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2006/04/29

あどけない話

一日まったく大学に行かなかったのは、今日がはじめてである。先月の30日に京都入りして一ヶ月だから、良く大学に通ったものだ。

今日は高校訪問する予定が流れたので、大学には行かず自宅と近辺で仕事をしていた。
授業作りネットワークの原稿の推敲と、去年から連載しているひまわり社のHPの原稿である。去年が「教育におけるデジタルカメラの活用」ということで、今年が「教育におけるパソコン・インターネットの活用」というテーマである。

カメラは高校時代に白黒フィルムを自分で現像したりしていたし、パソコン通信も比較的早い時代に始めていたが、まさか私がこういう連載をするとは思わなかった。もともと書道のベースがあるので、コンピュータなんかやらないと思っていたんだけどねえ。

            ◆

午後からは、近くの岡崎公園を散策する。疏水の桜はすっかりと葉桜。しかし、大手まりの桜や枝垂れ桜はまだ咲いていた。長いなあ、桜の季節。

市営美術館の広場には、修学旅行の生徒達が集合していた。制服、私服、ジャージ。それぞれの学校の指導によって同じ修学旅行でも随分違うなあと改めて思う。そして、その集団を指導している先生。
(俺も、二年前の楢原中学校の時には、ここにいたんだよなあ)
と改めて思う。

桜が満開の時には一杯だった疏水沿いのベンチも、人はまばら。座って本を読み始めると、鳩がやって来る。
「餌はないよ。私は読書だよ」
と話しながら、寝転がって読書を進める。すると、そこには春の光を受けた葉桜が一杯であった。

そうだと思い出したのは、高村光太郎の詩である。

引用開始 ーーーーーーーーーー

あどけない話

智恵子は東京に空が無いといふ、
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、切つても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山の山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。

引用終了 ーーーーーーーーーー

私も少し、人の生活を取り戻しつつあるかなあと思う。

            ◆

その後、美術館、動物園の入り口まで歩き入る事はせずに、図書館に向かう。
平安神宮の入り口の左側に大きな図書館があるのだ。やっと入れる。

雑誌を確認し、(ここで良い情報を得た)インターネットの環境と、DVDの環境を確認。
十分仕事ができることが分かり、満足満足。

聖蹟桜ヶ丘にいるときは、自宅で外の景色を眺めながらやっていたが、外に出て空気を感じてやるのもいいなあ。

ずっと大学にいて帰ってくるのは、近辺が真っ暗になってからだったから住んでいる町の夕暮れを見る事がなかった。西日の当たる比叡山は若葉がきれい。大阪の方面に沈む夕日も見事だ。

明日のネットワークの最後の準備をするか。

2006/04/27

板書の基礎

授業作りネットワークの7月号の原稿が、ひとまず仕上がった。しばらく時間を置いて、原稿の持っている粗熱が冷めるのを待って、推敲だ。月末の締め切りがあと二つ。なんとか間に合うペースになった。

教職を目指す学生が学習会をしているというので、顔を出す。願書の書き方をちょこっと話す。細かい事だとは思うが、願書の書き方一つでその人の真剣さが伝わると私は思う。手書きの持つ力というのは、それなりに凄いものだと思う。

            ◆

午後は国語科教育法の授業。今日は、教師の声、板書の基礎、メモの取り方の指導の三本立て。だが、メモの取り方指導は、時間切れであった。はあ。

板書の部分は、以下のように行った。

            ◆

1 どこに書くのか

・具体的な場所は?
・板書の内容を見にくくさせる要因は?

