分ぐらいになってしまったので、後半の板書は次週に回す事にして授業に臨む。しかし、それでも足りなかった。あれもこれも話しておきたいと思うので、足りなくなってしまうんだなあ。精選が必要だ。

            ◆

この授業は大学の3.4年生に教えている。そこで、先週

「強制ではありませんが、できれば、スーツ等を着て授業を受けると良いですよ。一週間に一回でもスーツを着る習慣を身につけておく事が、就職活動をするにも教育実習をするにも良いと思います。スーツに着られているという感じではなく、スーツを着るという感じになるには割と時間がかかるものです」

と話したところ、1/3ぐらいの学生がそれらしいスーツを着て参加していた。こういう素直さが京都橘大学の学生の良さであろう。その素直な心を持ちつつ、ひねくれてしまっている生徒にきちんと立ち向かえる指導力を身につける事ができたら、鬼に金棒だろうなあ。

            ◆

この授業で学生達が印象的だったのは、なぜ大きな声が必要かということであったようだ。
大きな声は叱るときに必要、遠くにいる生徒に声をかけるときに必要とか言っていたのだが、それは違うと話した。

引用開始 ーーーーーーーーーー

今日の授業で一番印象に残ったのは、大きな声は危険・緊急の時に必要だということです。

引用終了 ーーーーーーーーーー

教師の力は、「人格の力」「指導の力」「管理の力」の三つが必要だと看破したのは家本芳郎先生である。その中の「管理の力」は、生徒の健康と安全を守る力である。

大きな声は、生徒の安全を守るために必要なのである。

「危ない!」

の一言で、教室中の生徒全員が体の動きを止めるぐらいの大きな声が出せなければならないと思う。とっさの時の大声である。

遠くにいて声が届かない時は、こっちに呼んで話せば良い。来なければ自分で歩いていけば良い。さらに、高いところから話す、生徒を座らせるなどをすれば、小さな声でも事が足りる事がある。しかし、生徒の危険を大人としての教師が察知した時に、瞬間的に止めるのは「大声」しかない。

その声を出せる事が、教師として仕事をする際に必要最低限であり、かなり重要な声だということを扱った。

その上で、明瞭な声、明るい声で話すことの意味と方法、声の出し方、話し方と講義を続けていくうちに時間切れとなってしまった。つづきは来週である。来週も時間切れになりそうな木もするが。

            ◆

授業を終えて、急いで京都駅に向かう。家に戻りスーツケースを抱え地下鉄に乗り込む。予定していた新幹線には乗れなかったが、まあ、指定席が確保できたからよし。

新幹線の中で軽い夕食をとり、授業のアンケートを読みながらコメントを打ちつつ移動。寝ようかと思っていたのだが、気がついたら新横浜。品川下車の予定だからそのまま起きてしまった。

             ◆

半月ぶりの東京。
そりゃあ、生まれてこのかた東京暮らしをしているのだからまだまだ帰ってきたという感じである。「宇宙戦艦ヤマト」の
「地球か。なにもかもが美しい」
とまではいかないが、美しく見える。

京都は古都の景観を守るために、ビルの高さ規制があり、高層ビル群がない。だからビルの明かりによる夜景がない。そこが違うんだろうなあ。というか、そういうビルの夜景の美しさに慣れて生きてきたからなあ。

山手線、京王線と乗り継いで自宅に戻る。
ああ、やっぱりいいなあと思ってしまう。

一間のマンスリーマンションとは違い、3LDKの我が家は広い。
そして、出窓から見る景色は広々としている。

軽くお茶を飲み、景色を味わって寝た。

             ◆

さて、今日の午後は和田中学校の離任式である。
何を話そうかなあ。
まだ、考えていない。

2006/04/19

ふわふわしながら

仕事に一区切りつけて、大学を後にした。
ちょっと前までは、コートを着ていても寒かったと思うのだが、このごろではコートもなしで歩ける。

さらに、春の夜の匂いである。
桜若葉が芽吹く頃、日中の太陽で暖められた土が夜に熱を放つ。
その熱が鼻腔をくすぐる。

春宵一刻値千金

ふわふわしながら、鼻腔に春を受け止め、坂道を下る。
明日の夜は久しぶりに東京に戻るぞ。

何回か目の出会い直し

授業を作るために研究室に持ち込んだ自分の本をひっくり返しては、その出典を確かめている。
(たしか、あの話は、あの本だったよな)
と出典を確認する。

中学校の教師のときは、基本的には私がだいたい分かっていれば良かった出典だが、大学の授業ではそれを先行研究として学生が使う可能性があるので、いい加減なことをするわけにもいかず、あれこれと確認している。

昔懐かしい本を取り出してきて、教師修行を始めたばかりの頃の私が線を引きまくった本、作者の言いたい事が理解できなくて反論を書き込んだ本、当時は何も感じなかったのに今読み直すと胸にぐっと来るフレーズのある本。そんな本達と会話をしながら授業の細案を作り込んでいる。

そして、やっぱり、その中でも家本芳郎先生の本は別格だ。
なんて、こんなに子どもと教師に対して厳しく、温かいのだろうかと思う。

たとえば、『教師のための「話術」入門』(高文研 家本芳郎著 p61  1442円 1991.3)

引用開始 ーーーーーーーーーー

言葉のうえで、どんなに怒っていても、顔を真っ赤にして怒っていても、やさしいまなざしで「目は励ましている」「目は許している」「目は包み込んでいる」それが教師の目である。

引用終了 ーーーーーーーーーー

本当にそうだよなあ。
それが教師だよなあ。

でも家本先生はもういらっしゃらないんだよなあ。
でも本の中から語りかけてくれるんだよなあ。

授業作りをしながら、私は、家本先生に何回か目の出会い直しをしている。

2006/04/18

授業準備

うーん、面白い。
授業準備から抜け出せない。研究室から抜け出せない。

次回の国語科教育法1は、「授業を行う者としての基本技術」を扱う予定にしている。
大きな項目は、

・発声の基礎
・チョークの持ち方
・板書の基礎
・教室での教師の立ち位置

だ。子ども観とか子ども観察とかは別の授業に譲って、国語の教師として教室で勝負する時に大事な「声」と「板書」と「ポジショニング」について行うつもりだ。

コンピュータや色々な機材を使って行う授業も良いのだが、黒板・チョーク、教科書、先生だけで授業ができるようになる事が大事だし、これができていないとコンピュータを使う授業も上手くいかないと思っている。

で、改めて調べ直していると面白い。チョーク一つとっても、チョークや黒板の歴史、チョークの種類、チョークの成分、チョークの色とさまざまな内容が出てくる。

中学校で授業をしている時は、自分で考えてやっていたので自分が分かっていれば良かったのだが、大学で授業となるとこれを学生に伝えるのでもう一度調べて整理し直さなければならない。この過程でいろいろな再発見がある。これが、面白いんだなあ。

シラバスに提示した予定では、上記の4つの内容を実習も含めて行うのだが、90分じゃあ終わらないなあ。後半をバッサリと切って、次の次に回すかなあとも考えている。そんな事を考えるのも面白いんだよなあ。

