物語欲求が顔をもたげる
コミックの一気読みを続けている。『賭博黙示録カイジ 全13巻』(福本伸行)を読み終え、いまは『Dr.コトー診療所』(山田貴敏)を11巻まで読み終えている。
連載を追いかける読み方も面白いのだが、連載が終了し一つの固まりとして作品が確定し、評価が確定している作品を一気読みするのも面白いものだ。
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『賭博黙示録カイジ』は、その絵柄がダメな読者もいるだろう。私がそうだった。が、気になる話でもあった。
私は、競輪競馬麻雀パチンコなど、一切の賭け事はしない。なんつーか、ほら賭け事はどう考えても胴元が一番儲けるわけだし、そんなところに時間をかけ、元手を張るなんてのは、興味がわかないのである。
それよりは人生のチャンスにあれこれ挑む方が面白いと思うタイプなのである。
だが、自分が興味がないということと、賭け事がどういうものかということを知ることに興味がないということは別のことである。そういう意味では、この漫画は面白い。私にはあり得ないであろう世界を描いている訳であるから。
この漫画から分かることは、賭け事は感情と論理の両方のコントロールができない者は、足を突っ込むべきではないということである。
物語は、かなりあり得ない設定で描かれているが、物語や小説でも言えるように大きな嘘(設定)は、ありなのである。その大きな嘘は、真実を語るための枠組みでしかない。大事なのは、真実の方である。この真実がきちんと描かれているかどうかで物語や小説の価値は定まる。
(こんな状況ないよな)
(でも、ひょっとしたらあるかもしれない)
と思わせる大きな嘘を描くことが、ストーリーテラーの才能の見せ所である。『賭博黙示録カイジ』は、ここに成功し、人間の真実の一面を描くことに成功していると言えるだろう。
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あるときすっと物語欲求が顔をもたげるのだ。
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