2 どのように書くのか

【課題】 実際に書いてみよう 3人を指名

走れメロス     太宰治

メロスは激怒した。
必ず、かの邪知暴虐の王を除かなければならぬと決意した。

学生の実際の板書を確認した上で、

・書く時の構え
・チョークの持ち方
・目安にする文字の大きさ
・黒板に使うフォント
・チョークの種類
  材質と使い分け
  大きさ
  色
・書く時に配慮する事項
・何を書くのか
・黒板の使い分け

 これらを一つ一つ具体的に見せながら説明するので、時間がかかる。ま、大事な部分だから丁寧に丁寧にね。

3 どのくらいの量を書くのか

とやって、最後に課題を出した。

【課題】 国語科の授業における板書計画を捜してくる
     まとめのプリントに記入のこと。コピー不可。

とした。毎週まとめと提出があるので、学生達は大変だと思うが、力を付けてほしいからなあ。
そうそう、奥村先生、あの新潟のスペシャルチョークもきっちり伝授しましたよ(^^)。

【参考】黒板とチョークの歴史 

授業後、研究室で教職希望の学生と、授業の導入についての相談を受ける。そして、土曜日の土作先生の授業を受けるようにと再度勧める。折角だもんなあ。

             ◆

夕ご飯は、きちっと手作り。白身魚のガーリックオイルがけ、舞茸の水餃子、こごみのマヨネーズ和え。白身魚はウマヅラハギ。関東では安価に手に入らない魚。また、こごみはもっと手に入らない。去年の新潟の修学旅行で食べたのが最後だ。

今日のこごみは京都産。京都は広いから色々手に入るのだろう。いやあ、おいしかった。

さあ、明日あさってはネットワークだ。元気が出てきたぞ。おー。

2006/04/26

児童教育学科の起工式

200604261212000
昼から児童教育学科の起工式に参加する。
近くの岩屋神社の神主さんが式を執り行う。

起工式の神事なんて滅多に見られるものではない。もちろん、参加できることもないだろう。新学科のできる一年前に着任した御陰で、こうして起工式にも参加する事が出来た。これから私達の校舎が出来るのかと思うと、素直に嬉しい。

式の流れは、場所を清め、そこに神を呼び、神事を行い、神を戻す。そして、最後にお酒で祝うという流れだ。子どもが見たら、
(なにを良い大人が、こんなごっこ遊びをしているんだ?)
と思うかもしれない。

しかし、分かるんだなあ、これが、大人になると。
懸命に祈りを重ねているという事が分かるんだな。
神様がいるかどうかということがポイントなのではないと思う。
祈りを重ねるために、一つの流れが必要になるのだと思う。それがこの神事なのだろう。

工事を担当する方と昼の食事をしたのだが、面白い事を教えてもらった。
今は、工事の様子を定期的に見てもらうようなプログラムがあるとの事だ。
とくに、建築とか土木の学科がある大学で工事をする時は、同じ学生に定期的に見てもらうプログラムを用意するとの事だ。そのことで、品質の管理にもなるしリクルーティングにもなるのであろう。

「先生もどうぞ見に来て下さい」

と言って下さった。楽しみに見せてもらう事にしよう。

「よのなか」科 ワークシート完成

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昨年度、和田中学校で行った仕事の一つが完成した。
「よのなか」科のワークシートである。
実際に授業で使っているワークシートを使いながら、本にした。

昨年は研究・研修主任をしていたのだが、その中で総合的な学習の時間に関する研究の一環として、この本を出す企画を立てた。

テキストとして多くの学校現場で生徒一人一冊ずつ使われる事を願い、定価を極力下げました。
本務としてこの本の制作に関わり、印税は受け取らないということで、一冊160円に設定する事が出来ました。

私がこの本作りでこだわったところは、「本書の使い方」と「教師用の赤刷り本」の作りです。ワークシートの横に、授業で行う時の目安時間(ここまでに何分かかるか)というガイドを入れました。

学校現場の先生は忙しいので、文章を読むではなく、文章を見るという感じですぐに使えるものに仕上げました。お手に取ってご確認ください。お問い合わせは、こちらにどうぞ。

教員採用試験の二次試験対策

本日は、朝から高校訪問。全部で5校回る。
いやあ、面白い。
中学校の進路指導部と高校の進路指導部ってこんなに違うのか。

高校の進路指導部は、ハローワークと同じ権限を持っているから専門的になるのは分かるが、高校は恵まれているなあと思った。中学校だってやっている仕事は同じだし、中学校の方が切実だと思う。だけど、環境は悪い。進路指導主任を二回やった事のある私はそう思う。