こうして考える事できる環境があることに、感謝だ。
さあ、もう一踏ん張り。

国語科指導の世界へようこそ

進級おめでとうございます。
今年度、国語科教育法1と2を担当する事になりました、池田 修と申します。
昨年度まで、東京の杉並区立和田中学校というところで、教鞭を執っていました。今年度から京都橘大学にお世話になる事になりました。

私は、大学というところで本格的に授業をするのは初めての経験という事もあり、どの程度までやれば良いのか、正直分からない部分もあります。

が、この授業を受けるみなさんは、将来国語科や書道の教師になろうという意志を持っているみなさんですから、そのみなさんが将来学校教育現場に立った時に十分に力を発揮できるように、学校現場の指導の場面に即した授業を展開しようと考えています。

つまり、教員採用試験に受かるための授業というよりは、採用されてから教壇に立った時に役に立つ授業であろうと考えています 。

            ◆

みなさんもご存知の通り、教員採用試験は非常に狭き関門です。なかなか合格できません。しかし、それでも受験する人が多いのは、教師という仕事に魅力を感じる人が多いからでしょう。

どこに魅力を感じるのか、それは人それぞれでしょうが、私は中学校の国語の教師をしていて、子どもたちが言葉を通して自分を磨き、仲間と一緒に磨き合っている姿を見るたびに、
(ああ、国語の教師になってよかったなあ)
と思ったものでした。

国語科や書道の教師の道を選ぼうとしているみなさんは、良い仕事に就こうとしているなあと本当に思います。是非、その夢を実現して下さい。

            ◆

しかし、その一方で

「辛い」
「休みたい」
「早くやめたい」

とつぶやき、実際にこんなにすてきな仕事を辞めてしまう先生も増えています。ベテランの先生や新しく教師になったばかりの先生にも、辞めてしまう先生が増えています。色々な理由はあるのでしょうが、その内の大きな理由の一つに、授業が上手く行かないということがあると思います。

            ◆

授業というものは、実に豊かで奥の深いものです。

正直に語れば、年間30回の授業で、国語の授業の基礎を伝える事はできないと考えています。ですが、なんとか勘所の一部分を手にしてもらえる授業を目指したいと考えています。

そのために、この授業は、講義よりも実際に「やること」を大事にしようと考えています。シラバスを見てもらえれば分かると思いますが、学校現場に出て行った時、多くの若い先生が悩む具体的なトピックを中心に授業を構成しています。

みなさんは、国語の、書道の指導者になるのですから、自分が理解するだけでは不十分です。自分ができて、できない子どもに指導ができて、できない子どもができるようになって、初めて
「先生!」
と呼ばれるようになるんですね。

具体的な指導ができるようになれば、
(よし、何が何でも先生になってみせるぞ!!)
という気持ちになると思います。そんなみなさんになれるような授業を目指したいと思っています。

今まで習ってきた国語とはちょっと違うと感じるかもしれませんが、しっかり学んで下さい。

(国語科教育法通信「修学」 NO.1 より)

2006/04/17

緑の常緑樹の間に

また一日中研究室に籠る。

大学の近くの駅、椥辻(なぎつじ)から大学までは坂道が続く。15分程度の軽いハイキングだ。この時期だと、研究室にたどり着く頃には一汗かいている。だが、心地よい汗だ。一日一回の運動になる。

            ◆

大学に着くとレターケースを確認する。
事務手続きの書類や福利厚生関係の書類、授業関連の書類などが入っている。これを確認して、あとは研究室にこもる訳だ。

机に向かって、ガシガシ仕事を進める。が、体が固まってしまう。そこで、キッチンタイマーをセットして1時間ごとに鳴るようにしてある。タイマーが鳴ったら、無理矢理席を離れて体を動かす。

研究室の外にも出てみた。すると、目の前の山に山桜が山肌に這うように咲いていた。この景色は東京の山では見る事のできない景色だなあと思った。この景色、割と多く見る事ができる。

            ◆

そこでだ、Fire君、プロジェクトなのだ。
北海道にある山の山肌を一つ用意できないかな。

そこに、桜を植えたいのだ。
桜の木で、「桜」という文字を書きたいのだ。

春の一時期、そして、秋の一時期。
ピンクと朱色で山肌に「桜」という字が浮かび出るのだ。
緑の常緑樹の間に、一瞬浮かび出てやがて緑に同化する。

いいと思わないか(^^)。

もちろん、平面でも良い。
ナスカの地上絵のように上から見たら「桜」ってことだ。

そんな山肌・土地はないかねえ。

『流学日記』

岩本悠君という元気のよい若者がいる。
昨年度の最後に、和田中学校の総合的な学習の時間でお世話になった。

学芸大学の二年生の時に、「逃げるようにして日本を離れ」、一年間世界をフィールドにして学び続けた記録が、『流学日記』である。今売れている本だ。大学生の生協ランキングでは3位ぐらいに入っているんじゃないかな。

その彼と連絡を取ったら、なんと京都に来るという。
4/24の夜の集いだ。

何がどうなるのか分からないが、これもご縁。私もいってみようと思う。
京都近辺の方、一緒に生きませんか(^^)。

旅人戻らず ー二条城の桜ー

4/16 今日は気温が高くなるという予報だったので、午前中から探索に出る。

実は私の現在の住まいは、あの一澤帆布のお店のすぐ近くである。ということは、信三郎帆布のすぐ近くでもある。お家騒動の後の信三郎帆布新規開店ということで、店の前はいつも大行列。開店の9時には100人ぐらいの人がいる。で、今日ちょっと覗いてみようかと思ったのだが、今日は休業日でした。うーむ。

白川沿いを祇園に向けて歩く。
まだ白川沿いの桜は美しく咲いていた。
もちろん、この場所にくれば
「かにかくに・・・」
で始まる吉井勇の短歌を思い出す。美しいなあ。

その歌碑のそばを歩いていたら、川沿いを歩く猫を発見。見ていると器用に屋根伝いに歩く。そして、あるお店の屋根の下の欄間の前で丸くなって目をつむってしまった。まるで、「眠り猫」である。平和だ。

            ◆

祇園の町並みを眺めた後、もう一度円山公園に向かう。最後の枝垂れ桜を見るためだ。
その途中に「なか卯」があったので早めの昼食とする。気になっていた「トマトうどん」を食すためだ。

感想だが、これはいけるのではないかなと思う。「ミートソースうどん」という感じである。ちょっとはまるかもしれない。

で、円山公園の枝垂れ桜だが、残念ながら盛りは過ぎていた。公園にいた女性が
「えー、昨日の夜はきれいだったのに」
と叫んでいたから、一晩で終わったのだろう。

はかない。
もったいない。
切ない。

            ◆

P4160149
円山公園、岡崎公園と通り抜けて、黒谷に向かう。ここは江戸時代の最後に、会津藩藩主、松平容保が本陣を構えたお寺がある。ここの桜が東山区の桜では最後の満開になる。ちょっとした山になっていて、京都の街を見渡す事ができるのである。

新選組もこのお寺の山門に上り、町の動きを見張っていたのであろう。

さらにこのお寺には、平家物語の「敦盛の最期」に出てくる熊谷次郎直実が、敦盛を殺めた後、出家した寺とも言われている。熊谷次郎直実が脱いだ鎧を立てかけた松の木というものがある。

