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2008/07/04

小さな言い訳

『ブラックジャックによろしく』で、小児科の研修を重ねる主人公に、指導医が言った言葉が思い出される。

「親は、自分の痛みは我慢できますが、子どもの痛みは我慢できませんからねえ」

確かにそうだなあと思う。何がどのように痛いのか分からないのは、見ていてつらい。頭の中でそのように思っていたが、やはり実際もそうだ。

           ◆

病院に連れて行くために着替えさせる。それだけで15分はかかってしまう。泣いたりハイハイして遠くに行ったりしてしまって。せっかく朝風呂に入って寝汗を洗い流したのに、また一汗かく。

泣いていたって、着替えさせるのだ。
どんな反応をしたって、やるべきことはやらせる(やってあげる)。ということを続けて行かないと、人間の成長は緩慢になる。だから親や教師は大変であり、責任があるのだねえ。

           ◆

昨日のゼミで、
『笑ってごまかすな』
ということを言った。
小さなミスや間違いを指摘されると、笑ってごまかそうとする学生が多くいることを指摘したものだ。

笑顔は、相手の攻撃本能を緩めるかもしれない。その結果、自分の受けるダメージを少なくすることができる。しかし、それでその本人が成長するかと言えば、それはそんなことはない。なんとなれば、これは「小さな言い訳」でもあるからだ。言い訳をしていて成長する若者を見たことがない。

『字が汚い。直しなさい。こんな字で授業を受ける児童がかわいそうです』
「へっへへっへ」
『笑ってごまかすな』

ということになったのだ。
学生は、これをきちんと受け止め
(こんなんではダメだ)
と努力を始めることを決意したようだ。

耳に心地よい言葉は、誰もが好きである。私も好きだ。だが、その言葉は3年後、5年後の私やあなたを成長させる言葉ではないということを理解しなければならない。

だから、叱ってくれた親や恩師を懐かしく思い出し、感謝するのだと思っている。

           ◆

午後は、国語科教育法1の準備をあれこれ。学会出席の準備もあれこれ。意欲のある学生たちが書道展のために来週の授業を欠席しなければならないことになったので、今日はその学生たちに向けて二週間分を授業することになる。だから準備も二週間分である。ちょっと大変だ。

だが、学生に学ぶ意欲があれば、それを受け止めるのが大学の授業であると私は信じる。

           ◆

おまけの6限の授業をしているときに、ふと、

『これだけ資料を配っているんだから、これを元に国語科教育法の本を書いてみるかねえ』

とつぶやいたら、学生諸君は強くうなづいてくれた。
うーむ。
将来は考えてみるか。

疲れたが、充実した一日だった。

さ、明日から徳島で学会だ。

2008/07/03

梅雨が明けるのかもしれない

本日は基礎ゼミ。引き続いてテキストリーディングを行う。二巡目は二巡目で面白い。
中には、
(うーん、そりゃあきついだろう)
という問を出してくる学生がいる。

私は
『【宇宙には果てがありますか? 「はい」 では、それを証明してください】問題だな』
と話している。

問題は見つかったが、証明する力量を持っていない問題のことをこのように説明している。逆に、問題はあるが既に証明されているものということもある。【木の葉っ葉は何色ですか? 「緑です」 なぜですか? 「葉緑素が緑だからです」】問題である。もちろん、葉緑素がなぜ緑なのか、そもそも緑とは何かということも言えなくはないが、あくまでもたとえである。

で、今日の基礎ゼミでは「指導」とは何かという話になった。

            ◆

昨日の学科会議では、一期生の卒業論文指導の体制について議論が始まった。再来年のことである。このことを今日のゼミの最初に話したところ、学生たちはびっくりしていた。

通常、校長は三年先、教頭は二年先、教務主任や学年主任は一年先を見据えて教育計画実践計画を立てると言われている。大学も同じだ。学生たちの卒業論文をどのように指導して行くかをあれこれ議論し始めているのである。

四回生になって突然卒業論文を書けと言われて書けるもんではなかろう。私はまあ、そうやって書いたが、今の学生たちにそうやって放っておく指導は、できないだろう。ある程度段階を追って指導して行くことが大事だと考えている。

で、この「指導」は、卒業論文以上の問題である。ゼミの少ない時間で取り扱うには大きすぎる問題である。そこで、参考図書を10冊ほど示しておしまいにした。演習室の前に研究室があるのは、便利である。