また、校門をくぐっただけで、その学校の雰囲気と言うか、指導にかける熱とかが分かってしまうのも面白い。自分のところはそういう目で見ることがないのだが、見られている訳だ。心しなければ。

            ◆

大学に戻ってからは、教職関係の会議。どうやって学生の支援をするかの会議である。

自慢じゃないが、私が学生時代に就職課にお世話になった事は、一回しかない。
「教員採用試験の一次に合格した時に、二次に向けて面接の練習をするから就職課に来い」
と呼ばれていった時だけだ。

私は、どうも人から何かをしてもらうというのが、ダメだったのであまり関わらないようにしていたのである。ま、今はなんでもしてもらうのが好きだがf(^^;。

で、会議である。
頑張っている学生達をなんとかしてやろうというものだ。
よし、私もできるところをやっていこう。

            ◆

その後、なんとそのセミナーの先生と学生たちと食事をする事に。4回生なのでお酒が入っても大丈夫。うーん、大学だなあf(^^;。
いろいろと話をする。ちょっと凄いことになりそうな話もでる。採用試験に向けて役に立つのなら、一肌脱ぎましょう。

で、その席でセミナーの先生が、
「『こんな時どう言い返す』をみなさん買いなさい」
と指定図書にしてくれていた。
教員採用試験の二次試験対策にぴったりだというのだ。
状況、場面を設定して、こういうときあなたならどう指導しますか?という問題が全国の都道府県で多く出題されているというのだ。

なるほど。そういうところにもニーズがあったか。
全国の大学生協に置いてもらえると嬉しいなあ。
『こんな時どう言い返す』の第二版も出た事だし。

2006/04/25

【再掲】「授業づくりネットワーク2006in大阪」プレ集会 IN 京都 

予定していた参加者数は、現在の段階で予約で越えたようですが、まだ少しだけゆとりがあるそうです。良かったらお越し下さい。今週末です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 多彩な講師陣が授業成立の基礎技術を伝授する!
 「授業づくりネットワーク2006in大阪」プレ集会 IN 京都
  授業成立の基礎技術を学ぼう
                   主催・古都教育サークル 
                   後援・授業づくりネットワーク
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
           
 この度、京都にて全国の有名実践家の先生方をお呼びし、「授業成立の基礎技術」について語っていただきます。「教壇に立ったけど、授業や学級経営の方法がよくわからなくて」、「最近授業も学級経営も何となくマンネリ化してきて、子どもたちの反応が今ひとつだなあ」というお悩みを持たれている先生方!ゴールデンウィーク最初の連休は是非交通至便な京都駅前にて学び合いましょう! お待ちしております。

○日時 2006年4月29日(祝)10:00〜17:10

○場所 キャンパスプラザ京都(JR京都駅より徒歩5分)
http://www.consortium.or.jp/campusplaza/guidance.html

○講師陣
野口芳宏氏 「野口流・国語科授業成立の基礎技術」
深澤 久氏 「道徳授業成立の基礎技術 〜「技術」を支える「哲学」を〜」
上條晴夫氏 「授業成立の基礎技術の必要性」「授業成立の基礎技術−まとめ−」
赤坂真二氏 「学級の状態を分析し処方する」
池田 修氏 「こんな時どう言い返す』方式による中学校生徒指導入門」
土作 彰氏 「ミニネタは授業成立の基礎情報〜授業構造論と開発法〜」
    
○参加費   5000円

申し込み方法
 ■まず事務局の土作までメール、電話、ファックスで「参加希望」と連絡してください。仮予約としてお席を確保の上、追ってご入金方法など詳細をご連絡いたします。

事務局連絡先 
 土作 彰  メール tuttyan@manekineko.ne.jp
 電話・ファクス 0747−53−0282

久しぶりに怪しい雰囲気

引っ越しの準備をする。引き続き本を買う。
聖蹟桜ヶ丘には三軒の本屋がある。それぞれ特徴があるので、同じように見て歩いても目に飛び込んでくる本は違ってくる。これが楽しい。