とにかく、当たり前だが、歴史だらけの町なのだ。

            ◆

白川沿いのちょっとしたレストランで、夜のおつまみを買う。そして、歩き疲れたので、白川沿いのそば屋に入る事にする。中に入ると満席。しかし、タイミングよく、白川を臨める奥の座敷がちょうと空く。そこに席をゲットする。

天婦羅蕎麦を頼む。白川の美しさのために、お酒も頼む。「京乃一滴」という純米酒をぬる燗にして一合もらう。

一度やってみたいと思いながらやった事がない食事がある。それは池波正太郎だったか、山口瞳だったかが日曜日の昼にやるという食事だ。

そば屋で、「ぬき」というものを頼み、お酒を楽しむというのだ。この「ぬき」というのは、あたたかい天婦羅蕎麦の「蕎麦を抜いたもの」というのだ。つまり蕎麦の汁の上に天婦羅の具が載っているのだ。これをつまみにしてお酒を飲み、飲み終わったらざるそばを一枚手繰ってオシマイという昼ご飯だ。

やってみたいのだが、まだちょっと修行が足りないなあということで、ちゃんと天婦羅蕎麦に日本酒という食事であった。

            ◆

昼酒が足腰の疲れにとけ込んだ。いったん家に戻って休憩。

そして、本日最終日の出し物を見に行く。そうである、懸案の二条城の桜のライトアップである。。これだけライトアップを見ればもう良いだろうと思う方もいるだろうが、それはそれである。

二条城は、徳川家康が築城を命じ、徳川慶喜の幕引きの舞台にもなった訳である。そこに植えられている桜は大きく三種類。ソメイヨシノ、枝垂れ桜、その他である。枝垂れ桜が満開であった。

京都工芸大学(だったかな?)の協力があり、城内のガイドには彼らが作った照明器具が使われていた。竹を加工して作ってありこれもきれいであった。

そして、肝心の桜だ。
お殿様しか見る事のできなかった桜が、目の前にある。
見事だ。
静かに揺れている。
いや、風はない。
しかし、木そのものが揺れているかのように満開の花を投げ出している。
その投げ出し方が、揺れのように感じさせるのである。
ふう。

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P4160177

庭の奥にも桜の壁が見える。この壁にもライトが当てられている。
この桜の壁は、ふすま絵に描かれた桜であるかのようだ。
ふすま絵は、写実であったのか。

P4160147


ため息とともに、出口近くに戻ってくると琴の音色。
なんとライブで演奏があるとのことだ。
ちょうど前の演奏が終わったところで、最終回の演奏がタイミングよく聞ける。池坊のでっかい生け花のある会場で、最前列で鑑賞。三人の奏者が奏でる。さくらさくら、隅田川などの曲を奏でる。いいなあ。

P4160188


三人の着物は、若い人が赤地に桜、ちょっと年配の二人が空色地に桜と黒地に桜であった。特に黒地に桜の着物は、夜桜を表しているようで見事であった。夜の特別拝観の最終日の最後のステージ。次は来年です。

            ◆

十分に歩き回って、心にエネルギーをたくさん入れて、週末終了。
家に帰って、昼間に買ったおつまみで桜を思い出しながら、一杯。

旅人の生活から、日常人の生活へと戻るべき時が来ているとは思うのだが、今しばらくはこの生活が続くかなあ。

2006/04/15

石川九楊

4/15 今年の大学の大きな仕事の一つに、新学科設立準備がある。今日は、その仕事で大阪にあるSという高校にお邪魔した。一時間、高校二年生を相手に幼児教育について話すというものである。頑張ってiworksでパンフレットも作った。

京都に来てまだ半月であるからして、大阪に足を向ける余裕等ない。だから、行ったことのない町にいく事になる。地下鉄を乗り継ぎ、阪急の特急に乗って梅田方面に向かう。乗り換え案内はこういうとき実に便利である。

関東と関西の違いはいくらもあるが、エスカレーターの通路の作り方はその一つである。京都駅ではなぜか関東スタイルなのだが、大阪に来ると違った。しっかりと歩く人は左側で乗る人は右側であった。

私の義理の父と兄は電車通であるが、その二人が日本の電車の中で一番好きなのが、阪急電車という事を聞いていたので、興味津々で乗る。

1)各駅停車なのに、早い。
2)特急が3Doorの方はとてもきれい。
3)線路際に桜の花が多い。

確かに乗り心地は良かった。

            ◆

S高校のある駅に降りる。
このS高校は義理の叔母の出身高だと言う話を聞いていた。また、義理の祖父の住んでいた町にも近いとの事。なにか、縁を感じる。

高校に到着し、50分話す。
高校二年生という事で、私が最後に楢原中学校で教えていた子どもたちと同じ年齢だ。あいつらどうしているかなあと思いながら、授業をする。

予定通りに恙無く終了し、学校を後にする。
その後、駅前のショッピングセンターを見て歩き、関東では店先に並んでいない魚を見て楽しむ。驚いた事に、北海道産の生のシシャモがあった。買おうかどうか悩んだが、移動距離を考えて我慢。

           ◆

奥さんに連絡すると、阪急デパートで食事をしているという。
そこで、待ち合わせをする事に。
会ってから四条を歩く。
私の目標は二つ。

1)石川九楊展を見る。
2)文房具を買う。

1)大丸の美術館でやっているのを見に行った、石川九楊氏は現在の書の世界ではトップランナーである。だが、なかなか肉筆を見た事がなかった。今回京都の大丸でやっているというので見に行こうと思っていたのだ。

いやあ、凄い。
おそらく中学生が見たらなにがなんだか分からないだろう。
これが文字? これが書道?
と普通は思うだろう。

そんな中に、良い言葉があった。(作品「歎異抄NO18」の解説文より)

引用開始 ーーーーーーーーーー

芸術表現は基本的に常軌を逸した職人芸に裏打ちされていなければならない。アルチザン(引用者注:職人)はアーティストでないかもしれないが、アーティストはアルチザンでなければならない。少なくともアルチザンの知る、制作上の微細な秘密に精通し、それを知悉していなければならない。

引用終了 ーーーーーーーーーー

そうだよなあと思う。中学生向けに話をすれば、書写と書道の違いと言っていいのかもしれないなあ。

その後、LOFTで文房具を買って目的は達成。

            ◆

錦市場を歩き、高幡不動のおいしいケーキのお店「FUJIU」のシェフに教えてもらった錦市場の近くのおいしいケーキ屋さんでケーキを買い、今日はおなじみの「天狗」で食事をして帰宅。

はあ、今日も歩いた。

キノコと水菜のアンチョビサラダ

4/14 午前中は家で仕事をして、午後から出かける。家探しである。ま、正確に言うと土地を見ているということである。大学の周りには何があるのか、そして、どう授業に使えるかということを見ながら、家も捜している。

今日は山科駅の北側を見て歩いた。毘沙門堂の桜に向かって歩いた。途中、琵琶湖の疎水を楽しみ、たどり着く。山科駅のスーパーで昼ご飯を買い込み、毘沙門堂の野外休憩所で食事をしながら花を観賞し始めた。美しいなあと思っていたところ、横の席に座っていたおじさんがどいた。

