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2008/10/16

普通の言葉に注意せよ

児童総合演習では、子どもの詩を読解している。

読解には、

1)テキスト論的な読解
2)作家論的な読解
3)読者論的な読解

の三種類がある。
子どもの詩を読み開くためには、1)を踏まえて2)で取り組む視点が大事であると考えている。

今日扱ったのは、『心ってこんなに動くんだ』(西條昭男 新日本出版)にある詩。

引用開始 ーーーーーーーーーー

ランドセル
            さおり

おともだちと学校へいくときに、
あるくのが とても はやかったから、
わたしは はしった。
ランドセルは きにしない、きにしない、
おもくても。

引用終了 ーーーーーーーーーー

この作品をゼミで読んで行った。

             ◆

子どもは、感情や考えは大人と同じにできるが、言葉を知らないため大人の言葉で伝えきれないことがある。逆に言えば、普通の言葉の中に大きな考えや意味を持っていることがる。

さらにめんどくさいのは、「お前なんか嫌いだ」と言う言葉は「お前が大好きだ」という意味を表していることがある。

指導にはいろいろな形があるが、子どもを理解することから始める指導の場合、きちんと理解することが、指導のストライクゾーンを確定することになるので、大事だ。

             ◆

学生たちに指導したのは、

・普通の言葉に注意せよ

である。
ゼミの中では、倒置法、反復法、対比などの修辞法が使われていることに気がついて行くのだが、その他にも句読点の打ち方や隠喩、シンボルなどの話にも進んで行く。

『なぜその表現方法を子どもが使ったのかを考えることで、子どもが抱えている思いや考えを手に入れるヒントを教師は手にすることができるのではないだろうか』
ということを、話した。

             ◆

かつて私は、恩師の竹内常一先生に質問したことがある。

『先生は、どうしてそんなに文章を読めるのですか』

質問する私は相当失礼である。
先生なんだから読めて当たり前なのであるが、謎だったので伺った。

「文章には作品の裏側に入って行く扉があるんだよ」
『その扉があるのはなんとなく分かるのですが、どこにあるのかを、先生はどうやって発見するのですか』

簡単に引き下がらないのは、私である。

「同化と異化だな」
『だからそんなに難しい言葉ではなくて』
「ま、簡単に言うと、君たちと一緒に読んだからだよ」
『?』

結局なんのことだかよく分からないまま、会話が終わったと言う記憶があるが、今は先生の仰った「ま、簡単に言うと、君たちと一緒に読んだからだよ」というのが分かり始めている。

             ◆

授業の後、このゼミの担当教員と話すことがあった。そしたら、意図したわけではないが他の2つのクラスも、今日扱う予定の範囲のいくつかの詩の中から、この詩を採用してゼミを行っていたそうだ。

「やっぱりこの詩になってしまいますよね」
と教員同士で笑ってしまった。

ゼミは、あれこれ面白い。

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コメント

「君たちと一緒に読むからだ」という言葉の意味するところを体験したいなぁ、と思う今日この頃です。
今、生徒たちと『こころ』を読んでいます。というか、『こころ』を生徒たちに読ませて、研究レポートを作成させています。これを通して、生徒の気づいた新たな解釈で私自身が驚きたいなぁと思っています。
今日の授業では、生徒たちは作品とはまったく関係のない話でわいわい盛り上がっていました。非常に残念です。昨日のクラスでは、素晴らしい集中力で作品について語り合っていて私を驚かせてくれたのですが、今日のクラスでは失敗でした。
生徒と一緒に読みたいですね。

私がディベート指導に取り組んでいる時、恩師は
「池田、文学が分からなくて良かったなあ」
と身も蓋もない言い方をされましたが、生徒や学生たちと一緒に読むことで、少しは文学の授業が出来るようになってきたんじゃないかなあと思っていますf(^^;。

ま、確かに、私は文学作品は好んで読もうとは思いませんが。

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