            ◆

さらに、教科書と教科書が元にしている一次資料との間に相違があるのも発見できた。教科書は子どもの笑う様子を「ニタリ」としている一方で、一事資料である実践記録は「ニヤリ」としている。そして、同じ描写のところで、他の子どもには「ニタッ」と書かれている。これはどういうことなのかについて、議論が始まった。

1)誤植
2)書き写し間違いによる本音
3)その他

という中での議論。

            ◆

これを受けて、「ニ」から始まる笑いに関する擬音語擬態語の話。そして、日本語の特徴である擬音語擬態語(オノマトペ)についての解説やらなんやら。

引用開始 ーーーーーーーーーー

問 彼女が好感を持った彼の微笑みはa,bのどちらでしょうか?

「彼は【  】と笑った」

a ニコリ
b ニタリ

引用終了 ーーーーーーーーーー

即席で問題を作りあれこれ。

『君たちは、aを簡単に選べるけど君たちのクラスにこれから入ってくる外国人の子どもにどう教えるの?』
と。

さらに、
『鉛筆の本数の数え方を知っているか?』
「1本です」
『では2では?』
「2本です」
『3では?』
「3本です」
『これを教えるのは大変だろう?』
学生たちは唸る。

だって、1「ぽん」2「ほん」3「ぼん」だぜ。英語を習った時に、コーヒーと水でカップとグラスに違えなければならないと聞いて
(ひえー、英語って面倒くさい)
と思ったが、実は日本語の方がよほど面倒くさいのである。私たちはこれを考えることもなく使っているが、これを説明するとなると大変なことに気がつく。

言葉は面白い。

            ◆

昼休みから3限にかけて学生が相談やら報告やらにくる。あれこれ聞いて、あれこれ話す。ふむふむ。

その後、2時近くになって昼ご飯を食べに生協に。ふう。
すると、去年授業を受けていた学生に声をかけられる。一緒に食事。教育実習が後期からと言うので、あれこれ相談に乗る。相談に乗りながら後期の授業のアイディアを手に入れる。学生も教育実習でこれを使うことを勧める。もちろん、私は後期の国語科教育法2でこれをさせるつもり。

『面白いなあ。こういう授業受けたかったなあ』

と学生と一緒に笑う。そうである。私たちは自分たちが受けたかった授業を、生徒や学生たちに受けさせることができるのである。いいなあ、こんな授業を受けたかったなあと思えるかどうかが、一つの鍵であると思っている。

            ◆

夜、珍しく雷。
リビングに敷いた布団の上でまどろんでいた娘が目を覚ます。慌てて横に寝て腕を触らせる。なぜか、娘は腕を触っていると落ち着くのだ。

梅雨が明けるのかもしれない。

7/26の明日の教室

みなさん今月の「明日の教室」のご案内を差し上げます。
よろしくお願いいたします。

            ◆

【フィンランドメソッド・ PISA学力】 

2008/7/26 (sat)
13:30~17:00

            ◆

7/26の明日の教室では、北川達夫氏をお招きいたします。

これからの国語教育は、PISAを避けて通ることは難しいと思います。PISAで世界一位の学力を示したフィンランド。今回の講師北川達夫氏は、フィンランド大使館に勤務した経験を踏まえて、これからの国語教育、世界を視野に入れたコミュニケーション教育へのまっすぐな提言をしていただけることと思います。

いま、フィンランドメソッドとPISA学力について、日本一の講師である北川氏のレッスンにご期待ください。

●講師:北川達夫氏 

1966年東京生まれ。高校生のときに儒家の拝師門徒となる。古式にのっとり、四書五
経を六年かけて学ぶ。その間、北京、上海、台北等を巡る。
早稲田大学法学部卒業後、外務省入省。ヘルシンキ大学でフィンランド専門官として
養成される。在フィンランド日本国大使館在勤(1991〜1998年)。帰朝後に退官。
フィンランドで母語教材作法を学び、教材作家となる。現在は、日本とフィンランド
のほか、欧州各国で言語教材の制作に携わっている。(財)文字・活字文化推進機構調査研究委員/日本教育大学院大学客員教授