すると、
「この場所での飲食はご遠慮願います」
とのシールが席に張ってある。
(そんなあ)
もう既に、飲み物は空けてしまっている。

しかし、そこで食べ続ける訳にもいかず、飲み物をこぼさないように境内を出る。外から見る桜もまた美しかった。

            ◆

その後、醍醐まで行き、世界遺産の醍醐寺の桜を見る。家探しの途中で知り合いになれた醍醐寺のお坊さんからご招待を頂いたので、見に行ったのだ。枝垂れ桜とソメイヨシノの満開の時期は過ぎていたが、大手鞠の桜は満開であった。

こうして縁が広がっていくのは嬉しいなあ。来年は醍醐寺の夜桜にご招待していただけるとのこと。とっても嬉しい(^^)。

夜は、醍醐のスーパーで買ってきた地物の水菜を使ったサラダ等を作って食す。

キノコと水菜のアンチョビサラダ レシピ 2人前

1)水菜1/2袋を、ざく切りにして皿に並べる。
2)お好みのキノコを1/2袋程度茹でる。
3)茹で上がったキノコに塩をして、オリーブオイルで炒める。
4)炒め終わるころに、アンチョビペーストを小さじ1パイ程度いれて混ぜる。
5)1)の水菜の上に、4)をかける。

ビールを用意して、水菜とキノコを和えて、飲む食う飲む食うを繰り返す。
あー、美味いと呟く。

ということである。
お試しあれ。

2006/04/14

夜桜三昧

盛りだくさんの一日の最後を締めるのは、清水寺の夜間特別参拝である。
一言で言うと、極楽か地獄かというぐらいの壮絶な美しさであった。これを見るためだけに、東京から新幹線で来ても良いと思う。今週の日曜日までである。

            ◆

大学から家に戻り、マンションの前のバス停から清水寺に向かう。
清水寺は、修学旅行で何回も行っているが、観光バスで坂の途中の駐車場まで連れて行ってもらうので、下から歩く事はほとんどない。

多少汗をかきながら、坂を上りきる。いや〜、三門からして凄い。
清水寺は、山の上にあるので下界よりも桜の開花が遅れる。昨日の雨で花びらが散ってしまったかと思ったが、なんのなんの、まさに真っ盛りであった。

Kiyomizu


本当に、ため息しか出ない。
平安の貴族は、このライトアップされた桜は見る事はできなかっただろうな。もちろん、平安の貴族は電線のない景色を見てた訳だが、かがり火が焚かれていたとしても、桜はライトアップの方が美しいだろうなあ。

Kiyomizu2


町中に美しい桜があるのに、その近くに住んでいる人がライトアップしないのは、実にもったいないと思う。私も聖蹟桜ヶ丘の家では隣の公園にある桜にライトアップをしていたが、実に見事になる。年に1週間の贅沢だが、そのためのライトなんて5000円もしないで工事用品店で
手に入るのだから、これから満開を迎える北の国の方々、是非、挑戦していていただきたいものです。

            ◆

あっけにとられながらマンションに足を向ける。
途中で、八坂神社の前を通る。祇園だ。
私は円山公園の枝垂れ桜のライトアップを見ていなかったので、立ち寄る事にする。時刻は夜の十時近く。

円山公園はまだお花見の真っ最中。先週見に行った奥さんに寄ると随分お客は少ないというが、それでもかなりのお客さん。宴席の横を通り抜けてめざす枝垂れ桜に向かう。

でた。凄い。

静かに、音もなく、燃えている。

Maruyama2


魂を吸い取られないように、離れたところに腰掛けて見る。
持参していたビールとつまみで、静かに乾杯。

この枝垂れ桜は、見る位置を変えると色々な姿に変化する。
桜の周りを歩いていたとき、月が出ているのに気がつく。ほぼ、満月。

Maruyama


なんという美しさだ。
ああ、魂を吸い取られそうだ。

            ◆

それにしても、濃い一日だった。
夢の中には、夜桜の精霊がでてくるぐらいであった。

「国語科教育法」始まる

大学での初めての授業があった。
今年は、新学科設立準備のため集中講義で授業を行う事が多く、毎週行う授業が少ない。

木曜日の授業は、国語科教育法1である。中高の国語の教師を目指す学生が受講する。受講生する学生は3回生の女子学生。人数もそんなに多くない。これはやりやすい。実習形式で授業を行う事ができる。

本日の授業は、

1)授業開きの実際と理論
2)国語の授業とは何か
3)学習と勉強
4)勉強のできない子ども、苦手な子どもたちにする話
5)授業を受けるためのルール
6)質疑
7)次回の予告・課題提示
8)まとめ・感想

という流れで行った。
これをマッピングのメモを取らせながら、90分で行った。私は、90分の授業の方がやりやすい。早口になることもなく、学生の思考が動き出すのを待つ事ができる。

学生がどのぐらいメモが取れるかということを確認する意味もあったのだが、メモを取りながら授業を受ける事で集中して聞く事になる。出来上がったマップは、割と書けている。しかも書道学科の学生が多い事もあり、字もきれいである。

            ◆

学生の今日の授業の感想である。

・メモを取りながら聞いたので、”聞こう”という気持ちが持ててよく理解できたように思います。書くのが遅いので耳と手が合わなくて聞きのがしてしまったところがあるかも知れないです。とても興味深いお話でした。

・今日は、これまでの教職の授業とは違う内容で楽しく授業を受けることができた。

・授業に集中させるための技法の一つがこのマッピング目もだと感じました。集中する授業作りの一部を見ました。話術にも”おっ”と思うところがありました。

・メリ・ハリがあって分かりやすかった。まだメモの取り方が下手なので、上手くまとめられないが、自分なりにまとめられるようになりたい。また、どう授業を始めたら良いのか少し分かった気がする。

・すごいテンポが良い授業で、メモを取るのも大変だったけど、「授業」というものがすごく分かった気がしました。二回生より、教師の仕事というものが身近になった授業な気がしました。

・今まで授業開きについて考えた事などなかった。短い時間で言いたい事を伝えるのは難しいと感じた。これから国語の授業ができるように、勉強していきたいと思った。

・マッピング目もを今回初めてしました。ただ授業を聞くだけでなくこのやり方をすると自分の頭でどう整理したらいいかなども分からされた気がします。先生は授業は(ママ)すごく引きつけられたのでこんな授業ができたらと思いました。あと少し高校や中学の授業を受けているようで懐かしい気分でした。(笑)

・大学で当てられる授業というのがあまりないので緊張してしまいました。辞書をすぐに引くより、まず考えろといわれて普段自分があまり考えて生活してないかもしれないと感じました。今までただ知識の蓄積だけの勉強でしたが、今日の授業で教えるための勉強をしなければならないと思いました。

・初めは先生が言った事を全部書こうと思ったけど、そうすると、ずっと下を向いてばかりだし、書く事が多すぎて頭の中もぐちゃぐちゃになってくるので、大事だなあと思ったことだけを書いて前を見るようにしました。難しい授業かと思ったけど、少し、楽しかったです。

・マッピングメモははじめてだったのと、字を書くのが遅いので、メモを取るのに苦労しました。でも、メモを取る事は凄く大事な事だと思うので、なれていきたいです。集中して受ける事ができたので、時間が早く過ぎました。

・おそらく、初めてマッピンング形式での学習をしたのですが、うまくコンパクトにmとめることができず、やってみて難しかったです。でも、こういった授業、または先生の授業はメリハリがあって、緊張感もあって、集中して取り組む事がでたし、楽しかったです。先生のじがとてもきれいで読み書きしやすかったです。

