「逸題」 井伏鱒二
逸題
井伏鱒二
けふは仲秋明月
初恋を偲ぶ夜
われら万障くりあはせ
よしの屋で独り酒をのむ
春さん 蛸のぶつ切りをくれえ
それも塩でくれえ
酒はあついのがよい
それから枝豆を一皿
ああ 蛸のぶつ切りは臍みたいだ
われら先ず腰かけに坐りなほし
静かに酒をつぐ
枝豆から湯気が立つ
けふは仲秋明月
初恋を偲ぶ夜
われら万障くりあはせ
よしの屋で独り酒をのむ
◆
去年も書いたなあ、この詩。
でも、いいんだよな。
こんな詩は書けないが、こんな詩を知っていて味わうことが出来るのは、
幸せだ。
写真は、昨日の月。14番目の月だ。
今宵は少し曇っているから、ちょっと心配だ。
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