夕飯は、亀我楽で。はじめてビールも飲む。チャーシューの切れ端がおつまみに出た。美味いなあ。これでしばらくは食べ納めである。

            ◆

明日の10時から高校生への説明会があるので、明日の朝には京都にいなければならない。新幹線で帰ろうかとも思ったのだが、今回は夜行バスにしてみた。

京王八王子駅から山科、京阪三条、京都駅と止まって帰るバスがあるのだ。7950円、3列独立シート、トイレ付きとなれば乗ってみるしかないでしょ。

京王八王子駅前バスターミナルを23:10に出る。
飲み物、スリッパ、毛布などがある。まあまあである。
しかし、カーテンで区切られる事はなく、私の座席の近くではトイレ用のファンが鳴っているのかちょっと五月蝿い。また、車両の後方だったためか、割と跳ねる。ま、仕方がないか。

足下は広いが、やはり伸ばしきるという感覚ではない。新幹線よりはそりゃあましであるが、フルフラットにはならないんだね。

途中、何カ所かで休憩や運転手の交代をしながら京都に向かう。窓の外が明るくなってきた時カーテンをめくったら「蹴上」近くであった。ということは、私の住んでいるマンションの前を通ることになる。と、止めてくれ。そこでいいんだ。

と言える訳もなく、京阪三条に到着。朝の5:40である。5時間30分で到着か。新幹線より1時間30分違い。家までの事とを考えると、実質1時間違いかもしれない。東京や京都での一日をたっぷりと使えるから、この方法も慣れるといいかもしれない。

一つ気になったのは、目覚めた時にお茶を飲んだら耳が痛かったという事。いわゆる耳抜きを必要な状態になっていたのだ。中央高速で山岳地帯を通った事がこの耳に繋がったのかな。すごいことだ。

            ◆

体を伸ばしてから大学に向かう。
高校生相手に説明を行う。40人強の二年生たちである。
30分の予定が15分になってしまったので、ポイントを絞って説明。
新学科の特徴が伝わったようで良かった。

その後事務仕事に一日を費やす。
研究費で買った本の伝票書きや授業のゲストへの依頼の電話、手紙、学会参加の手続きなどなど。贅沢かもしれないが、ここを手伝ってくれる助手や秘書がほしいなあと思う。

            ◆

夜は、ライブに参加。
地球の日を記念して京都の大学生が中心となって行ったものである。
ライブハウスを借り切ってのパーティ。

約束していた岩本君が出演するのが、21時以降という事で、あわててタクシーで駆けつけなくても良かった事がわかる。はあ。2時間近く時間があるので、近くを散歩して食事をする。京阪三条よりも北側は歩いた事がなかったので。これも一つの経験。時間が来て、会場に向かう。

            ◆

いやー、久しぶりに怪しい雰囲気の場所に足を入れた。
高校生、大学生であればそれだけでわくわくだろうなあ。
私は、ブレザーにネクタイという姿での参加だったので、浮きまくっていた。

しかし、思うのだが、地球の日ということになると、なぜ「アフリカ」スタイルなのだろうか。扱っているグッズや音楽がなんかアフリカなのである。一種のステレオタイプかなあ。

岩本君の話の途中でお客さんの年配のおじさんが、質問の時に叫び出す。
「お前たちは、地球を歩いて行きて、それで結局何を手にしたんだ。世界を歩く連中なんて30年も前からいくらでもいるぞ。日本に何を伝えるべきなのか、一言ぐらいキチンと話せ」
と。

言い方は荒々しく完全に浮きまくっていたが、的は射ている。これを世代のギャップの一つということですませてしまうのであれば、地球の日といって地球全体を考えることなど、ちょっと荒唐無稽すぎるなあ。

            ◆

岩本君とは、ライブが終わった後少し話した。
忙しく人気者の彼なので、邪魔にならないようにちょこっとだけ。

そこで、彼に
『時間があるときでいいから教えて』
と聞いた事が三つある。

1)旅に出て失ったものは何か?
2)旅に出る前、正しいと思っていたけど、帰ってきてますます正しいと思った事は何か?
3)これからの人に、ここができてから旅立てというものは何?