・私が中学校の時や高校生の時の国語の授業は、指導要領にそったような授業だった気がするので、楽しいとか感じることがなかった。だから、私はこの授業で国語とは楽しいと思えたり、生徒を引き込めるような授業ができるようになりたいと先生の話を聞いていて思った。

            ◆

基本的には良い評価を貰っているようで良かった。そして、意欲が感じられるのが嬉しい。

特に私が面白いなあと思ったが、「テンポが良い授業」という感想を貰っている事だ。今日の授業は非常にゆっくりと話しているし、畳み掛けるような話術は使っていない。しかし、それでもテンポが良いと評価している学生が割といる。

授業のテンポとは授業の展開スピード、話の早さと関係がないとは思わないが、別の要因もあるということが改めて分かったのが私の昨日の収穫である。

来週の授業は、「授業を行う者としての基本技術」を扱う予定である。

ああ、授業は良いなあ。
この子たちが、力を付けて学校現場でがんがん生徒を育ててほしいなあ。

2006/04/13

餃子の王将

京都に行くことが決まったとき、仲間に言われたことは
「いいですねえ、京都にはおいしいものがたくさんあって。池田さんグルメだから楽しみでしょう」
ということである。

私は趣味は料理だが、高い食材を豪快に使って作る事もなければ、美味くて高いものを食べ歩くという趣味もない。ただ、折角外で食べるのだったら、自分の趣味に合うものを食べたいというだけでの事である。しかも、安く。

そういう私が京都の食べ物と聞いて一番始めに思ったのが、「餃子の王将」である。

            ◆

学生時代、下北沢の近くに下宿していた。当時、下北沢でよく飲んでいた。本当に飲んでいた。蜂屋なんていうとっても安い(500円は食べられない。だって、餃子100円、野菜スープ150円、チャーハン200円だった)定食屋さんがあり、陣太鼓という戦国焼き鳥屋で回転から閉店まで飲んでいた事もある。

その下北沢の駅前に「餃子の王将」があった。

あるとき、ちょっと頭に来た事があって下北沢を歩いていた。すると、その餃子の王将で、「10人前を30分以内で食べられれば無料!」という看板があり、餃子が大好きで、おなかが空いていて、しかも頭に来ていた私は挑む事にした。

待つ事5分。目の前には大皿に載った10人前の餃子が出てきた。
「んじゃ、あの時計であこまでね。はいどうぞ」
と言われて食べ始める。
(あ、熱い!)
できたての餃子は非常に熱い。慌てて水を飲む。しかし、これが良くない。おなかを膨らませる事になるのだ。

しかも、重ねて皿の上に盛りつけてある餃子は、一番上の3人前を食べても、下にある7人前の餃子は熱々なのであった。
(やばい)
と思ったが、意地で食べた。頭に来ていてよかった。
最後は、口の中に押し込んで時間内に食べ終わった。

店員さんが、
「大丈夫。トイレで吐き出してきても良いよ」
と言ってくれたが、そんな失礼な真似はできない。頑張って飲み込んだ。

            ◆

今日の午前中は、三条の大きな店を回り研究室に揃える文房具を買いあさった。
高島屋、OPA、LOFTと回ったが、やっぱりLOFTが一番品揃えがあったな。やっとステドラーの2.0mmの製図用シャープペンシルを買う事ができた。鉛筆は、これが書きやすい。適度な重さが良いのだ。替芯や専用の鉛筆削りも購入。四月は新しい文房具を買うに限る。

で、嬉しい気持ちで高瀬川沿いを歩いていたら、見つけてしまったのだ。「餃子の王将」を。ちょっと迷ったものの、突入。

カウンターでは、12時前だというのに、餃子をつまみにビールを飲み赤ら顔になっているおじいちゃんがいる。いいなあ、こういうの。

私は、基本である餃子を二人前とライスを注文。
やはり、美味い。
しかし、20年ぐらい前ではあるが、これを10人前も食べたのかと思うと、自分でもびっくりする。餃子を二人前とライスだけでも十分におなかがいっぱいで、なおかつちょっと食べ過ぎたかなと思い、
(ああ、今日も駅からはバスはやめて歩いて大学まで行かなければならない)
と決意をするぐらいであった。

いつかやってみたい、餃子の王将で昼間からビールと餃子。
私のグルメなんて基本はこんなものである。

2006/04/12

去年までの俺は何をしていたんだ?

今日は初めて学生達の前で話した。教職関連のガイダンスである。

私が担当するキャリア開発演習の受講のすすめを行った。150人程度の学生達を前に話すことになったのだが、昼休みという事もあり、食事をしながら説明を聞く事を特別に許可していた。私の持ち時間は15分。

何をどう話そうかと考えて、メモが出来上がったのが今日の午前中ぎりぎり。学内の担当者の先生たちにそのメモを学内LANを使って配信。話が重ならないように、または足りないところがないかをチェックしてもらうためである。

それから読みの練習。研究室は私の他に誰もいないので、こういう時は便利である。タイマーで測ったら12分31秒。ま、これなら15分以内に収まるだろう。

話した内容は次の三つ

1)教師の仕事の面白さと難しさ
2)京都橘大学で設けている教職課程の授業プログラム
3)それを受けて「キャリア開発演習」の授業の意味

食事をしながら聞いていた学生達が、箸を止め真剣に聞いていた。私語なんて本当にいない。よし、こういう真剣さが伝わる学生には、きちんとした授業をしようとますます思う。

本番も12分39秒で終わる。よし、時間の感覚は鈍っていないぞ。

             ◆

午後は研究室に再び籠る。予定されていた会議が延期になったのでさらに籠る。授業の準備に勤しむ。しかし、きりがないなあ。去年までの俺は何をしていたんだ?と思ってしまうぐらいである。

もちろん、授業の内容は違うし、教科書もないから自分で教科書を作る感覚で資料を集めて構成してとやっているので時間がかかる訳だが、やればやるほど
(あ、あれもだ)
と盛り込んでしまう。

実際の授業ではここで用意をしているもののうち、10/10でやってしまったら学生達がパンクしてしまうから6/10ぐらいできれば良いのだと思うが、準備はしておかなければ。

で、予定していた帰宅の時間を2時間ぐらい過ぎて帰宅。ま、まずい。
実は今宵は清水寺のライトアップを見に行く予定だったのだが、遅れてしまった。家に帰って軽く食事をしていこうと思ったのだが、これがまたおいしいものが用意されていたので、まったりしてしまった。

ということで、清水寺は明日に変更。
上手く行けば、満月と満開の宵になると思う。
さてさて、いかがでしょうか。

2006/04/11

ぐぁどーんんんんんんんんんんん!

