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2007/03/02

『なぜ勉強させるのか? 教育再生を根本から考える』

『なぜ勉強させるのか? 教育再生を根本から考える』(諏訪哲二 光文社新書)を読む。
点滴を受けながら読み、研究室にこもりながら読む。
良かった。

教育再生を学力向上にだけ求める現在の政策や風潮を批判し、なぜ勉強をしなければならないのかを語っている本である。私がスマップの『世界に一つだけの花』を受け入れることができない理由も、改めてよく分かった。

諏訪氏はもちろんあの名著『オレ様化する子どもたち』の著者である。かの本では日本の子供たちが1975年を境に、農業社会化、産業社会化の先にある消費社会化に突入した近代日本を生きていることを前提に、学校教育の現状を説いた本である。本書は現状の教育改革の政策、アイディア、指導方法、風潮に批判的な検討を加えて、その先の世界を提示していく。

批判の対象とされているものは、多岐にわたる。たとえば、お受験キッズ誌、学校と塾の関係、ゆとりの教育(これは擁護)、陰山メソッド、親野智可等、Tossなどにも触れ、どこに問題があるのかを丁寧に説明する。

圧巻は、最後にある「エピローグ」である。このエピローグのために本書はあるといってもいいかもしれない。本書の最後にある7pを楽しみに読み進めるのが良い。できれば、声に出して読むといい。諏訪氏の語りが聞こえてくる。「この私」と「人類」との関係から勉強するとはどういう営みなのかを語っているのが分かるであろう。

本書と対話しながら読むことができたおかげで、私もかなり自分の意見をすっきりとまとめることができた。そして、教育ということ、学校教育ということ、親ということの難しさとやりがいを改めて感じることができた。

感謝したい。

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