私が『流学日記』を読んで思った疑問だ。
そのうち、答えてくれるだろう。楽しみ。

会場から家まで、歩いて帰って寝る。はあ、疲れた。

2006/04/24

野口流・国語科授業づくりの極意

名人の授業を受けることができます。
是非ご参加ください。

                  ☆

第25回連続ワークショップ 教師力UPセミナー2006のご案内
~野口流・国語科授業づくりの極意~

 最近、授業中、子どもたちが教師の話を聞かなかったり、すぐに立ち歩きを
はじめてしまったりして、授業成立がむずかしくなってきています。少し比喩的
に言えば、いま、教室は「安定した草原」から「不安定な湿地」になってきたと
いうふうにいえるのではないでしょうか。これは教室文化の大きな変化といえます。

 こうした中、「授業成立の基礎技術」が強く求められています。子どもを引き
つける授業技術、子どもの集中力を生み出す授業技術です。高度な技術では
ダメです。誰にでもできる普通の授業を支える基礎技術が必要です。そうした
ベーシックな授業技術・教育技術を学ぶために「教師力UPセミナー2006-」を
企画しました。

 今回は、授業名人として広く知られる野口芳宏氏をお迎えします。
 野口氏は、「発問中心の授業」に関する展開技術の素晴らしさと同時に、子ども
たちを授業に誘い込む多様な技術をお持ちです。たとえば、「○か×か」の指導
です。野口氏は言います。「授業には『全員参加』の保障が必要である」と。

 野口氏の二大メッセージである「授業には『学力形成』が不可欠である」
「授業には『全員参加』が必要である」について、具体的な模擬授業を通して、
学ばせていただきます。授業成立の根幹に関わる「授業観」と、それを支える
「教育技術」について、野口名人ご本人から直接、ご指導をいただきます。
楽しみです。

 ぜひたくさんの方の参加をお待ちしています。


■日時:6月4日(日)13:00~17:00

■場所:成蹊大学 9号館302教室(武蔵野市吉祥寺北町)
  *JR中央・総武線、井の頭線、地下鉄「吉祥寺駅」下車
   吉祥寺駅前より関東バスで成蹊学園前下車(約10分)

■テーマ 野口流・国語科授業づくりの極意-学力形成と全員参加-
  13:00~17:00 講師:野口芳宏(麗澤大学)
  *4時間の実技講座。解説型模擬授業(2つ)を中心に野口流の国語科授業
   づくりの方法論を学習します。

■定員:50名(定員になり次第締め切ります)
■参加費:2,500円(授業づくりネットワーク会員:2,000円)
 *当日お支払いください。

★申込・問い合せ先
 1)氏名、2)会員・一般の別、3)〒・住所、4)電話・FAX番号、5)勤務先、
 6)メールアドレスを明記の上、下記あてにFAX、 Eメールまたはハガキで
 お申し込み下さい。

 授業づくりネットワーク事務局 担当:鈴木宣昭
 〒162-0814新宿区新小川町6-12 TEL/FAX:03-3269-3715
 Eメール:yoyaku@jugyo.jp

2006/04/23

授業の感想に答える

今年は、受講生の数が多くはないので少し丁寧に対応する事ができるかなと思います。

一回目の授業ですので、みなさんがマッピングのメモに書いた感想についてコメントをしましょう。

            ◆

S1 メモを取りながら聞いたので、”聞こう”という気持ちが持ててよく理解できたように思います。書くのが遅いので耳と手が合わなくて聞きのがしてしまったところがあるかも知れないです。とても興味深いお話でした。

T 教育の世界にある有名な言葉の一つに、「Aをさせたいのならば、Bと言え」と言うものがあります。例えば、書道の授業中に静かにさせたいときに、「静かにしなさい」と言う指導言は、「Aをさせたいときに、Aと言う」という例です。これでは、子どもは動きません。

そうではなくて、「軽く息を吐いて、息を止めてから筆を動かすと筆先がぶれなくてよい」とBを示すと良い訳です。息を止めながら話す事はできませんから。このことが書かれている本としては、

