言い訳をすれば良かった
「先生、顔赤いっすねえ」
私が研究室を出ようとするタイミングでやってくるのがTM君である。
ま、私は軟式野球部の顧問をやっていて、彼は代表だからいろいろと私の判子が必要になるのだけれどね。
『そ、そんなに赤いか。別に酒を飲んでいるわけではないぞ』
◆
月曜日は研究日。授業の準備をしたり、読書に勤しんだり、文章を書いたりする日である。前日から早寝をして、早起き。んでもって朝風呂に入って気分を整えて、ダーッと読書である。
一服するのにテラスに出た。
これが間違いであった。
気分が良くなり、ちょっと長目に外にいたのだ。
はい、日焼けしてしまいました。
テラスは東南向き。
午前中の日差しをきっちりと浴びてしまいました。
◆
資料を求めて、夕方に大学に向かう。
「失礼。只今、文章と向き合っております。急用の人、予約の人だけお会いいたします」
と長さ40cmぐらいの紙に書いたメッセージを扉の外に張り出して、うんうん唸りながら、格闘していたところに、
「トントン」
とノックの音が。
そりゃあ、急用なのだろうと思って扉を開けるわな。
すると見慣れない人、しかも満面の笑顔。
某出版社の営業の方であった。
た、頼むからメッセージを読んでくれ。
名刺だけ戴いて、丁重にお引き取り願う。
◆
(ふう、さて。今日の山場は越えたし、顔も火照ってきたし、今日はこれまでにしておいてやるか)
と片付けをしていたところに、TM君である。
「先生、顔赤いっすねえ」
あ、文章に熱中していたからだと言い訳をすれば良かった。
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