« 石川九楊 | トップページ | 『流学日記』 »

2006/04/17

旅人戻らず ー二条城の桜ー

4/16 今日は気温が高くなるという予報だったので、午前中から探索に出る。

実は私の現在の住まいは、あの一澤帆布のお店のすぐ近くである。ということは、信三郎帆布のすぐ近くでもある。お家騒動の後の信三郎帆布新規開店ということで、店の前はいつも大行列。開店の9時には100人ぐらいの人がいる。で、今日ちょっと覗いてみようかと思ったのだが、今日は休業日でした。うーむ。

白川沿いを祇園に向けて歩く。
まだ白川沿いの桜は美しく咲いていた。
もちろん、この場所にくれば
「かにかくに・・・」
で始まる吉井勇の短歌を思い出す。美しいなあ。

その歌碑のそばを歩いていたら、川沿いを歩く猫を発見。見ていると器用に屋根伝いに歩く。そして、あるお店の屋根の下の欄間の前で丸くなって目をつむってしまった。まるで、「眠り猫」である。平和だ。

            ◆

祇園の町並みを眺めた後、もう一度円山公園に向かう。最後の枝垂れ桜を見るためだ。
その途中に「なか卯」があったので早めの昼食とする。気になっていた「トマトうどん」を食すためだ。

感想だが、これはいけるのではないかなと思う。「ミートソースうどん」という感じである。ちょっとはまるかもしれない。

で、円山公園の枝垂れ桜だが、残念ながら盛りは過ぎていた。公園にいた女性が
「えー、昨日の夜はきれいだったのに」
と叫んでいたから、一晩で終わったのだろう。

はかない。
もったいない。
切ない。

            ◆

P4160149
円山公園、岡崎公園と通り抜けて、黒谷に向かう。ここは江戸時代の最後に、会津藩藩主、松平容保が本陣を構えたお寺がある。ここの桜が東山区の桜では最後の満開になる。ちょっとした山になっていて、京都の街を見渡す事ができるのである。

新選組もこのお寺の山門に上り、町の動きを見張っていたのであろう。

さらにこのお寺には、平家物語の「敦盛の最期」に出てくる熊谷次郎直実が、敦盛を殺めた後、出家した寺とも言われている。熊谷次郎直実が脱いだ鎧を立てかけた松の木というものがある。

とにかく、当たり前だが、歴史だらけの町なのだ。

            ◆

白川沿いのちょっとしたレストランで、夜のおつまみを買う。そして、歩き疲れたので、白川沿いのそば屋に入る事にする。中に入ると満席。しかし、タイミングよく、白川を臨める奥の座敷がちょうと空く。そこに席をゲットする。

天婦羅蕎麦を頼む。白川の美しさのために、お酒も頼む。「京乃一滴」という純米酒をぬる燗にして一合もらう。

一度やってみたいと思いながらやった事がない食事がある。それは池波正太郎だったか、山口瞳だったかが日曜日の昼にやるという食事だ。

そば屋で、「ぬき」というものを頼み、お酒を楽しむというのだ。この「ぬき」というのは、あたたかい天婦羅蕎麦の「蕎麦を抜いたもの」というのだ。つまり蕎麦の汁の上に天婦羅の具が載っているのだ。これをつまみにしてお酒を飲み、飲み終わったらざるそばを一枚手繰ってオシマイという昼ご飯だ。

やってみたいのだが、まだちょっと修行が足りないなあということで、ちゃんと天婦羅蕎麦に日本酒という食事であった。

            ◆

昼酒が足腰の疲れにとけ込んだ。いったん家に戻って休憩。

そして、本日最終日の出し物を見に行く。そうである、懸案の二条城の桜のライトアップである。。これだけライトアップを見ればもう良いだろうと思う方もいるだろうが、それはそれである。

二条城は、徳川家康が築城を命じ、徳川慶喜の幕引きの舞台にもなった訳である。そこに植えられている桜は大きく三種類。ソメイヨシノ、枝垂れ桜、その他である。枝垂れ桜が満開であった。

京都工芸大学(だったかな?)の協力があり、城内のガイドには彼らが作った照明器具が使われていた。竹を加工して作ってありこれもきれいであった。

そして、肝心の桜だ。
お殿様しか見る事のできなかった桜が、目の前にある。
見事だ。
静かに揺れている。
いや、風はない。
しかし、木そのものが揺れているかのように満開の花を投げ出している。
その投げ出し方が、揺れのように感じさせるのである。
ふう。

P4160126

P4160177

庭の奥にも桜の壁が見える。この壁にもライトが当てられている。
この桜の壁は、ふすま絵に描かれた桜であるかのようだ。
ふすま絵は、写実であったのか。

P4160147


ため息とともに、出口近くに戻ってくると琴の音色。
なんとライブで演奏があるとのことだ。
ちょうど前の演奏が終わったところで、最終回の演奏がタイミングよく聞ける。池坊のでっかい生け花のある会場で、最前列で鑑賞。三人の奏者が奏でる。さくらさくら、隅田川などの曲を奏でる。いいなあ。

P4160188


三人の着物は、若い人が赤地に桜、ちょっと年配の二人が空色地に桜と黒地に桜であった。特に黒地に桜の着物は、夜桜を表しているようで見事であった。夜の特別拝観の最終日の最後のステージ。次は来年です。

            ◆

十分に歩き回って、心にエネルギーをたくさん入れて、週末終了。
家に帰って、昼間に買ったおつまみで桜を思い出しながら、一杯。

旅人の生活から、日常人の生活へと戻るべき時が来ているとは思うのだが、今しばらくはこの生活が続くかなあ。

« 石川九楊 | トップページ | 『流学日記』 »

コメント

いつか「酔睡亭京都散策日記」を新潮文庫あたりから出版してください。楽しみにしています。

はい、仕事もしっかりとしたいと思います。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/95613/9633415

この記事へのトラックバック一覧です: 旅人戻らず ー二条城の桜ー:

« 石川九楊 | トップページ | 『流学日記』 »