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2006/06/14

頑張れ先輩、続け後輩

再び、教育実習に向かう先輩達の話。授業をどのようにつくるかの相談である。自分が学ぶのと、自分で教えるのは全く別物だからなあ。焦っているのが分かる。

相談にくる先輩たちは、私に答えを求めてくる。つまり、どういう指導方法、指導案が良いのかを聞きにくるのだ。だけど、私は答えない。まずは、自分がその教材をどう解釈して、どういう指導方針を立てているのかを聞かない事には、私の話はしない。

だってね、そこが一番苦しく、面白いところだからなのだよ。教材に向き合い、自分の力量を鑑み、生徒を理解し、想像し、分析し、授業プランを作る事が、教師には必須の力量である。これに挑戦しない教育実習なんて、ほとんど意味がない。

授業は、これが正解といことはない。子どもの事実から、確からしさの精度を高めていくしかないのだ。だから、教師は現場で自分の頭で考えるのだ。教われないのだ。自分なら、どのように教えるのかを考える習慣をつけるのだぞ。

            ◆

で、相談の一つ目は高校の現代国語「メディアに軽重はあるか」という単元。要は、手紙とメールではどちらの方が良いのかということである。

『どんな風に授業を作る予定?』
と聞いてみると
「私は作者の主張に賛成で、私は手紙が好きです。だからそのように結論を持っていく心算です」
とのこと。うむ。

『残念ながら、それでは失敗すると思う。先生が好きか嫌いかは、この場合あまり意味がない。先生は好きですで授業が成立するのは、小学校のかなり低学年か、生徒が先生の人間的な価値を十分に認めている時に、(そうか、この先生が好きならば何か意味があるなうと思う時ぐらいです。あとは
(あっそ、好きなの。勝手にすれば)
と思われておしまいね』
「・・・・・・」
『だから、生徒が「私は好きだな」「いや、私は嫌だな」と議論が起きるように授業を構成して、先生は「なんでなの?」と聞いて回るようなものにすればいいんじゃないの?』
「それはどうやったらいいのでしょうか?」
『そこを考えるわけね(^^)』

『もう一つ、そもそも「メディア」って何?』
「えーっと・・・」
『これを小学校の四年生ぐらいにも分かるような説明を考えておかないとね。先生がきちんと教材を理解していることが大事。そして、説明できることが大事ですよ。じゃあ、来週その答えを聞こうか』
「はい」

            ◆

二つ目の相談は、「『五十歩百歩』の指導の仕方」でした。どのような順番でやるのか考えていると言う。聞いてみると、

1)訓点の説明
2)本文の説明
3)文化的、社会的な背景の説明

ということでやるとのこと。うむ。

私は生徒の立場から考えてみることを話した。
『たとえばね、サッカーの授業でインサイドキックを100本、リフティングを50回、スローインを50回やったあとにゲームに入るのと、「手は使うな、ゴールに足で蹴り込め、それいけ」でゲームに入るのでは、どっちの方が楽しい?』
と聞いてみた。すると後者だと言う。
『ならば、この授業もそのように作ってみたらどうかな?確かに訓点の説明も大事だけど、最初に本文に挑戦するほうがいいのでは? 例えば50回読んで暗記させてしまって、そのあと白文のプリントを元に、どの順番で読むのか数字を書いて、そして訓点で確認するという授業構成はどう?』
「面白いと思います」
『生徒も謎解きをしているみたいで楽しいんじゃないかな。ただし、その時にはあなたが五十歩百歩を暗唱していること、黒板に暗記でバッチリ書けること、五十歩百歩を「ゴジッポヒャッポ」と正確に読める等の知識があることが前提だよ。(この先生にはなんかある)(かなわないかも)と最初に思わせることが大事だよ』
「はい」

頑張れ、実習に向かう先輩。続け、後輩達。

(教科通信 修学 NO17 より)

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コメント

はじめまして。いつもこっそり読んでました。
本日初授業で失敗した、橘大書道科の竹野です。
昨日、この日記を読んでいれば…!
九成宮禮泉銘の授業でした。
一番悪かったのは、説明が難しすぎたこと。
完全に私のペースで進み、結局一人相撲だったと指摘されました。高校1年生にわかるように説明しなさいと,,,
明日の授業では、小学四年生ぐらいにも分かるような説明を心がけます。
勉強になりました!

そうですか、失敗しましたか。
そう分かっていれば大丈夫。課題が見えたってことですから。

次にそのクラスでやる時には、

「前回は、こういうつもりでこうしたんだけど、このように上手く行かなくてごめんなさい。今回は、その反省からこう変えてみたんだけど、どうかな。授業が終わったら教えて下さいね」

と最初に言うと良いよ。そうすれば、生徒の何人かは必ず良いアドヴァイスをくれるよ。

授業はじっくり計画したとしても、その通りにならないことがあります。まして実習生では十分あり得ます。ですから、どこが問題だったのかを考えて、生徒としっかりと対話をして、授業を作って下さい。

「生徒が分からないところを、分かるように。出来ないところを、出来るように」と心に刻んで、明日からの授業に取り組んで下さい。大丈夫です。

頑張れ先輩。

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