当たっていたら怖いが
メディアリテラシーを扱っている教育関係者は、今回のこの「あるある」の「納豆問題」をどのように教材にしようかと考えているのではないだろうか。なんとも見事にウソで番組を作っているのがわかる。ディベートであれば、データの信憑性を学ぶためのの事例として良い教材になるだろうなあ。
私が中学校にいたら、すぐにこれらの教材にするだろうなあと思う。そして、「ココア問題」や「紅茶キノコ問題」までを取り上げ、情報リテラシーの授業を作るだろうなあ。
後期の大学の授業では、メディア断食をしてみてメディアの本質を考えさせた。そして、CMの分析を通して、マスメディアが触れることの出来ない領域について、自分たちの頭で考えてみるという経験をしてみた。
内田樹先生は、「新聞そのもの、テレビそのものというものは、それぞれが自らを批判することが出来ないのであるから、自分たちが何を批判していないのかを視聴者側が見る必要がある」のようなことをブログで書かれていたが、私がCMの分析で学生諸君に考えてほしかったことも同じ文脈にある。
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ためしてガッテン、おもいッきりテレビ、あるある大辞典。
この三つに取り上げられたものは、スーパーから姿を消すということになってから久しい。コンスタントに買っていた人からすれば大迷惑だが、それが現状だ。
しかし、ちょっと考えてみれば分かると思うのだが、
(そんなに毎週、大発見があるのか?)
とは思わないのだろうか。
確かに、ためしてガッテンの唐揚げの作り方は革命的であった。あれは揚げるのではなく、衣に包んで蒸すのであるという指摘は、鋭い。そういう常識の見直し、定義のし直し的なものはあるかもしれないが、あるわけがない。ということは、作っていると考えるが素直ではないか?
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もちろん、番組全体でウソを流すのが良いとは思わないが「あるある」に単純に文句を言っている人は、番組を作っている人たちも大変だろうなあと、思わないのかな。
繰り返すが、納豆業界にインサイーダー情報を流しているのを許しているわけではない。が、毎週毎週、彼らは高視聴率を確保するために作業をしなければならない。私だったらしんどいなあ。
業績主義の導入が日本をこれだけダメにしているってことは、もうソニーの例を出すまでもなく明らかであろう。テレビ業界はその業績主義の最たるところにいる。しかし、世の中の才能と資本は今はテレビ業界には集まらない。それでいて、結果を出せというのは、厳しい。
新しい人間は採用しない、予算は削られる、労働環境はどんどん悪くなる、新しい仕事だけはどんどん上から振ってくる。どこかの業界と同じである。
私の知り合いのテレビ関係者は
「今やテレビ業界は、明るい斜陽産業です」
と言っていたが、そういうことなのだろう。
◆
『「あるある」は、新しいちょっとした流行を生み出すためのシステムとして、スポンサーが設定した番組である』
という合意がひょっとしたら内部では暗黙の了解としてあったのかもしれない。そして、その新しいちょっとした流行から得た利益の部分を、スポンサーたちが少しずつ分け前として手に入れるようなシステムであったのかもしれない。
当たっていたら怖いが。
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コメント
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私もホームページをプリントアウトしておけばよかったと後悔しています。ただ話としては今の学生たちには数年は記憶に残るでしょうから、使えますね。
投稿: 臼井直人 | 2007/01/21 12:14
臼井さん、ありました。
気になって探ってみたのですが、
不完全ではありますが以下のアドレスにありました。
http://72.14.253.104/search?q=cache:uykMFhgZl5cJ:www.ktv.co.jp/ARUARU/search3/aru140/140_1.html+%E3%80%8E%E9%A3%9F%E3%81%B9%E3%81%A6%E3%83%A4%E3%82%BB%E3%82%8B%EF%BC%81%EF%BC%81%EF%BC%81%E9%A3%9F%E6%9D%90%EF%BC%B8%E3%81%AE%E6%96%B0%E4%BA%8B%E5%AE%9F%E3%80%8F&hl=ja&gl=jp&ct=clnk&cd=1
プリントアウトするか、PDFで保存ですね。
削除しても残ってしまうんだから、これはこれで恐ろしい。
投稿: 池田修 | 2007/01/21 12:43