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2006/09/25

第三部の展開を先生方に提案し直すことにした

充実した時間を作って頂くことができた。
コーディネータとしては、実に幸せである。
「京都橘大学児童教育学科開設記念シンポジューム」が終わった。

            ◆

「授業の達人に学ぶ15分の可能性〜子どもは一日でどのくらい成長するのだろうか?〜」

というテーマで、4人の講師の先生方に漢字指導という同じテーマで1人15分の模擬授業をして頂いた。4人の先生方とは、

“教育の鉄人”、10マス計算・国語指導で有名。テレビ東京「ガイアの夜明け」出演。杉渕鉄良先生(東京都足立区立五反野小学校教諭)

ITを活用した授業に取り組む。NHK「わくわく授業」出演。佐藤正寿先生(岩手県奥州市立水沢小学校教諭)

ミニネタ研究会代表、お笑い教師同盟に所属。土作 彰先生(奈良県広陵町立広陵西小学校教諭)

学校心理士、学級経営・アドラー心理学を研究。赤坂真二先生(新潟県新潟市立曽野木小学校教諭)

である。
コーディネータとしての私の仕事はこの4人の先生に来て頂くための調整がほとんど。で、この4人の先生が来てくださることになったので、もう成功したのも同じだと思った。

            ◆

シンポジュームでは、通常、基調講演があり、その基調講演を巡って議論を重ねていくという方法を採ることが多い。この方法も当初考えたのだが、今回はこの基調講演の部分を、模擬授業という方法で行うことにしたのである。

本学の学生に児童役をやらせ、一方で会場のみなさんも授業に巻き込んでこの「基調講演」である模擬授業は行われた。1人15分である。みなさん、時間をぴっちりと守って授業を展開し、それぞれのフィールドに根ざした提案をされて行く。いやあ、すごい。自分で呼んでおいてなんだが、すごい。

            ◆

この「基調講演」に対する会場からの質問に答えつつ、それぞれの先生が自分の授業を振り返るのが第二部。私からの共通の質問も織り交ぜながら、語って頂いた。

内容そのものは面白いのだが、その展開を見ながら、今ひとつ固いやり取りになっているのを感じていた。私が先生方の本音を引き出していないなあと感じていた。

漢字指導が共通のテーマであるのだが、漢字指導は授業の具体例として取り上げているのであって、それだけで終わりにするつもりは、もともとない。

この授業を支えている子ども観、指導観、教師観、授業観などの観の問題。指示、発問、語り、評価言、教材提示などの指導技術の問題。この二つの問題には是非入り込んで行きたいと思っていたのだが、その入り口辺りでウロウロしている感じがしていた。

            ◆

そこで、スケジュールには無い休憩時間を10分入れ、最終の第三部の展開を先生方に提案し直すことにした。授業を受けた学生からの感想と質問を私がインタビューで拾い、それを直接講師の先生方にぶつけるという方法だ。学生からの質問が呼び水となって会場からの質問が豊かになればと思ってやってみた。

すると、予想以上に学生からの感想と質問が良かったのだ。

『メモをする時は、事実のメモと疑問のメモと、最低二種類は書こう。先生の話が終わってから、「質問はありませんか?」と聞かれてから質問を考えるようではダメだぞ。疑問・質問をメモしながら話は聞くものだぞ』

と夏の集中講義では口を酸っぱくして言っていたのだが、これが効いたのかもしれない。最初に御礼を述べ、感想を言い、質問をするという流れも出来ていた。ここで思ったより時間を使ってしまったのだが、その分、観や指導技術の具体的な部分に触れることができた。

会場からの質問は二つ引き受けて、最後は講師の先生方がお互いから学んだ点を言語化して頂いた。異質なものから学び合うことが、このシンポジュームの土台にある。講師の先生方は、何を学んだのかを言葉にして頂こうと思ったのだ。

批判し合うことも大事だ。だが、「基調講演」で会場にいる人が共通して体験した事実から、講師の先生方は何を感じたのかを言葉にして頂きたかったのだ。

会場には、学生や若い先生達がたくさんいた。経験や実力がないと同じものを見ても、見えないことがある。その学生や先生達に
(ここがポイントだったんだ)
と分かってもらうためには、講師の先生方による言語化が必要だと考えたのだ。

最後の最後は、コーディネータのまとめ。私だ。
今日の三時間半で展開された事実とその意味を振り返りつつ、終了することが出来た。感謝感謝である。

            ◆

会場に来てくださった、仲間の先生方からも声をかけて頂いた。三重県からの山川先生、京都の糸井先生、そして、梅本先生の教え子で私もちょっとだけ教えたことのある別宮先生。満足して頂けたようで、ありがたかった。

また、企画広報を担当してくれた事務方、講師の先生方との調整や会場設置をしてくれた事務方、休日に元気に参加してくれた学生。京都橘大学のみなさんに支えられて、良い時間を過ごせました。このシンポジュームに関わってくださったすべてのみなさんに、感謝です。

PS. 開場してから開会までの30分に会場で流した音楽を選定したのだが、これが良かったと言われたことや、2分30秒程度のオープニングムービーも作ったのだが、これが良かったと言ってくださった方もいて、実は、これも嬉しいf(^^;。

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コメント

昨日はありがとうございました!!
最高の1日でした。
最後の「池田特配員」、プログラムにはなかったんですね。
あのやり取りがあったから、先生方も私達もリラックスして、いい感じに終われたんじゃないかなあーと思います。
たった15分であんなに濃い内容で、
たった15分で学力が上がったことを実感できて、
たった15分でそれぞれの先生方の「色」が出て、すっと馴染めて…まだまだ書ききれないです。
とにかくずっと感動しっぱなしでした。
私は、こんな機会を与えてくださった先生に感謝します。

サトマサ@岩手です。シンポジウムではお世話になりました。ありがとうございました。
第3部での路線変更、大成功でしたね。ずっとステージからお客さんの反応を見ていましたが、注目度、うなずき具合が違っていました。コーディネーターというのは単なる司会ではなく、仕掛け人でなければ・・・というのを学びました。
京都滞在はわずか8時間でしたが、密度の濃い時間となりました。

竹野君、私は特派員であって、特配員ではないよf(^^;。

あんな贅沢な構成は、なかなかできないと思います。自分で企画しておいて、そう思います。でもね、その時点で最高のものを用意するつもりでやりましたからね。

教師は、授業ということを具体的に理解することができましたよね。活かしてください。

佐藤先生、お世話になりました。
お忙しい中、時間を無理矢理作って頂き感謝しております。一緒に食事をする間もありませんでしたが、シンポジュームの濃密な時間を過ごすことが出来て、幸せです。

授業の仕方を教える仕事になりましたから、学生の前では常に模擬授業をしているようなものです。で、なかなか気持ちも張りますが、怠け者の私にはこのぐらいの気持ちの張りがちょうどいいのかもしれません。

授業には、「仕組み、仕掛け、種」などが必要だと話しているものですから、学生にそれが分かると良いなあと思っていました。

方針転換が、いい感じに回ったのを良かったなあと思っています。いろいろとありがとうございました。

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