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2007/04/18

正統的周辺参加という理論

正統的周辺参加(Legitimate Peripheral Partcipation 通称LLP)という学習の考え方がある。詳しくは教育原理等の授業でやると思うが、簡単に言うと、

学習をある「文化的実践(cultural practice)」への「参加」ととらえる*1

というものである。徒弟制度をモデルとして発見された学習の方法である。私は、このところこの正統的周辺参加のことを、君たちの姿を見ながら改めて思っている。なんのことだか分かるかな。

            ◆

当たり前だが一期生の君たちは、先輩が居ない。だから、のびのびとやれるということも言える、

だが、逆に言えば大学の一年生として、その学科の先輩たちから、なんとなしに教えられる大学生としての振る舞いというものが、抜けてしまっているのではないかと思えるのである。

以下の二つの例は、C組のメンバーで見たものではない。が、同じようなことがあるのではないかと思って、老婆心ながら書いておく。


その1 研究室への入り方

所用があって私の研究室に質問をしにきた新入生を見て、私は驚いた。
コートを着たまま、大きな鞄を肩からぶらさげたまま私のところに質問に来るのだ。しかも、どこの誰だかも名乗らない。通常なら
『出直しなさい』
と言うところだが、
(あ、習っていないな)
と思い直して一つ一つ教えた。通常なら、先輩たちの動きを見て、自然と身に付けるところだが、それができていないのだと思ったのだ。

ただ、指導すればきちんと従うのが諸君の良いところ。そこで、基本的な心得を書いておいた。理解するように。

引用開始 ーーーーーーーーーー

池田研究室に入る際の心得

1)研究室に入る時は、脱帽、脱コートをして身だしなみを整える。
2)ノックをする。
3)『どうぞ』の声があったら、「失礼します」と入室する。
4)入室後、研究室の左側にある椅子に荷物を置く。
5)所属、学年、名前、用件を端的に述べる。

なお、当然であるが、勝手に研究室内のものに触れない。

引用終了 ーーーーーーーーーー

分かったかな? これは、私が学生時代に恩師に指導された内容である。

その2 挨拶

「こんにちは、先生」という諸君が増えてきて、これは良いことだと思っている。だが、戴けない言い方もある。おそらく本人はおかしいと思っていないだろう。それは「お疲れさまです」である。

この言葉は、仕事をしている仲間同士で、目下の者が目上の人に対して言う言葉である。(逆は、ご苦労さん)
このところ私が帰ろう歩いていると、「お疲れさまです!」と言う者がある。「君はいつから私の同僚になったのだ?」と突っ込みを入れたくなる。また、すれ違い様に「お疲れさまです」と言われると、「疲れてないぞ」と言い返したくなる。

こういう時は、「失礼します」とか「さようなら」とか言うのである。場合によっては「こんにちは」「ありがとうございます」のこともある。なんでもかんでも「お疲れさまです」と一つの言葉で済ますのではない。適切な言葉を適切に使うことが大事である。

社会で自分のやりたいことをやれるようになるには、まず、正しい言葉を身につけることだ。これが社会へのパスポートの一つになるのだ。

*1 レイヴとウェンガー著/佐伯胖訳『状況に埋め込まれた学習——正統的周辺参加』産業図書, 1993.に詳しい。

平成19年度 京都橘大学文学部
児童教育学科Cクラス 研究入門ゼミ通信「起筆」NO.2より

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