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2008/03/09

狂気を刺激する春の夜

渋谷駅ハチ公口スクランブル交差点から、109に向かう道がある。左に曲がると道玄坂で、右に行くと東急本店である。その道である。スクランブル交差点のすぐ傍の道路の際で何かが動いていた。段ボールの束かと思いきや、その淵に腰掛ける一人の年配の男性。

(え? そこは道路であって違法駐車の車が止まれば挟まってしまうぞ)

そんなところに人がいて、これから寝ようとしている。
道行く人のほとんどはその人に気がつくことはない。

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            ◆

「公園で寝るより街中で寝る方が安心なんだ」

というホームレスの言葉を聞いたことがある。人の目のない夜の公園では何かあった時に助けを求めることが出来ない。五月蝿くても自動車があっても、街中であればそれは回避できるということか。

            ◆

人は、年を取ると自然に帰る人と、街に帰る人に別れるという。
私はどちらなのだろうかとも思う。

街の喧噪は嫌いではないが、人ごみは嫌いだ。
かといって、あの自然の中で生活して行くことはどうだろうか。
私の先輩がかつて言っていた。

「人間は、自然の中では生活できない。人間が好きなのは管理された自然だ」

そうだよなあ。
いまのマンションから見える琵琶湖はとても奇麗だが、これは管理された自然である。

            ◆

消えて行く対岸の灯りを見ながら、渋谷の夜に見たあの男性の姿が思い出されてくる。
そして、あそこにいたかもしれない自分のことを思ったりもする。

いくつかの決定的な判断と、いくつかの偶然、そして受けた教育やそれなりに懸命だった努力。
それらが人生を決めて行くんだなあとも。

でも、私があそこにいてもなんか納得するような感覚。

            ◆

狂気を刺激する春の夜である。

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コメント

先生はちがいます。
愛する家族、娘のために戻っていく人ですよ。

ぼくは、街に帰ってはいかず、
結局、自然に帰っていってしまいます。
まだ、若いのに・・・。

渋谷・・。うう、なつかしい・・。

そう、家族や娘すらもどっかにいってしまいそうな、狂おしい春の夜なのですよ。

私にとっても久しぶりの渋谷でした。が、街の雰囲気はあまり変わっていないなあと言う思いでした。街は広がり、店も増えましたが。

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