『教育新書67 AさせたいならBと言え 心を動かす言葉の原則』(明治図書 岩下 修著 1988/12/1 18版 定価:1,323円(税込))

があります。18版ということからも分かるように、学校現場の先生に読み継がれている本です。

            ◆

S2 今日は、これまでの教職の授業とは違う内容で楽しく授業を受けることができた。

T 授業は、同じような内容を教えるにしても先生によって違う事が多くあります。それだから面白いし、難しい。だから、指導の技術と人間性を高める努力をする必要があるというわけです。いろいろな先生から学び、あなたの中の先生像を育てていく事が大事です。

            ◆

S3 授業に集中させるための技法の一つがこのマッピングメモだと感じました。集中する授業作りの一部を見ました。話術にも”おっ”と思うところがありました。

T 授業というものは、種も仕掛けもあるものです。高校生までのあなた達は、その種も仕掛けも分からなくても良かった訳ですが、教師を目指す以上は大学の授業であってもその授業の種や仕掛けを想像し、やがて創造できるようにならなければなりません。
「話術にも”おっ”と思うところがありました。」とありますが、何があったのでしょうねえ(笑)。ではありますが、もし(これは使える)と思ったのならば、是非使って使えるようにして下さい。

            ◆

S4 メリ・ハリがあって分かりやすかった。まだメモの取り方が下手なので、上手くまとめられないが、自分なりにまとめられるようになりたい。また、どう授業を始めたら良いのか少し分かった気がする。

T 今回のメモ(ノートテーキング)は、たくさんの情報を効率よく取ることを目的としました。私はメモには、

1)記録のメモ
2)思考のメモ
3)まとめのメモ

の三種類があると考えています。
マッピングメモ*1は、このうち基本的に1)のメモに対応しています。指導の段階としては、次に2)のメモを行うことがありますが、1)と同時に2)ということもできるようになると良いですね。これについては、授業で触れたいと思います。

*1 私はマッピングメモと言っていますが、一般的には「ウェビング」とか「マインドマップ」と言う言い方をすることが多いです。「マインドマップ」は、『人生に奇跡を起こすノート術—マインド・マップ放射思考』(トニー ブザン (著), Tony Buzan (原著), 田中 孝顕 (翻訳) 価格 ¥1,575 (税込))などの本があります。興味があったら読んでみて下さい。

            ◆

S5 すごいテンポが良い授業で、メモを取るのも大変だったけど、「授業」というものがすごく分かった気がしました。二回生より、教師の仕事というものが身近になった授業な気がしました。

T 嬉しい感想ですが、授業がどのようなものと分かったのか教えてくれませんか。いえ、興味があるんですよ。よろしくお願いいたします。

            ◆

S6 今まで授業開きについて考えた事などなかった。短い時間で言いたい事を伝えるのは難しいと感じた。これから国語の授業ができるように、勉強していきたいと思った。

T 限られた時間の中で行うのが授業なので、準備、構成をしっかりと行ってから臨む必要があると思います。授業を作るための4要素は先日の授業で説明した通りですが、それぞれを授業をする本人がしっかりと理解していないと、伝える事は難しいですね。

ちなみに、『効果10倍の〈教える〉技術 (吉田新一郎著・PHP新書)』には、以下のように書いてあります。これは京都の凄い小学校の先生である糸井先生のHP(学校に新しい風を http://susumu.exblog.jp/)にありました。

引用開始 ーーーーーーーーーー

しかし、約2500年前にあの有名な老子は「聞いたことは忘れる。見たことは覚える。やったことは分かる。」と言ったそうです。うまい話は、いくらでもその時は分かった気にさせてくれますし、いいノートも取らせてくれますが、それらが活かされることはほとんどなく、忘れられる運命にあります。

ちなみに、「見たこと」もあまり当てにはなりません。例えば、私は感激して見た映画やテレビなどすぐに忘れてしまいます(おかげて何回も新鮮に見ることができますが)。

その後、大分後になってですが、「見つけたこと(発見したこと)は、できる」と付け加えた人がいます。ちなみに、この老子が言ったことを数字で表したアメリカの研究者がいました。それは次の通りです。(数字は、記憶に残る割合を表しています)

聞いたことは、   10%
見たことは、    15%
聞いて見たときは、 20%
話し合ったときは、 40%
体験したときは、  80%

ここまでは、老子が言ったこととだいたい合っています。それでは、「見つけたこと(発見したこと)は、できる」のレベルは、どのような体験に相当するか想像がつきますか?