(なんだ、何かショートしたか?)
大学から歩いて帰ってくる時のことだ、一瞬目の前というか、辺り一面が真っ白になった。思わず身構えた瞬間、
「ぐぁどーんんんんんんんんんんん!」
という音とともに雷が落ちた。

今日も一日研究室で仕事をしていて、気がついたら乗ろうと思っていたバスに乗り遅れたので歩いて帰っていたのだが、あの雷には参った。今日は確かに雷が鳴ると昨日の天気予報で言っていたが見事に当たった。でも、私に当たらなくてよかった。

しばらく歩いていたら、消防車のサイレンの音がしていたから被害があったんだろうなあ。桑原桑原である。

ま、バスに遅れた御陰で凄い夜桜を見る事ができたんだけどね。

Jinnjayozakura


            ◆

大学は山の斜面にある。
だから、下界よりは少し桜の開花が遅くなる。今、満開というところであろうか。研究室の前にあるのは八重の桜。ユキヤナギからバトンタッチされた感じで、きれいに咲いてきた。

このところしている仕事は、高校生に向けて、来年度できる新学科(児童教育学科)と教育に関する説明をするためのレジュメを作っている。中学校の説明であれば改めて勉強し直す事もないが、もう少し大きな視点で教育を捉えて、それを高校生相手に説明するので勉強し直している。

レジュメはできたのだが、折角だからこれをパンフレット形式にしてしまおうと思って、あべたかさんも使っていたマックのiworksに入っているpagesというソフトを使って作ってみた。

以前使った時は、pagesの上で文章を書いていたのだがこれが非常に重たい。つまり、動きが鈍い。そこで、今回は文章はエディターで作っておいて、流し込む事にした。すると、かなり快適に使う事ができた。ちょっとはまりそうな感覚。

            ◆

で、ここまで来たらレーザープリンターでプリントアウトしようと思い立ち、大学の専門家に相談する。あれこれやって完成。その過程で色々な事を教えてもらう。

いやあ、すごい。
マックを校内ランに簡単につなぐ方法やら色々な事を教えてもらった。一気に大学の授業実践の構想が広がった。いや、深まった。

ちょっっと思い出すとたぶん、1990年ぐらいに思いついた実践の構想なのだが、ここに来てやっとできそうだ。20年かかったかあ。今年の前期にこの実践ができればいいなあ。

嬉しくなって、研究室を出る。
ところが、そこで雷に遭う。
そんな一日だった。

2006/04/10

一日中研究室に籠って

ふう。終わったのが7時ちょっと前。
一日中研究室に籠って仕事をしている。
研究をしているというよりは、仕事をしている。

まだ、大学での体の動かし方が分かっていないので、一つ一つスケジュールを確認しながら、今日中に書き上げなければならない書類なのか、今週中にしあげなければならないものなのかを何回も確認しながら進めている。

今日は8時間ほど研究室に籠っていた。
だが、この仕事に関しては、今は心地よい充実感を感じている。

創り出す事の喜びなのだろう。
まだ授業がないのがなんとも不思議な気持ちだが。

ウグイスの鳴き声

大学に行く途中、蹴上の桜を見る。
細かい雨が降っている。
昨日とは全く別の景色だ。

今日は一日研究室で仕事を進める予定。
高校訪問の準備をし続ける。

研究室の外は、八重の桜が咲き出した。
そして、ウグイスの鳴き声が聞こえてくる。

春の雨もいいものだ。

2006/04/09

家探しは続く

昨晩手に入れた「純米 大七」が効いたのか、今朝はぐっすり寝ていた。三条の高島屋で手に入れた刺身とマッチして飲み過ぎたかもしれない。

いや、それだけではないだろう。京都に来て東京の生活とかなり違っているのが、「歩く」ということである。自動車も自転車もないからなのだが、良く歩く。だから、体が疲れるということで、ぐっすりと寝ているのだろう。

うどんの朝ご飯を食べて、近所を見て回る事にした。まず、琵琶湖疎水のほとりには満開の桜。さらに、平安神宮。そして琵琶湖疎水を作った蹴上インクラインの桜並木。南禅寺の水道橋。南禅寺の三門(山門ではない)は特別拝観で上に上ることもできた。哲学の道は入り口だけ確認。

いやあ、実に歩いた。どこに行っても凄い人で、凄い桜だが、東山に住んでいる間に見られるものは見ておこう。

家に帰ってきて昼ご飯のパスタを食べて、ごろっと横になったら完全に熟睡。幸せ。

            ◆

午後は、家探し。
今日は京都の南を見に行く。六地蔵、宇治と見て回る。結論から言うと、残念ながら
(ああ、住みたい)
と思う気持ちにはなれなかった。
今度は、京都の北の方を見て回る事に決めた。

宇治からはJRで京都駅に行く。関東の感覚ではちょっと違うのだが、関西ではJRの方が私鉄よりも安い。

京都駅の駅ビルは、実は一回も上った事がなかった。六本木ヒルズも代官山ヒルズもいかない私であるから、京都駅ビルに行く事もないかと思っていたのだが、奥さんがきれいだから行くと良いよというので、行ってみる事にした。

きれいだった。

Kyotost
無駄な空間があるなあと思いながらも、夕刻のビルはきれいだった。やっぱりこういう風景がないと私達は生活しにくいのかもしれないなあと思った。聖蹟桜ヶ丘は、コンパクトな都会の一面を持ちつつ、自然も豊かであったので、都会の雰囲気もないと生活しず来のかもしれないと思った。

            ◆

さて、夕ご飯である。朝昼と麺類であったが、夜も麺にした。ラーメンである。今回は当たりであった。

京都駅の地下街portaにあった。「麺屋 かんじん堂」の「京野菜ラーメン 650円」は良かった。タンメンなのだが柚子の入っている麺と、柚子の入っている塩味のスープ。さっぱりとした味で、スープも最後まで飽きずに飲む事ができた。お勧めである。

満足して、地下鉄を乗り継ぎ帰宅。はあ、風呂が気持ちよい。

2006/04/08

満開の京都

Takasegawa

清水ヘ祇園をよぎる桜月夜
こよひ逢ふ人みなうつくしき

与謝野晶子

まさに京都はいま、この歌の季節を迎えている。
これが凄いのだ。

今日は土曜日。新入生キャンプから帰ってきて地下鉄に乗ったら凄い人。京都の桜を見ようとする人たちで溢れかえっている。いや、本当に溢れかえっている。

私の今の住まいは地下鉄の東山駅のすぐ近くだが、一日中道路と歩道は人で埋まっている。町中が原宿の竹下通りのようである。

そして、街中がかすんでいる。何だと思えば、黄砂だという。そして、寒い。いやあ、京都に来て一週間だが、なかなか楽しめる。

夜になって三条まで買い物に出かける。ここも凄い人。こういう時は、店に入らないで買い物をして家で食べようということにしたのだが、それにしても凄い人。

寺町通などをぐるっと回って、四条から三条へと高瀬川沿いを歩く。そこはもう、なんだこれはと思う満開の桜である。

絶句である。

あと一週間は、京都の桜は満開です。

2006/04/06

この世の終わりかと思った

午前中は、住まい探しで京都市内を探索。
そうしていたら、京都御所の一般開放であることに気がついた。

(そうだ、左近の桜、右近の橘を見なければ)

と思い、京都御所に入る事にする。
いやあ、凄い桜であった。

見ている観光客が

「あまりにきれいで、この世の終わりかと思った」

と話していたが、むべなるかなというところである。本当にきれいであった。これから京都に住まいするのだから、そんなに慌てて市内を見て回らなくても良いのかもしれないが、花の季節は一瞬である。雨にやられてしまう前に、見ようと思う。

                          ◆

200604061509000_2

午後からは研究室で授業の準備。
写真は、研究室に活けたソメイヨシノ。

時間が過ぎるのがあっという間である。
もう7時を回ったか。
帰らないとまずい。明日からは新入生キャンプの引率があるからだ。
初めて、学生と直接接する事になるなあ。

