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2007/09/27

「逸題」 井伏鱒二

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逸題  
      井伏鱒二


けふは仲秋明月
初恋を偲ぶ夜
われら万障くりあはせ
よしの屋で独り酒をのむ

春さん 蛸のぶつ切りをくれえ
それも塩でくれえ
酒はあついのがよい
それから枝豆を一皿

ああ 蛸のぶつ切りは臍みたいだ
われら先ず腰かけに坐りなほし
静かに酒をつぐ
枝豆から湯気が立つ

けふは仲秋明月
初恋を偲ぶ夜
われら万障くりあはせ
よしの屋で独り酒をのむ

            ◆

去年も書いたなあ、この詩。
でも、いいんだよな。

こんな詩は書けないが、こんな詩を知っていて味わうことが出来るのは、
幸せだ。

写真は、昨日の月。14番目の月だ。
今宵は少し曇っているから、ちょっと心配だ。

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