教えたときは、   90%です。

引用終了 ーーーーーーーーーー

この国語科教育法では、教える事で身につけるというワークを取り入れたいと考えています。

            ◆

S7 マッピングメモを今回初めてしました。ただ授業を聞くだけでなくこのやり方をすると自分の頭でどう整理したらいいかなども分からされた気がします。先生は授業は(ママ)すごく引きつけられたのでこんな授業ができたらと思いました。あと少し高校や中学の授業を受けているようで懐かしい気分でした。(笑)

T 通信にも書きましたが、去年まで中学校の教師をしていたので急に大学の先生の授業をするということはできそうにもありません。いや、ひょとしたらしないかもしれません。自分にあった授業のスタイルというものがあり、そのスタイルを確立するのに時間をかけてきた訳ですから、それを大学の先生になったからと言って変えてしまうのは、リスキーではないかと思っています。

この辺りは、自分の授業スタイルをこれから作っていくみなさんには分かりずあいかもしれませんが、割と大事な事だと思いますので、ちょっと心に留めておいて下さい。

            ◆

S8 大学で当てられる授業というのがあまりないので緊張してしまいました。辞書をすぐに引くより、まず考えろといわれて普段自分があまり考えて生活してないかもしれないと感じました。今までただ知識の蓄積だけの勉強でしたが、今日の授業で教えるための勉強をしなければならないと思いました。

T 学校現場ではインターネットを使った調べ学習が盛んに行われていますが、これはちょっと違うのではないかと私は考えています。分からない事柄があったらすぐにインターネットに飛びつく。確かに調べる習慣はつくでしょう。そして、正解らしきものも手に入れる事ができるでしょう。

しかし、考える力は育たないのではないかと思います。
失敗学の畑村先生の本だったと思いますが、ある会社の社長とお話をしている時に、
「このビルの階段は何段ありましたか?」
という質問をされたそうです。その時に、
「わかりません」
と答える人は採用しないのだそうです。
(えっと、この部屋の高さは2メートルぐらいで、階段の一団が20センチぐらいだから、階段の数は・・・)
と自分の手元にある情報で類推し、仮説を出せる人でないと採用しないのだそうです。

みなさんは、20年以上も生きてきて、勉強してきています。自分でも気がつかないほどの情報量を頭の中に既に溜め込んでいます。ですが、それを活用する練習が不足しているのではないかと思います。知識が知恵になっていないのですね。

疑問があったら、

1)メモする
2)自分なりの答えを出す
3)調べる

という流れで自分を訓練して下さい。それが、学校教育現場で突然襲ってくる指導の場面でなんとか切り抜ける力を育てていく一つのレッスンにもなると思います。

            ◆

S9 初めは先生が言った事を全部書こうと思ったけど、そうすると、ずっと下を向いてばかりだし、書く事が多すぎて頭の中もぐちゃぐちゃになってくるので、大事だなあと思ったことだけを書いて前を見るようにしました。難しい授業かと思ったけど、少し、楽しかったです。

T (を、この学生さんは前を向いて話を聞いているな)
というのは、私にも伝わってきましたよ。授業の中でコミュニケーションを取ろうとする姿がありましたね。

メモを取る時に

1)ひたすらメモ帳に視線を落として書き続ける。
2)時々、顔を上げて話し手を見ながら書く。
3)話し手を見ていて、書く時だけ下を見る。

というパターンがあるのですが、上級者になると

4)話し手を見ながら、手元を見ないでメモを続ける。

というものもできるようになります。ここはディベートのレッスン等でやりましょう。

            ◆

S10 マッピングメモははじめてだったのと、字を書くのが遅いので、メモを取るのに苦労しました。でも、メモを取る事は凄く大事な事だと思うので、なれていきたいです。集中して受ける事ができたので、時間が早く過ぎました。