著書『「論理力」がカンタンに身につく本—欧米式作文メソッドでOK!説得・交渉・コミュニ
ケーションの達人になる3ステップ』(大和出版)『図解フィンランド・メソッド入門』
翻訳『フィンランド国語教科書—日本語翻訳版フィンランド・メソッド5つの基本が学べる』
小学3・4・5年生(いずれも経済界)『ニッポンには対話がない』(三省堂 平田オリザ氏との対談)

            ◆

お申し込み:
下記の内容をメッセージ欄にお書きの上、下記アドレスにお申し込みください。

http://www.formzu.net/fgen.ex?ID=P2213754

1)お名前
2)所属 
3)連絡先電話
4)懇親会参加の有無(3000円前後)

参加費:一般 2000円 学生 1500円 (受付13:00~ 当日お支払いください)
主催:教育研究会「明日の教室」 
会場:京都橘大学児優館

            ◆

お待ちしております。

ご自分の実践を語られた

研究入門ゼミは、合同で行った。小学校教員の実践とは何かを児童教育学科の小学校出身の二人の先生が語った。ご自分の実践を語られた。すごかった。生源寺先生と倉持先生である。

生源寺先生は、自分の学区の昔の写真などから川の成り立ちとそこでの産業の関係を追い求め、自分の生活する町を理解し愛情を持つようになる実践。自然科学と社会科学が学びの中で一つになり、人の営みを浮かび上がらせていた。

倉持先生は、小学校での行事づくりの話。入学の時に六年生が一年生の面倒を見ることや、児童会の選挙、運動会を子どもたちが作り上げて行くことを通して自治を学んで行くことの指導とはどういうものかを、教員が計画を立てる中に映し出していた。

自分の大学のことをこういうのもなんだが、すごいなあと思う。このメンバーと一緒に学生を育ているのだと思うと、わくわくする。

学生諸君に、両先生の実践の本当のすごさが分かるのは、いつになるのか。たぶん、二回生の後期以降だろう。自分で授業をつくり始めた時に愕然とするのだと思う。私たちが懸命に本を読め、研究会に参加しろと言っている意味もそこで分かるであろう。

二回生の後期。ま、一般的な大学に比べれば早い方だと思う。ここで気がつくように指導してゆきたいものである。

            ◆

学科の会議に、文学部教授会。いろいろと重要な案件が議論されて行く。自分たちの大学を自分たちで作って行くと言う実感がある。懸命に知恵を絞って、よりよい教育ができるように、そのシステムを考えて行く。

その後、学生の個人指導。

            ◆

大学の帰りにタイヤの交換。ついでにオイル交換。週末に学会の発表で徳島まで向かう。その準備の一環だ。あれこれと考えだすととんでもない金額になるので、あれこれ考えないことにする。凝りだすとランニングコストがすごいからねえ、BMWは。

今日もあっという間に過ぎて行ったなあ。

2008/07/02

青に染まる

七月に入り暑くなってきた。京都は30度を超えていると思う。ではあるが、我が家は涼しい。天気予報ではだいたい京都市内より二度ほど最高気温が低いというのが大津の相場であるが、今日の我が家の中は5度ぐらい低いかもしれない。

比叡山から琵琶湖へと風が吹き抜けるのである。その途中に我が家があるので、家の中を風が通り抜けるのである。購入前にある程度予想していたが、ここまでとは思わなかった。

            ◆

学生たちからは、
「どんな本を読んだら良いのでしょうか?」
と質問を受ける事が多いのだが、このところの私は次から次へと本にヒットしていて、どんな本を読んだら良いのかなんてことは考えられない。

で、じっくりと本を読んでいると娘がその本を取りにくる。自分用に本を与えてあるのに、私が読んでいる本が気になるらしい。経済同友会代表幹事の北城さんの本なんかなんで興味があるのか分からないが、表紙も中身もいたく気に入っている。もちろん、私も気に入っている。気があってうれしい。

            ◆

青に染まる一瞬のトワイライトタイム。
今日はのんびりであった。


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2008/07/01

夏越しの祓い

夕刻から吉田神社の夏越しの祓いに出向く。

「風そよぐならの小川のゆふぐれはみそぎぞ夏のしるしなりける」

百人一首の藤原家隆の歌である。
ここにある「ならの小川」は、上賀茂神社にある川の事であり、奈良県とは関係はない。さらに、ここの「みそぎ」が「夏越しの祓い」である。

