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2007/09/20

「笑顔病」

「笑顔」が気になる。
野中先生の最近のブログにあった、「楽しんで」にもちょっと関係があるかもしれない。

            ◆

なんとういか、若者の間に「笑顔病」が流行っているのではないかと思うことがあるのだ。

「笑顔には自信があるのです」
「笑顔が私の原点です」

のようなことを最近学生から聞いた。
私は一瞬
(こいつ、何をいっているんだ?)
と思った。

私の感覚では、それは自らが口にする言葉ではなく
『きみは笑顔が素敵だね』
のように、他者から言われる言葉であって、自分から口にする言葉ではないと思うのだ。

            ◆

本来評価の言葉として使われる言葉を、自分で勝手に使っている若者が増えている気がする。
「はい、一生懸命頑張りました」
なんてことを平気で言う。一生懸命頑張ったかどうかは、きみが言うのではなく
『を、きみは頑張ったねえ』
と、評価する側が使う言葉である。自分で言うのを聞けば聞くほど、
(お前は本当は何もしていないんじゃないか)
という思いを持つ。

私の経験では、本当に頑張った時は「頑張りました」という言葉は出ない。
「終わりました」とか「ふう」とか「・・・」ということが多い。自分で自分のことを評価するってのはないなあ。事実を呟くだけである。

            ◆

笑顔が醜い人やおかしな人ってのは、そうはいない。それをわざわざ言うのってのは、たしなみがないという思いもする。

さらに、笑顔でなければならないという考えにとらわれているのではないかとも思う。喜怒哀楽。すべての感情と表情を持っているのが、人生を豊かに生きることだと思うし、それが教師に必要なのだと思う。

今日、歯医者で見たテレビでは「笑顔度」を測定するプログラムが開発されて、それをデジカメに載せようと思っていると開発者は言っていた。集団を撮影するとき、その笑顔度の%が高い瞬間に自動的にシャッターを切るということだ。

            ◆

なんか間違っていない?

子どもは敏感だから、無理して作った先生の笑顔は受け入れない。それよりも、悲しい時に悲しい顔をしている先生の方がいいと思う。頭に来た時は頭に来たの顔で良いのだと思う。

無理矢理の笑顔なんて、竹中直人のギャグのようだ(って分かるあなたは、お仲間です)。

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コメント

ぼくは笑いながら怒っています。
ということですよね・・・。

子どもはきっと思っています。
「笑っている時が一番怖い」と・・

ははは。また、分かってて書く(^^)。

ながたくさんのように、指導のために戦略的に笑うと言うこととは違うんですね。これは。

自分の存在を保つため、または価値を上げようとして笑顔でなければならないという思いで笑っている。だから「笑顔病」だと私は思うのです。

最近、私の全国の講座でも、「笑顔のインフレーション」が起こっています。

100人の学生が自己アピール文を書くと約80人が「笑顔」を自分の魅力として売ろうとします。

私は、「やめておけ」というのですが、笑顔しか売るところがないようです。

従って、私の講座では、「笑顔」、「頑張る」、「様々な」は禁句となっています。


採用面接でも多いですね。
「私が自信があるのは笑顔だけです」
といわれて、思わず仰け反ったり。

(そ、それは凄い自信だ・・・。けど他に何も強みがないのなら、その笑顔は空っぽなんじゃないだろうか? 笑う表情は、酸いも甘いも噛み締めた結果から出てくるものではないだろうか)

笑顔病、というネーミングは腑に落ちました。
 

>河野先生

学生たちは、ストラテジーということを考えないのか、または悪いことだと思っている感じがありませんか? 何もない物を作り上げて偽装する必要はありませんが、あるものの売り方、見え方を工夫すると言うのは、とても大事なことだと思うわけです。

自分で見せ方を工夫していないで、「試験官は何も見てくれない」というのは、職を求める側の人間としてはおかしいと思うわけです。

笑顔問題の根っこは、ここに一つあると思っています。冷静に考えれば、数の少ない方に価値が宿るわけで、これが勝ちに繋がると思うのです。100人のうち80人が同じ答え。それを聞く試験官の気持ちになるということが分からないのでしょうかねえ。

私なら、絶対に逆で行きます。

>山中君

会社の採用試験でもそうですか。
(意外と根の深い問題かもしれない)
と思って、もう一度考えてみました。そしたら、結構怖い結論に達しました。

企業秘密になると思う答えですので、ここには書きませんが、今度関西で食事をした時にでも意見を聞かせてください。

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