いよいよ動き出すか。

2006/04/05

今度ちょっと話してみるか

会議が続いている。
が、中学校と随分と違う。
何が違うと言って、会議中に外で大きな音がしても、立ち上がろうとする人がいない。

中学校の会議であれば、会議中に会議室の外で大きな音がすれば、必ず何人かの先生が席を立ち上がり、音の原因を確認する。

暴走バイクか、喧嘩か、ものが落ちたか、いたずらか、不審者か? という思いを抱いて、会議室を飛び出すのだが、当たり前のことだがここではない。

じゃあ中学校の会議がそんなに重要ではなくて、大学の会議が重要なのかというとそういう事ではない。組織の意思確認、動き方、動かし方を年度の最初に行うのは、どちらも大事である。それがやりにくい環境になっているのが、学校現場が困ってしまっている点である。

一年間の方針を確認する会議、毎週の問題を処理する会議、せめてこの二つの会議がきちんと行われることが保障されなければ、まずいだろう。

                  ◆

大学の会議では、自己紹介も行われた。

本学の全教員が1〜2分で行う。色々な先生、有名な先生が多くてミーハーな私は嬉しい。キトラ古墳の名付け親の先生もいらっしゃる。そして、みなさんお話が上手い。笑いもある。良い授業をされるのだろうなあと思う。

思うに、この自己紹介がきちんとできるという事は、当たり前だが大事だ。

・自分の名前を覚えてもらえるか。
・自分と所属する団体との関係を話せるか。
・自分が何者なのか興味を持ってもらえたか。

を意識して話す。
そして、聞いている方と
(ん、私と○○で関係があるな。今度ちょっと話してみるか)
と思ってもらえれば成功であろう。

私は、

・元の仕事
・東京の住所の特徴
・東京と京都の違いを感じたところ3つ
・京都橘大学の感想3つ
・自分の専門と大学での仕事3つ

このぐらいを2分間で話した。

他の先生たちの話を聞いて思った事は他にもある。
それは、いろいろな経験をしている方が多いという事だ。

もちろん、「学生時代にアルバイトを50種類経験しました」というレベルではなく、それぞれ専任として責任ある仕事をいろいろとされて、その結果、教育に戻ってきている方、または、教育に新たに足を踏み入れた方という意味である。

成熟社会では、一つの事をしつつける事で他の人との違いを生み出す事は、難しいと思う。余程の才能と才能をフルに生かすだけの努力がある人でなければ、難しいだろう。そういう人も大事だが、教育に関わる人は、学生の将来が限定されていない分だけ、指導者としての広ガサが必要になる。だから、様々なキャリアが個人の中で影響し合って一つの人格になっているようなことが大事なのではないかと思う。

カーネギーではないが、目の前の仕事を徹底的に自分のものにしようと努力を重ね、次の仕事にいくということを続ける事が、大事なのだろうなあと改めて思う。


明日は、授業の準備に費やす一日に鳴りそうだ。

                  ◆

夜は、京都の敬愛する先生と食事をする。
授業作りネットワークつながりで、ご縁を頂いていたのだが、私が京都に行くとは思っていなかったし、もちろん、かの先生も思っていなかったから、衝撃の出会いという事であろうかf(^^;。

何かのご縁で京都に来て、関われる事になりそうなので、私も関わらせていただこうと思う。

ネットのつながり、授業作りネットワークのつながり、人のつながりを幸せに思い、ありがたいと思う。

「授業づくりネットワーク2006in大阪」プレ集会 IN 京都

4/29に京都での講座があります。
住まいを京都に移して初めての講座です。

生徒指導講座です。時間がありましたらお越し下さい。
お待ちしております。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    多彩な講師陣が授業成立の基礎技術を伝授する!
    「授業づくりネットワーク2006in大阪」プレ集会 IN 京都
    授業成立の基礎技術を学ぼう
                         主催・古都教育サークル 
                      後援・授業づくりネットワーク
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
           
 この度、京都にて全国の有名実践家の先生方をお呼びし、「授業成立の基礎技
術」について語っていただきます。「教壇に立ったけど、授業や学級経営の方法
がよくわからなくて」、「最近授業も学級経営も何となくマンネリ化してきて、
子どもたちの反応が今ひとつだなあ」というお悩みを持たれている先生方!ゴー
ルデンウィーク最初の連休は是非交通至便な京都駅前にて学び合いましょう!
お待ちしております。

○日時 2006年4月29日(祝)10:00〜17:10

○場所 キャンパスプラザ京都(JR京都駅より徒歩5分)
http://www.consortium.or.jp/campusplaza/guidance.html

○講師陣
 野口芳宏氏 「野口流・国語科授業成立の基礎技術」
 深澤 久氏 「道徳授業成立の基礎技術 〜「技術」を支える「哲学」を〜」
 上條晴夫氏 「授業成立の基礎技術の必要性」
         「授業成立の基礎技術−まとめ−」
 赤坂真二氏 「学級の状態を分析し処方する」
 池田 修氏 「こんな時どう言い返す』方式による中学校生徒指導入門」
 土作 彰氏 「ミニネタは授業成立の基礎情報〜授業構造論と開発法〜」
    
○参加費   5000円

申し込み方法
 ■まず事務局の土作までメール、電話、ファックスで「参加希望」と連絡して
  ください。
仮予約としてお席を確保の上、追ってご入金方法など詳細をご連絡いたしま
  す。

事務局連絡先 
 土作 彰  メール tuttyan@manekineko.ne.jp
電話・ファクス 0747−53−0282

2006/04/04

初めて研究費なるもの

午前中は、家で授業や出張講座の準備。その合間を縫って日常生活で足りないものを買い出しにいく。
地下鉄東山の駅のすぐ近くなので、歩いて八坂神社、円山公園、知恩院、青蓮院と見て回る事ができた。

円山公園の枝垂れ桜は、ほぼ満開であった。倒れないようにするためか、枯れてしまっていたためか、何本かの枝が切られていた。残念であるが、「活かす」ために必要な処置は、一件残酷な事もあるから、仕方がない。

活かすで思うのだが、このところおなかの具合が良い。三月の末に内視鏡カメラ検査の結果を聞いた。ポリープはあったものの、陰性であり特に問題はないということであった。であれば、あの下痢は何だったのかと思う。が、このところ大丈夫である。体は正直というのは、実にこのことを言うのであろう。

                  ◆

午後からの大学の新入生ガイダンスに出席。その後、打ち合わせである。
これらの行事の合間に、昨日貰ったパスワードで、研究室のパソコンの設定を行う。

ニフティのweb-mailを使えるようにし、blogも書き込めるようにした。スケジュール管理のサイボウズが入っているので、便利だ。そして、表示が早い。これは快適である。

                  ◆

打ち合わせの主な内容は、学生の学習環境の整備についてである。
凄く丁寧に学生の学習環境を整えようとしている姿に、感動。

私が大学生の頃にも、私の大学の職員や先生達はこんなに考えてくれていたのかなあと思う。ま、私は、自分で勝手にやっていたので、あんまり関係なかったかなf(^^;。

                  ◆

今日は初めて研究費なるものを使ってみた。生協で使う方法はこれで分かった。このあとは、ネットで買う方法、外の店で買う方法を実際にやってみることだな。少しずつ研究室に必要なものを取り揃えていこう。少しずつ大学でのやり方を覚えていこう。

2006/04/03

うしゃあ、研究すっぞ!

