良いお年を
年賀状を書いて印刷してという実に私らしい大晦日である。
自慢じゃないが、夏休みの宿題を8/31前に終わらせたことなんて一度もない。
ではあるが、今年はうっかりと締め切りを間違えていたもの以外の原稿は、きちんと締め切りまでには書けたと思う。人間は、少しずつ成長もするのだ。
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嬉しいことが続いて起きている時は、その幸せの感情を色々な人にお裾分けすることが大事。自分だけで独占しようなんてふうに思っていては、ダメ。嬉しさの感情の流れを作るようなことが大事。実にそのように感じるこの一年であった。
京都・滋賀というのは、まあ神社仏閣の多いところで、桜と紅葉を見て歩いた今年は、今までの人生でお参りしたのと同じぐらいの神社仏閣にお参りしたのではないかと思う。
そんなんであれば、宗教についても考えることが多くなる。
今、凄いなあと思っているのは仏教である。
これは行動のための哲学のように感じている。
特に浄土真宗の他力という考え方は、「人の力に任せる」ではなく、「宇宙の意志に乗る」というようなものであって、そういうのがあるかもしんないなあと感じさせる何かが、京都・滋賀にはある。
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「科学的に考えたら、それはありえない」
というのは科学的ではなく、「科学的に考えたら、それは今のところよくわからないが、あなたの人生とそれがどう関連しているのかを話してみて」と言えることが科学的であると内田樹先生は言う。
そうやって科学は人と重なり合いながらアウフヘーベンし、いよいよ宗教もそのアウフヘーベンの領域に取り込もうとしているのかもしれない。いや、宗教がいよいよ科学に挑戦してきているのかもしれない。
遠藤周作さんは、「21世紀は科学と宗教の融合の世紀になる」と予言してこの世を去ったが、実にそうなのかなあと思う。
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さて、これから年越し蕎麦を頂いて、いつもとはちょっと違った大晦日だ。
来年も、みなさんにとって良い年になりますように。
追伸:
http://homepage.mac.com/ikedaosamu/thisyear.mov
に今年であった風景をまとめた小さなムービーを載せました。
正月だけの限定です。興味があったら見てみてください。
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コメント
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「小さなムービー」、拝見しました。
いいですね~。特に紅葉のシーンは圧巻です。
今まで池田さんが趣のある文章で風景を描写してきたからこそ、これらの映像が心に入ってきたのかもしれません。
大津にも行ってみたくなりますね。
今年はブログを通じてたくさん池田さんから学びました。来年も楽しみにしています!
よいお年をお迎えください。
投稿: サトマサ | 2006/12/31 21:20
「科学的に考えたら、それはありえない」
というのは科学的ではなく・・・
まさにその通りだと思います。
が、巷にはそのように豪語する「カガクシャ」がたくさんいるのも事実です。
「カガクシャ」は科学がすべてだと勘違いしがちですが、少し冷静になれば、科学よりも前にもっと大きなものが存在していたと気づくはずなのに。
僕の分野で言いますと、癲癇などは、古くは月の病と言われたり、魔女狩りの対象にされたりした時代がありました。でも今では、脳の神経細胞の異常だとわかっている。
僕の最も興味のある幻覚なども似たようなものでしょうか。
僕らの世代は、そのような事実もも踏まえ、もっと謙虚に科学を捉えなければいけないと思っています。それが「科学者」なのではないでしょうか。
また、科学の成果をもっと広く、わかりやすく一般に広めるのも「科学者」の責務だと思っています。
精神疾患患者に対しては今もなを、偏見が残っています。それこそ「カガクシャ」の怠惰が招いた結果なのではないでしょうか。
科学的にありえない。だからヒトには理解し得ない見えない力が働いている。
そうではなくて、科学の無力さを認め、そこに研究の題材を見つけるべきだと思います。そしてその結果を公表することで、原因を見える形で一般に還元すべきだと思います。
いつの日か、精神の疾患の根本的な原因が理解できるようになり、これをもとに心も体の一部であると認められ、精神をわずらった患者さんに対して、「気が・・」と言って見放すでは無く、「具合が悪い」と言って手を差し伸べられる世の中になって欲しいものです。また、そこに携わるものとして僅かでもこれに貢献できればと思っています。
投稿: 堀之内和広 | 2006/12/31 23:47
新年会に参加してくれて、嬉しかったよ。
顔を見たのは15年ぶりぐらいだもんな。
教子が成長するのを見ることが出来るのは、ほんとうに嬉しいし、こっちも負けていられないぞと改めて思ったよ。
論文で忙しいだろうけど、今度は大阪に戻ったら大阪の美味しい店に連れて行ってね。んじゃ。
投稿: 池田修 | 2007/01/05 09:38
サトマサさん、旧年中はお世話になりました。
小さなムービーと言いながら10分もありました。失礼しました。
自分のメモ程度の記録にと、去年出会った光景に、去年のフェイバリットミュージックを載せただけのものでしたが、まあ、それなりに出来たかなと思ってちょっと公開しました。
今年は、サトマサさんのクラスに行かせて頂きたいなあと思っています。よろしくお願いいたします。
投稿: 池田修 | 2007/01/05 09:39