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2006/10/29

大人で良かった。

大人っていいなと実感することの多い週末であった。

土曜日は、いろいろな高校生を相手に授業をした。
教師を目指したいと感じたり、思ったり、考えていたりする生徒が80人ぐらい集まっていた。70分の授業時間であった。

ま、最初はざわざわするのもこういう時は仕方がないこともあるのだが、10分ぐらい過ぎても私語が止まらない三人組の女子高生がいた。この子たちは教育に興味があってきているのではなく、取りあえずここにいるというオーラを出していた。他の生徒が集中しているのだから、私の問題ではないと判断し、

『そこの三人、出て行きなさい。君たちはここで授業を受けることを認めない。他に行きなさい』

と言ったところ、出て行かない。だが、動かなかったので授業を進めた。まったく。教師を仕事として考えている子どもたちにとってはいい迷惑だ。ガイダンスの授業だって私はこういうのは許しません。

            ◆

びっくりしたことがあった。高校生相手の講座であったのだが、現役の高校の先生が自分の研修としてこの会に参加していたのだ。確かにその専門の入門を高校生に授業形式で行うのだから、大人にとってかなり合理的な学習法である。

こんなに熱心に学ぶ先生がいらっしゃるんだなあと思った。その先生からの評価もありがたい評価を頂いたので、良かった良かった。

            ◆

授業後、昼ご飯を食べてしばらく会場をぶらぶら。
鈴木大拙の展示会が合ったので、見学する。
90歳まで大学の教授をして、95歳まで名誉教授。そして永眠。
この知性はなんなんだと思っていた。

まったく違う専門分野ではあるが、その知性の圧力を心地よく感じ、エネルギーを貰う。

            ◆

夜、奥さんの友人ご夫妻が京都に来ると言うので、一緒に食事。
紹介してもらった祇園の和食のお店に向かう。

これが絶品であった。
一つ一つに手がかかっていて、丁寧な仕事が板場を見なくてもすぐに分かる。

子どものころでは経験できない値段の食事ということが言いたいのではない。初対面でありながら気持ちよく会話のできる大人、そして、甘いだけ、油っぽいだけを美味しいと感じる子どもではなく、出汁や素材、さらに調理法や器までも楽しめる大人の食事ができることに喜びを感じる。

ああ、大人で良かった。

            ◆

日曜日。

青山新吾先生が基調提案をする「人間関係的アプローチ研究会」に行く。
大阪に9:00ということで、早起き。

私は特別支援教育というものを、取り立てて勉強してきたことはない。それこそ自閉症もアスペルガーも文章上で丁寧に勉強したことはない。

だが、私に声を掛けてくださった青山先生は、私がそれらの子どもたちにも適切な指導をしているはずだと言ってくれている。二つの疑問を抱えて会場に向かった。

            ◆

正直申し上げて、私自身が子どもに接するときに必要だと思える情報は、さほどなかった。ただ、提案される考え方、話題、まとめのなかに、これらのことを指導するとすればどのような事例や観点を元に行えば良いのかという示唆はたくさん頂いた。

これらの知見をどのように授業として学生に伝えて行けば良いのだろうか。課題を一つ手に入れる。

会が終わった後、青山先生とゆっくりと感想を話したいと思ったのだが、次があるのでほんの立ち話で終えて会場を後にする.青山先生またゆっくりと教えてください。

            ◆

午後からは、内田樹先生の対談。ま、トークショーだ。青山先生の会場から30分ぐらいでいけるので、足を伸ばしてみた。

これが大正解。
面白かったなあ。
いろいろな切り口が飛び交う。
ある参加者のおじいさんはこの切り口に耐えかねて、クレームを言っていたが、ま、過激だからかもしれない。

その内容の豊かさは、先生のブログどころではない。
とても書けない。
会話からの刺激が非常に心地よく、検証すべき概念をたくさん手に入れることができた。

            ◆

対談の後、ワンコイン交流会なるものが合った。500円でちょっとしたお菓子とビールでクールダウンしようと言うものだ。当然、内田先生もいらっしゃるというので、私はきっちりマークしてお話をすることもできた。直接お話しすることもできた。いやあ、満足。

学生さんや一般の参加者もいたのだが、内田先生の話は、いろいろな人たちに届いていた。ではあるが、これが同じ内容で届いているのではない。息を吸うタイミング、笑う場所、うなずく箇所がずれるのである。だから受け止める情報は違っているはずである。だけど、届いていた。これはどういうことか。