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一年の半分が終わる今日、京都ではどこの神社でもおはらいをする。
吉田神社では、
「みなつきの なごしのはらひ するひとは ちとせのいのち のぶといふなり」という大祓の歌を歌いながら、大きな茅の輪を三回くぐりお祓いをする。

去年は娘が奥さんのお腹の中にいたので、二人で向かった。
そして、
(丈夫な子どもを授かりますように。奥さんが健康でありますように。・・・・)とあれこれ祈りながら茅の輪をくぐったのだが、今年は娘を抱っこして三人でくぐる。来年は、娘は歩いてくぐるんだろうなあとちょっとしみじみ。

           ◆

もちろん、くぐる前には祝詞があるのだが、この吉田神社では祝詞を印刷した紙をみんなに配る。そして、参加者一斉に祝詞を奏上するのである。

祝詞はB4一枚ぐらいの分量で、結構たっぷりある。そして、そこにはすべて平仮名でルビがふってある。ということで、2〜300人の参加者全員で読み上げることができる。

ここまで準備してあれば出来るだろうという考え方もある。しかし、私はこれはこれですごい事だなあと思う。日頃、祝詞と縁のある生活をしている人たちなんて、まあいないだろう。それなのにこうして祝詞をみんなで言えるのである。これって日本の教育の水準の高さを如実に表していると思う。

           ◆

さ、一年の前半は終了である。
充実の後半へと向かおう。

2008/06/30

すごい演奏だ

久しぶりのオフである。
ゆっくりと寝ていようと思ったのだが、背中を蹴飛ばされ続けて起きてしまった。娘の寝返りである。寝返りの度に踵落しで背中を蹴るのだ。

お湯を沸かして紅茶を入れる。
テラスに出て琵琶湖を見ながらメールのチェックである。
無線LANにしておいて良かったなあと思う瞬間である。
雲の多い空は程よく朝日をカットしてさほどまぶしくない。
また、紅茶が美味しい気温である。

これだけでも、オフだなあ。

           ◆

http://jp.youtube.com/watch?v=prXfkQaQVJY

昨日寝しなに発見したものである。すごい演奏だ。
ただ、よく見ていただきたい。左利きのプレーヤーというのが珍しいのではない。彼の左手だ。

彼は生まれつき左手の半分を欠損して生まれてきた。それでもどうしてもギターが敷きたいというので、工夫をしているのだ。この映像では腕にピックをセットしたフォルダーのようなものをつけて弾いている。

こんな映像を見ると、ちょっとのことで言い訳しようとしている自分を蹴飛ばしたくなる。

さらに、もうひとつ。

http://jp.youtube.com/watch?v=1k08yxu57NA&eurl

36歳でオーディション番組にやってきた彼だ。
「何しにきたの?」
と女性審査員に聞かれて
「オペラを歌いに」
と。
審査員、視聴者の予想を裏切る歌声。そして大喝采。
すげー。

           ◆

を、太陽が雲の切れ間から差してきた。
今日の「夏越しの祓い」は、大丈夫かな。

コミュニケーションゲーム

午後から大学へ。
今日は明日の教室パートナーの糸井先生が企画したDVDの収録が、本学の児優館であるのだ。明日の教室でお世話になった蓮行さん@劇団衛生代表が行うコミュニケーションゲームの収録である。

私は今回は出番はなく、大学側の関係者として収録に立ち会うと言う感じである。ま、何かあったら走ると言う事である。DVDは学生たちを生徒に見立ててゲームを20本以上収録する。

私は、時々収録に立ち会いながら一方で本の校正をしたり、書写の授業の準備をしたりしながら過ごした。

蓮行さんの指導が良いので、学生たちの反応もよく、良い仕上がりになったと思う。作品が楽しみだ。

           ◆

収録後、今日はおとなしく家に帰る。
久しぶりに実家に連絡。娘の様子をあれこれ。
そして、弟のところへも。
正月以来の娘なので、大きくなったなあと言われる。
あれから六ヶ月だもんねえ。

体調が良くなってきたので娘は、一緒に遊びたがる。
ベッドの上で飛び跳ねる。
私も一緒に遊んであげる。
娘がベッドの上から落ちないように気を配りつつ、一緒に遊ぶ。

           ◆

そんなこんなで六月が終わろうとしている。

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