T 書道を学んでいたり、国語が好きな人は、字を雑に書くという事に抵抗がある人がいるかもしれません。だから各スピードが遅くなる訳です。

ですが、なにを優先するかという事です。情報を記録するためものメモは基本的には自分が後から読んで分かれば良いわけです。他人が理解できなくてもかまいません。スピードを優先して多くの情報量を手に入れるメモの場合は、どうしても字が乱れます。しかし、それはそれで良いのです。

ゆっくりと書いて美しさを優先する手書きもあります。その時は美しさを優先させれば良いのです。私の場合、黒板に書くときは三つのフォントを使い分けて書くようにしています。

ただ、生徒に指導する時は
「雑な字を書き続けると、美しい文字に戻れなくなる場合があるのできれいに書く事」
と言う場合もあります。

            ◆

S11 おそらく、初めてマッピンング形式での学習をしたのですが、うまくコンパクトにまとめることができず、やってみて難しかったです。でも、こういった授業、または先生の授業はメリハリがあって、緊張感もあって、集中して取り組む事がでたし、楽しかったです。先生のじがとてもきれいで読み書きしやすかったです。

T 書道科の諸君に字を褒められるのは嬉しいなあ(^^)。コンパクトにまとめることの難しさを書いていますが、生徒が感じるであろう難しさを実感できたのではないかと思います。

さて、では、どう指導したらその難しさを子どもたちが感じる事なく、または、今よりも少し優しく感じるように指導できるでしょうか。考えてみて下さい。

            ◆

S12 私が中学校の時や高校生の時の国語の授業は、指導要領にそったような授業だった気がするので、楽しいとか感じることがなかった。だから、私はこの授業で国語とは楽しいと思えたり、生徒を引き込めるような授業ができるようになりたいと先生の話を聞いていて思った。

T 二つの事を述べます。一つ目は、学習指導要領に沿った授業が悪いという事ではありません。逆で、学習指導要領で規定されている内容は教えなければならないことです。

私が授業で言いたかったのは、生徒の実態を考える事なく、教えるべき内容をただ教えているというスタイルの授業です。こういうのを「上からの道」と言います。これはこれで一つの方法です。

しかし、この方法だけで授業が上手く行く事が難しくなっている今、生徒の実態から授業を作りしかも学習指導要領の内容を十分に満たしているという「下からの道」という方法です。下からの方が大変ではありますが、面白くなる可能性、生徒が学習意欲を持って取り組む可能性が高いという事です2 。

上からも下からも授業が作れるようにする事が大事で、生徒の実態合わせてどちらか、またはどちらも使いながら授業を行う事ができるようになる必要があります。

二つ目です。楽しくなければ○○でない!という言い方が一時期はやっていたような気がします
が、この○○の中に授業が入るということもありました。私はこれに対して、いくつかの考えを持っています。

まず、楽しいについて。楽しいは、ファニイ、インタレスティング、エキサイティング、クールなどの英語が当てはまると思うのですが、上記の「楽しくなければ○○でない!」という時の楽しいは、どうもファニイであることが多いような気がします。

ファニイの楽しさを授業でやったって意味がないと思います。授業ではインタレスティングの楽しさ出なければと思います。

次に、んじゃあインタレスティングならいいのか、という問いが立ちます。私は、インタレスティングは当たり前で、その次に、ノウレッジやスキルが身に付いているかどうかが大事だと思っています。

まとめると、ファ二イから入っても良いのですが、インタレスティングにたどり着き、知識や技術を手に入れる授業でなければならないのではないかということです。

            ◆

とまあ、思いつく事を書いてみました。抽象的な説明もあるので、何の事だか分からない部分もあるでしょう。それについては授業中においおい理解する事にして下さい。

なお、紹介した本は是非読んでみて下さい。学生時代に読み進めることが、あなたの将来の授業の基礎を作ります。

(国語科教育法通信「修学」 NO.2〜5 より)

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