『僕たちの好きだった革命』
『僕たちの好きだった革命』(鴻上尚史 角川学芸出版)。一泊二日の間に読み終わった本である。鴻上尚史さんの同名の脚本の小説化された本である。
久しぶりに、泣きながら笑い、笑いながら泣いた本である。この場合、「泣きながら笑い」というのは、切なくて泣いていたらそのまま笑い出してしまったということである。笑いながら泣いたも同じ。鴻上さんならではだ。
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鴻上尚史さんが主催する、第三舞台の『宇宙デ眠ルタメノ方法ニツイテ』を下北沢の「ザ・スズナリ」劇場で見たのは、岩谷さんがまだご存命の頃で、もう20年近く前のことになるであろうか。
RCサクセションの「トランジスターラジオ」から始まるそのステージは、始まったと思ったら、終わっていた。ただ、鷲掴みにされて目の前に突きつけられた「表現」の可能性を抱えて下北沢の街を歩き、「陣太鼓」のカウンターに腰掛けて、うー、うー唸っていたのを思い出す。
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私の世代は、ビートルズには遅く校内暴力には早い時代である。ま、どちらも知っていると言えば知っているがそのど真ん中ではない。まして、全共闘などは分からない。
その70年安保の時代に高校時代を過ごした人間と、その30年後の高校時代を過ごしている人間とが作り出す、えも言われぬドラマである。
先生であって、この時代を生きてきた人間にはなんとも面白く切ないドラマである。お薦めだ。
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