野球に例えるのであれば、レフトからライトまでまんべんなく打ち分け、さらにフェンスギリギリから場外ホームランまで高さまで打ち分けるているのだ。だから、多くの人が自分に向かって話していると感じることができるのだ。

こんなのは、大人にならないと理解することはできないだろう。
ああ、大人で良かった。

            ◆

一日二つの研究会は消化しきれないから止めておこうかとも思ったが、青山先生、内田先生の二つとも出て良かった。

久しぶりに、自分が何ものかを語らなくても良い研究会に出席した。プレーンに感じて、じっくり考えることができたかと思う。

充実した週末であった。
大人で良かった。

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コメント

青山先生のお話、私も聞きに行こうと思っていたのですが、残念ながら部活に呼び出されいくことが出来ませんでした。
あまり先生にはお話しなかったのですが、今自閉症やアスペルガーの子に対しての指導で悩んでいます。(小学校2・3年生です)
またお話聞かせてください。

池田先生

ちょこちょこ覗かせていただいているのですが、
「鈴木大拙」の名前に反応してしまいました(笑)。
大学のときに「禅と日本文化」という自主ゼミに
参加していたのですが、
テキストに使っていたのが
鈴木大拙が英訳をした仏教聖典でした。
いやあ〜面白かったです。
「無」を英語でどう説明するか・・・
ゼロでありエターナルであり・・・みたいな・・・
「悟り」なんて英訳できないですからね(笑)。
当時、浪人明けで少々心が疲れていたのですが、
ものすごく心身共に救われた勉強だったことを覚えています。
僕の心の先生の一人(池田先生もね♪)です。

内田 樹さんの講演を聞かれたんですね。私も、一度ぜひ聞きたいと思っているのです。「おじさん的思考」以来の大ファンなのですが、今どんなことを考えているかと聞き漏らせない一人です。ブログも、毎回読んでいますが、内田さんのブログを見ている人はものすごい数でしょう。みなさん、分かっているのですね。
ただ、彼のレビィナス論は、さっぱり分かりませんでした。

きときと君、青山先生のご提案はまさに君たち、これから学校教育現場に出て行く学生たちに聞いてほしい内容だったよ。

これからを作る人たちが、その一歩目をちゃんと踏み出してほしいという願いがたくさん語られていたよ。

まずは、先生の書かれた『自閉症の子どもへのコミュニケーション指導』http://www.meijitosho.co.jp/shoseki/shosai.html?bango=4-18-617712-0
を読みましょうかね。

FIRE君、そうですか、鈴木大拙先生でヒットしましたか。私も特に仏教に強い興味があるわけではないのですが、土地柄もあり、ふれる機会が多くあります。

鈴木大拙先生の肉声もビデオが上演されていたので聞くことができましたが、巨大な知性ってのは改めて良いもんだと思いました。

折角京都にいるのですから、知性、感性の両方を磨くチャンスに積極的であろうと思います。

そちらは、紅葉は終わって初雪でしょうか?

野中先生、そうですか読まれていましたか。
わたしは『先生は偉い』から本格的に入りました。
まさに、現代の「現代思想」の論客でしょうね。
硬軟どちらの文章も書ける先生ですので、どちらからも味わえます。

わたしが学生時代になんとなく思っていたことや感じていたことを具体的に提示して、課題として提出してくださるので、知的興奮を覚えます。

内田先生に文部科学大臣になってほしいと思うのは、私だけでしょうかf(^^;。

しばらく読みふけりたいと思います。

池田先生
ストーブに火を入れることがフツーになってきた知床です。が、オホーツク海の波乗りのシーズンインで、日々海に通っています(寒)。

禅の思想は日本人なら一度はしっかり勉強しないと・・・という思いでとった上記のゼミだったのですが、「禅寺で3日間修行すること」を単位取得の条件にするなど今思えば相当変な先生でした(笑)。

京都、良いですねえ。紅葉はこれからですか?
実は父が京芸大、お世話になっている叔父が立命館、母も叔母も茶道をやっていたり・・・と、京都への憧憬は子供の頃からあります〜。ゆっくり、遊びにいきたいな〜。

私の授業の課題もかなりなものかもしれませんf(^^;。
学生たちは必至ですよ。
でも、必至にやらないとできないぐらいのものに挑戦するのが、いいんです。

私もオホーツクに挨拶に行こうと思いながらもうかなり時間が経っていますが、京都に何か用事を作ってきてくださいな。来年の四月以降だったら、ちょっと良いことになりますよ。

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