『搾取される若者たち ーバイク便ライダーは見た!』
『搾取される若者たち ーバイク便ライダーは見た!』(集英社新書 阿部真大)を読んだ。団塊ジュニア以降の若者たちが陥る仕事の上の問題点をしている。
不安定雇用の職種であるバイク便のライダーは、若手によって支えられている。不安定雇用にも関わらず、彼らはワーカーホリックに陥って行く。そのからくりを著者自らが一年間バイク便ライダーをすることで明らかにした著作。
私も学生時代にアルバイトで塾の講師をしていたが、そこでの雰囲気がこの本に描かれている雰囲気に多少似ている。明るくて爽やかなのである。塾講師とバイク便ライダーでどこが似ているのかと思われるかもしれないが、実に似ている。さっと読める文体なので、その謎は読まれると分かると思う。
一種のキャリア教育としてこの本を捉えることも出来る。それは、爆発的に売れた『13歳のハローワーク』に関する次の批判からも見て取れる。この批判は、私が感じていた違和感の一つである。
引用開始 ーーーーーーーーーー
『13歳のハローワーク』に代表されるような無責任な自己実現を促す職業教育が、当面は問題であろう。同書にはなんと「乗り物が好き」の欄に「バイク便ライダー」が紹介されているのである。これを読んだ一三歳の子がバイク便ライダーを目指すようになったとき、著者はどのように責任をとるのだろうか。やはり、生涯年収やその職業の安定性、将来性なども同時に書き添えておくべきではないだろうか。そうすれば、バイク便ライダーをしていつまでも食べていけるなどという幻想を抱く若者が今後、少なくなるかもしれない。それを知らせた上で、バイク便ライダーを目指すか否かは彼らの選択に任せれば良い。職業への「夢」(これまで否定するつもりはない)と同時に、そのリスクも考え合わせることが出来るような知識をもった若者を育てていく教育が求められているだろう。
引用終了 ーーーーーーーーーー
私も特に高校生に教師とはどういう仕事なのかを話するときは、教師としてのリスクをかなり語るようにしている。その上で、彼らが選ぶのであれば大いに応援するから、うちの大学で学びたまえと話すようにしている。
いい面だけでなく、リスクまでも見えているのが大人であり、そのことを伝えなければガイドにはなりにくいはずだ。
« 『ピラゴラ装置 DVDブック 1と2』 | トップページ | 今日は人に会う日だった »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント