オーダーメイドのレッスン
昼休の会議の後、教育実習に向かう学生三人を指導。研究授業の内容は、小説、詩、道徳という取り合わせだ。
国語科教育法では、一つの教材を細かく分析してそこから授業をつくると言う体験は模擬授業でおこなうだけである。この模擬授業一つでも学生たちは自主的に合宿を行って作り上げてきたぐらいだから、かなり分析はしている。
しかし、残念ながら圧倒的に分析する作品数や時間が足りない。教材の分析の仕方も教えきれていないと思う。だから、実習の時に一人一人の作品に対応して教えるようにしている。オーダーメイドのレッスンである。贅沢だなあ。
今はまだ、児童教育学科の学生で実習に向かう学生ではなく、去年の国語科教育法の学生が中心なので、数が少ない。それだから丁寧に見てあげることが出来る。この方法を二年後にやっていたら、ちょっと厳しいなあと思う。工夫しなければ。
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小説は、分析批評と形象読み、詩は形象読み、道徳は「大人とはなにか」について扱うことになる。小説では、導入レッスンとして小説にある挿絵の読解をする。学生にやらせてみたら、非常におもしろがっていた。これを生徒にもやるのだ。
道徳の「大人とは何か」は、去年の私の「大人とは何か」の授業を受けていない学生が挑戦する。社会科の教育実習に行くのにも関わらず、研究授業は道徳でしてねと言われたので、慌てて必死に準備をしている学生である。
いくつかの道徳に関する資料を渡して、
『どれをやりたいか考えてご覧なさい』
と指示を出したら、これを選んできた。
うーん、頑張れよ。大変だぞ。
今年は、学研の『NEW教育とコンピュータ』で大人論を少し展開しているので、あれこれ言ってあげたいが、ここは自分で考えるのが大事だからなあ。とはいえ、少しヒントを上げなければと思い、20代の後半に書いた「大人とは何か」の授業記録と参考図書を数冊貸す。
うーん、頑張れよ。大変だぞ。
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途中で、既に教育実習を終えた学生が挨拶に来る。
パッと見た瞬間、ほっそりとした印象。
『痩せたんじゃない?』
と聞くと
「ずっと話していたので、あごの周りがすっきりしました」
とのこと。ふーむ。
実習中の写真に研究授業の指導案、授業の資料等を持ってくる。彼女は書道の実習だった。唐の四大家、特に歐陽詢(おうようじゅん)76歳の時の最高傑作、九成宮醴泉銘(きゅうせいきゅうれいせんめい)なんかをしっかりと教えている。気になっていた板書も、それなりに読める。これなら来年書道の先生になっても大丈夫だ。
実習後は、本当に一回り大きくなるなあ。
しかし、大学の教員になるとは3年前には夢にも思っていなかったが、大学の教員になって国語だけでなく、道徳や、書道の指導までするようになるとは、夢の夢の話であったなあ。でも、書道を志す学生たちと話が出来るのは、とても面白い。九成宮醴泉銘だけで話が伝わるなんて気持ち悪くて心地よいf(^^;。
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夜は、満月の一日前の月を愛でる。
サボテンの花が大量に咲き、えも言われぬ香りの中に、月が浮かぶ。
今日も一日、よく働いた。
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