蝉時雨が心地よかった
午前中から昼過ぎにかけて某所で、新学習指導要領に関連するお仕事。算数と理科が大きく変わったなあと改めて思う。増えたのではなく、今までが少なすぎたのかなあとも。
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授業の前にあれこれと学生からの質問に答える。
「先生は、好きなスイーツは何でしょうか?」
「先生は、和食と洋食ではどちらがお好きでしょうか?」
「先生は、・・・」
なんのこっちゃと思うだろうが、これも大事な授業の一環。夕食会の企画書を作るためのリサーチなのである。教師は幅広い年齢層の人たちと関わる。小学生からおじいさんおばあさんまで関わる。他者へのアプローチの仕方、理解の仕方を学ばないとやってられない。
夕食会では、私を一人の他者として考え、リサーチの上楽しませるのである。
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国語科教育法では、句会を行う。
俳句の授業は、句会で行うのが最も楽しくて力がつくと考えている。
名前を隠して、作品そのもので選び合う。
二物衝突(取り合わせ)がわからない学生がいるが、ここが理解できないと俳句にならない。作品を批評する中で解説を加えて行く。作品に対する批評は辛口になる。しかし、どこがおかしいのかをきちんと説明し、こうしたら良くなると言う事を示す事が、大事である。
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実は、句会の指導で一番難しいのは、この宗匠のコメントなのである。私はジャパンライムから「句会をしよう 〜俳句をつくる、楽しむ、評価する〜」
というDVDを出しているのだが、このDVDの監修をしてくださった東京学芸大学の大熊徹先生に、
「池田先生のコメントが的確だったから、二回目の作句では見違えるように良くなりましたね」
と言っていただいたことがある。
私が一番力を入れているところを評価していただいて、とてもうれしかったのを覚えている。
宵山に 祇園を走り 決意する
この句が今回の正選句の第一位に選ばれた作品である。私も、この句は気に入った。この句について、参加者であれこれあれこれ話した。面白かったなあ。これが句会の醍醐味である。
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授業後いくつかの学生の相談を受け、校舎を出た。すると二階のバルコニーに学生たちが集まって何やらやっている。よく見るとお習字である。明日の国語概論の書写で出してある課題を懸命にやっているのだ。
蜩の鳴く夕暮れのバルコニーで、懸命に筆をとって課題に勤しむ学生たち。なかなか良い絵であった。これは通り過ぎるわけにはいかないと思い、少しずつ指導する。すると、ちょっとの指導でグンと良くなるのが書いている本人にも分かる。
「いやあ、マジでハマってきた」
と言いながら、書き続けてる学生たち。
(そうそう。このちょっとの指導で子どもたちが伸びるわけね。将来は私の役を君がやるんだよ。しっかり実力をつけるんだぜ)
と思いながら、指導を重ねた。
蝉時雨が心地よかった。
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