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2008/04/24

ロッククライミングをする登山家

基礎演習ゼミが本格的に始まった。『おとなが子どもと出会うとき、子どもが世界を立ちあげるとき—教師のしごと』(竹内常一 桜井書店)を読んでいる。本格的なテキストリーディングとしては、学生たちは初めてである。

学科のすべてのクラスでこの本で取り組んでいる。私は、こんなふうにしている。

・ゼミの事前指導

1)4人ぐらいのグループに分かれる。
2)発表グループの一人一人が、担当の章ごとに読み案をつくりレジュメとしてまとめる。
3)池田が指導する。
4)指導の後、グループでそれぞれの読み案を元に、発表グループの読み案を作る。

・ゼミの実際

1)発表グループから、読み取った内容と疑問をクラスに提示する。
2)クラスで、1)について質問をする。
3)1)の疑問の内容を、クラスのそれぞれのグループで議論する。
4)議論したグループごとに内容を発表する。
5)4)について発表グループから意見を述べる。
6)1)〜5)を受けて、池田が確認、解説、新たな問題点の創出を行う。

・ゼミ後のまとめ

1)ゼミの議論をふまえて、発表グループの担当者は一人一人が学級通信風にまとめのプリントを作る。

つまり、学生は三週間このテキストと掛っきりになるわけである。

            ◆

『おとなが子どもと出会うとき、子どもが世界を立ちあげるとき—教師のしごと』は、竹内常一先生が、全生研の実践記録を読み取り、読み開いた本である。学生たちは、この読み取りに従いながら、自らの読み取りに挑戦している。『おとなが子どもと出会うとき、子どもが世界を立ちあげるとき—教師のしごと』にある実践記録の原典に当たって比較してということをさせているのだ。

ま、しかしこれは基礎演習ゼミである。原典まで自分で探してこいというのは、まだ厳しい。学科の小寺先生が京都大学の図書館まで出かけていって、原典の生活指導や全国大会の紀要をコピーしてきてくださって、これを元にテキストリーディングをしている。

当然、やがては自分たちで原典を用意するようにさせるのだが、いまはそこは教員がサポートしている。

            ◆

『おとなが子どもと出会うとき、子どもが世界を立ちあげるとき—教師のしごと』と原典の実践レポートを読み込み、自分の読みと竹内常一先生の読みの異同を確認しながら読み進める。最終的には、『おとなが子どもと出会うとき、子どもが世界を立ちあげるとき—教師のしごと』の学生版を作らせるイメージである。

グループで、クラスで。学生たちは、気が遠くなりそうになりながらこれに取り組んでいる。

一回生のときに、読書をしたら印象に残るフレーズを引用して、それについてコメントするという課題を年間三十冊させてある。これは、今年のこの授業のための準備であったのだ。

            ◆

授業のあとに私はこんなことを言った。

『面白かった人、よくわからなかった人、つまらなかった人。みんなはどれ?』

すると、面白かったけどよくわからなかったという諸君が多かった。逆にもやもや間が残ったという学生もいた。それでいいのである。

勉強したら分かったというのは、学習の段階である。学習はそうでなければならない。しかし、学習から学問の領域に入ろうとするとき、「勉強したらさらに分からなくなった」ということがあることに気がつかなければならない。もう少し正確に言うと、「勉強したら、さらに疑問が見つかってしまった」ということである。

ちょうどそれは、ロッククライミングをする登山家が、一つの難所をなんとかクリアしたら、その向こうにクリアしたことで新たな難所を発見できるような感覚である。そこをクリアしないと、次の課題が見えてこないということである。

            ◆

『をーをー、君らもいよいよそこに来るんだねえ』

私はニマニマ笑いつつ、言うのであった。

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