今日は一日、新任教員のためのガイダンス。
午前中と午後の時間をたっぷりと使って、大学の歴史、研究費の申請の仕方、コンピュータ環境、図書館の使い方等の説明を受ける。

その間、奥さんが私の研究室を使いやすく整えてくれていた。本当に、ありがたい。ガイダンスから戻ると、実に研究室っぽくなっていた。

ガイダンスと研究室の様子を見て、
(うしゃあ、研究すっぞ!)
という思いが湧き出てくる。

本来なら、お疲れさんと奥さんにお茶の一杯でも入れてあげるのだが、実は、急がなければならない事情が。今年まで京都橘大学で勤められていた国語教育の大先生が、今のお住まいを手放すという事で、良かったら見に来ないかとのお誘い。

残念ながら先生のお宅は売約済みになってしまったのだが、似たような物件が出るかもしれないとのことで、お宅に訪問して見せていただくことになったのだ。げげげ。下々の私にはお話もできないぐらいの有名な先生だぞ。しかし、ご縁を頂いたので伺う事にした。

場所は醍醐寺のすぐ近く。世界遺産の醍醐寺だ。
お宅に入れていただき、醍醐寺を上から見る。はあ、すごいなあ。
しばらくお話を伺った後、御礼を述べて後にする。

折角だから、醍醐寺にも足を伸ばす。
夕方だったので、一般開放の時間は終わりになり、招待客が宴席に招かれていた。
私達は、塀で囲まれた外側の参道を歩く。それでも十分にきれいであった。
夕焼けと桜のビンクが、実に見事であった。

                  ◆

ところが、この後が良くなかった。

おなかがすいたので、醍醐から三条京阪まで地下鉄で向い、気になっていたラーメン屋で食事にすることにした。「山頭火」である。気にはなっていたのだが、一回も食べた事はなかった。側を通るといつも行列している。挑戦である。

多少行列に並んで、「塩ラーメン」「醤油ラーメン」を頼む。
期待の一口を口に運ぶ。はあ? なんだ? 味にメリハリはなく、麺はぼそぼそ。それでいて750円もする。ああ、聖蹟桜ヶ丘のラーメン亀我楽のレベルの高さを改めて思う。

あまりにも頭に来たのだが、
(割と早いうちにダメだってことが分かってよかったじゃない)
という奥さんの慰めで、心を落ち着かせた。

家に帰ってからは、買っておいた甘鯛の刺身(半額)で、ちょこっと飲む。買っておいて良かった甘鯛(半額)。

                 ◆

明日は、和田中学校は始業式に入学式だなあ。
生徒のみんな短い春休みを楽しんだかな。
いい新学期を。

2006/04/02

大学始まる

4/1 入学式があった。
入学式の前に、辞令伝達式という事で、助教授の辞令を受け取る。いよいよだ。

入学式は、午前と午後の二部構成。私の所属する文学部は午後なので、辞令の後は研究室に戻り、仕事をする。研究室は一階の角部屋。日当りは良いのだが、寒い。暖房を入れるのだが、なかなか暖まらない。が、仕事を進める。

お昼ご飯は、弁当。
さすが元女子大だけあって、お弁当は上品。そして、量が少ないf(^^;。食事場所にいた事務方に部屋に暖房が入らない事を伝えたら、元が入っていない事が判明。その後は入りました。ああ、良かった。たっぷりと味わった後に、入学式に突入。

式は、事務局がすべて段取りをしてくれて、進んでいく。私は席に着いて進行を見ている。上回生が進行を段取る。いいなあ。全員の名前を呼び、返事を確認する。いいなあ。ブラスバンンドもいい響きだ。

その後、父母の会に参加し、校内見学会を引率する。

すごく、丁寧な大学だと思った。学生の成長を教員と職員のどちらもが心から願っているのが、ひしひしと伝わってきた。
(うしゃあ、その一員としてやるぞ!)
と思えたなあ。

すべてを終えて、研究室に戻る。
さらに、事務仕事を進めて、区切りの良いところで帰宅するかなと思う。
でも、帰って良いのかよくわからなかったので、スケジュールを再確認。
大学になれるのには、時間がかかりそうだf(^^;。

                   ◆

自宅に戻ると、連れ合いが部屋を片付けてくれていた。
いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜、感動である。マンスリーマンションが、我が家になっていた。

荷物を運んできた段ボールを棚にし、文房具に食器に洋服と、聖蹟桜ヶ丘の我が家の雰囲気になっている。

やっぱり、我が家は連れ合いが作っているんだと、しみじみ思う。ありがたい。

                   ◆

夜は、三条まで歩いていき食事。吉祥寺で気に入った、HUBというパブがあるのを発見。入る。ゆったりと食事。そこで、とんでもない事に気がつく。

なんと、3/26の結婚記念日を忘れていたのだ。いままで全く忘れる事等なかったのだが、奥さんも忘れていたらしい。

3/26、ああそうだ、関東甲信越大会の日だ。年度末の忙しさに入り込んでいて、全く忘れていた。こんなこともあるんだなあと思えるほど、忙しい日々であったとさ。

ファーストインプレッション

ということで、京都のファーストインプレッションです。

1) 自転車にぶつかる

京都市内は平らな土地なので、自転車にとっては走りやすい土地。ということで、全国共通の駅前の放置自転車がある。

気になるのは、その放置自転車にぶつかる事だ。東京でも放置自転車はあるのだが、ぶつかる事はなかった。なんだろうか? おそらく置いてある位置が、微妙に違うのだろう。今までの体の感覚でなら、ギリギリで通り過ぎる事ができる際がずれているのだろうなあと思う。

2) 花粉症?

ひょっとしたら、凄いかもしれない。花粉症が、ほとんど治っているのだ。噂には聞いた事があるのだが、関東と関西とでは花粉症の遺伝子が違うということ。本当かもしれない。凄い、楽である。

ま、今年は花粉症が少ないという事なので、その影響かもしれないが。なんでも良いが楽内のは嬉しい。

3) 寒い

同じ時期の東京に比べると、寒い。寒いのは嫌いだ。
そのおかげで、まだ桜が咲いていないので、もう一度桜の開花につきあえる事になる。

それは、楽しみ。

2006/04/01

転職のご挨拶

ご挨拶

私、池田修は平成17年度いっぱいをもちまして、東京都の中学校国語科教諭(杉並区立和田中学校)の職を辞し、平成18年度から京都橘大学文学部助教授として赴任する事になりました。

中学生の側を離れる事には寂しさもありますが、子どもから学んだ事、仲間から学んだ事、恩師から受けた指導への恩返しをするには、大学で学生を指導するのが一番と考え、決心しました。

大学では、国語教育と特別活動論、また教職総合演習にキャリア開発などの授業を担当し、ディベートも指導します。また、来年度に開設される児童教育学科の設立準備に携わります。

これから先、何があるか分かりませんが今は、一回限りの人生において、新たなステージを手に入れる事のできる幸せを感じております。

今後ともご指導頂く事ばかりだとは思います。よろしくお願いいたします。

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