教員採用試験の一次試験に合格した時に、自分の中学校の恩師のところに報告に行った。当時校長先生をされていた青木先生は私にこう仰った。
「池田は、金儲けはしたいか?」
私は、
『ま、普通に生活できればいいです』
すると青木先生は、
「なら、教師になって良い」
と仰った。
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教師は公務員であり、生活は安定している。ではあるが、当時バブルに向かおうとしていた日本は、とんでもない給料を手に入れる事が出来る時代であった。
お金が要らないかと言えば、いる。だが、そんな数千万とか数億円とか、現実味がないし、それだけの金額を得られる仕事を私がやることの想像もつかなかった。教師の年収がいくらになるのかも知らなかったが、まあ、喰って行けるだろうし、仕事の内容で教師を選んだということで『ま、普通に生活できればいいです』と答えた。
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川島先生、いいなあ。2008年2月5日(火) 20時36分 http://www.inside-games.jp/news/268/26854.htmlより
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川島隆太教授、『脳トレ』のロイヤリティは受け取らず
ニンテンドーDSで任天堂から発売された『東北大学未来科学技術共同研究センター 川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング』は続編を含めて世界中で大ヒットし、DSがここまで一般層に普及した一つの原動力になりましたが、監修し、ゲームにも出演した川島隆太教授はロイヤリティを自分では1円も受け取らなかったそうです。AFP通信がインタビューしています。
DSの『脳トレ』は2作品合わせて全世界で2000万本以上が売れている大ヒットで、任天堂から支払われるロイヤリティも多額です。その額は4億4000 万円にも上り、大学の規定によりその半額が川嶋教授本人に入る予定でした。しかし教授はその収入を新たな研究に投資する道を選んだそうです。
「1円も自分のポケットには入ってません。家族はみんな、バカじゃない?と言いましたが、お金が欲しければ自分で稼ぎなさいと家族には言いました」
川嶋教授は1100万円の通常の収入で十分で、大金が入って遊びに行くようなヒマがあるならば研究に費やしたいと話しています。「おかしいかと思われるかもしれませんが、僕の唯一の趣味は働くことです」そんな教授は現在、トヨタ自動車と共同で、お年寄りが安全に事故なく運転できるようなクルマの開発などに取り組んでいるということです。
ちなみに4人の息子がいるそうですが、ゲームは週末に1時間と決めているそうです。「ゲームが怖いと思うのは、何時間でも潰せてしまうことです。ゲームが悪いとは思いませんが、度が過ぎれば勉強時間や家族とのコミュニケーションがなくなるんじゃないかと心配しています」とのこと。
引用終了 ーーーーーーーーーー
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川島先生と比べるのも烏滸がましいが、私も本を書いているので印税とかが入る。青梅の教員住宅が壊れるから出て行ってくれと東京都に言われて追い出されて、マンションを買う事になったのだが、一部の中学生は、
「先生は、本の印税でマンションを買ったらしい」
と言っていた。
あはははは。
そんな本を書いてみたいねえ。
私の印税は、研究会の参加費と本代とMac代に消えています。
ま、規模は違うけど、やっていることは同じだねえ、と強気の発言f(^^;。
自分で稼いだお金で、自分の好きな事をさらに充実させる。
先生だけに、「先行投資」ってことです(^^)v。
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「風呂の水を集めようとするとき、手前に掻いてもダメである。向こう側に押すのである。すると、きちんと返ってくる。集まるのである」
司馬遼太郎の何かの本で読んだ気がする。風呂はまあ、向こう側が見えるから押そうという気持ちになるが、世間や研究に対して目の前に拘ることなく、向こう側の見えないところに向かって押し出す。
これが出来るかどうかってのは、胆が試されるなあと思う。だけど、これが正解なんだと思う。学問の成果が世に受け入れられて、その結果さらに自分の好きな研究が出来る。川島先生、幸せなんだろうなあと思っています。