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2009/01/08

棺を蓋いて事定まる

本日の授業は二つ。

ディベートの試合をする予定の授業が一時間目。
ところが、ディベーターが揃わない。風邪とインフルエンザである。

授業ではこういうことがままある。ぱぱもある。ないか。
で、どうしようかと思ったのだが新春放談をすることにした。この正月にいろいろと考えたことを学生たちに話すことにした。

  • 自分の育ちを振り返る正月であったこと。
  • アメリカ帝国が崩壊した後の世界の新たな秩序づくりの方向性のこと。
  • 教え子になる正月、教え子が集まる正月であったこと。

こんなことをあれこれと。

二時間目は、林竹二先生のビデオを80人の学生たちと一緒に鑑賞した。「人間とは何か」1977年に沖縄の小学校で、三年生を対象に行われた授業である。

1)事務連絡(ゼミの希望用紙回収など) 10分
2)ビデオの見所、見た後の説明 5分
3)ビデオの視聴 45分
4)ビデオの振り返り 25分
5)まとめ 5分

ビデオを視聴した後の振り返りは、個人で意見をまとめ小グループで交流し、全体への代表意見の投げかけのような形で進めた。

学生たちの感想は、林先生の授業についての疑問と反論が多かった。半分嬉しく半分残念というところか。嬉しさは、この二年間で学んできた授業評価に関する規準を意識して説明しようとしていたところである。残念は、この林先生の授業の何が凄いのかということの視点が弱かったところである。

自分で授業を作るようになると見えてくることだとは思うが、これはその時のお楽しみにしておこう。

昨日帰るときに、大学の中庭で何やら遅くまでやっているなあと思ったら、今日の昼休みにダンスのパフォーマンスがあった。ストリートダンス系のダンスサークルの発表だ。学生たちが昼ご飯の時間に集まって見ている。

「これは全国でこの世代の子どもたちに広がっているけど、なんなんでしょうね」
「よさこいが広まるころから広まったのですかね」
『私は、合唱で学校を作るではなく、ダンスで作るという実践がこれからどんどん出てくると思っています』
「そうですねえ。でも、これはなんなんでしょうねえ」
『うーん、一種の「ええじゃないか」なんじゃないかなと思いますが。機械打ち壊し運動でもないし、市民革命でもないですが。「ええじゃないか」にはいろいろな評価がされていると思うのですけど、この踊りもいろいろな意味があるんではないかと』

と教員同士の会話。
私がわからないのは、学校の体育の時間には毛嫌いされる「創作ダンス」なのに、こういうのは喜ぶというところである。なんとなく違いはわかるが、本当のところどこがどう違うのだろうか。体育の専門家や社会学者に分析をしてほしいものだと思う。

午後は、面談。予約されていたものは一つだったのだが、他に四つ。
学生が四人。それぞれ自分の進路についての報告や相談である。

大学は、新年を迎えたと同時に授業の年度末を迎える。今月一杯で授業は終わる。三月の末まで授業のあった中学校とは、ここが思い切り違う。だから考えを切り替えて、年度末のあれこれもする必要がある。

四月からの自分の進路の相談や報告にくる二回生と四回生に、あれこれ話す。そして、聞く。いや、学生の置かれている状況はそれぞれ違うので、あれこれ話して聞くしかないのである。

ただ一つ言えることはきちんと話した。

『一つだけ君たちの進路に関して自信を持って私が話せることがあるのだが』
「なんでしょうか」
『うーむ、それはな、正解はないということだよ』

どれを選んだら正解だと言うのは、ないのだ。

自分の夢を実現するために本学にやってくる学生たちがいる。それはそれで良い。しかし、夢の通りに行かないのも人生。むしろ、夢が目的になったと思ったら、
(本当にこれでいいの)
とか
(あれ、こっちの方がいいんじゃないの)
と悩んだり考えたりするのが学生時代だろう。

私に言えるのは、どれを選んでも正解なのかどうなのかはわからないということを伝えることだ。

大辞泉より引用開始 ーーーーーーーーーー

【棺を蓋いて事定まる】
《「晋書」劉毅伝から》人間の真価は、死んでから決まる。

引用終了 ーーーーーーーーーー

大学のとき、吹野安先生が授業で言われた言葉だ。
その時の私は
(なんて大げさな)
と思ったが、いまはそうだよなあと思える。

今という時間を過ごすために、今のことに集中しつつ、未来から見たら今はどうあるべきかを考え、その未来の今のためにもやるべきことをする。そう、わかっているけどなかなかできないねえ。でも、そうなのだと思う。

学生たちも帰った。
さ、もう少し明日の授業の準備である。

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