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2006/10/05

『教育の再生をもとめて : 湊川でおこったこと』

お昼過ぎから大阪の高校で模擬授業。40分を二コマ。
40分のガイダンスは、なかなかない。
基本的に90分で作り込んである授業を刈り込んで、行う。
庭師になった気分である。

授業が始まると、
「たるい」
「眠い」
という声が聞こえてくる。
もうすでに机に突っ伏している生徒がいる。
その一方で真剣に話を聞こうとする生徒もいる。

(おーし、おいら、こういうシチュエーション燃えちゃうんだよね。
40分後には、みんな目をキラキラさせちゃうからね。覚悟しておけよ)

と思いつつ、静かに授業を始める。

            ◆

宮城教育大学の学長であった林竹二先生の著書『教育の再生をもとめて : 湊川でおこったこと』(筑摩書房 1977.11 1300円)を読んだのは、大学の2年生頃であったか。
衝撃であった。
学力のない底辺の定時制高校で林先生は、笑顔を絶やすこと無く訥々と授業を進める。

すると、机に突っ伏していた生徒の顔が輝き、あろうことか数回の授業の後には背筋をきちんと伸ばして授業を受け、顔つきも変わっていたのだ。その間、林先生は一言も怒鳴ったりしていない。
「背筋をきちんと伸ばしなさい!」
なんても言っていない。ただ、人間とは何かについて語り続ける授業を行っていた。
授業内容が、生徒に変容を齎していたのだ。

(ちくしょう、こんな授業をしたいぜ)

あこがれであった。

            ◆

いや、別に今そこまでできるかと言えば、それは違うがそれでも、進路のガイダンスで教師を目指そうとしている生徒、または教育に少しでも興味を持っている生徒にだったら、それは可能かもしれないと思って、燃えてしまうのだ。

教師の仕事の楽しみ、辛さ、授業を作る面白さなどを具体例を入れて話すのだが、後半のワークの部分では、
「えー、なんや分からんと悔しいやん」
と言いながら生徒達は必死にワークシートに取り組んでいた。
(やった!)
である。

授業後、大阪イントネーションで「先生、ありがとう」とか「先生、もっと頑張ってね」なんて励ましの言葉まで貰ってしまったf(^^;。

ちょこっとだけ林竹二先生に追いつけたかなと思えた。

            ◆

その後、とんぼ返りで大学に戻って国語科教育法2の授業だ。
山科駅からタクシーを飛ばして、ぎりぎり間に合う。ふう。

今日から導入の5分間は学生に順番で模擬授業をさせることにしている。季節に応じた詩歌を黒板を使って説明するのだ。私が中学校の授業でやっていた「アンソロジーノート」の部分をやらせる。

5分ぐらいの説明のパッケージができないことには、50分なんて夢のまた夢である。来年度の教育実習に向けて、具体的な一歩である。

先週の課題のデジカメ写真による文学作品を載せた絵はがき作りを回収。これは、この後の授業の基礎技術になる。PCがちょっと弱いので、鍛えたい。

その後は、「学習ゲーム」の理論と実際。
なぜ学習ゲームなのか、限界はどこにあるのか、普通の授業との比較で考えるとどこに特徴があるのかなどを講じた後に、私が開発した「対義語でポン」を事例として、実際にやってみた。ちょっと時間がなかったので、ルールを理解するのに精一杯になってしまったかな。ちょっと反省。

            ◆

授業後研究室に戻り、出張の書類を整理し、明日の仕事の準備をして帰宅。
いやあ、今日も働いた。

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