教育実習から帰ってきた学生と面談
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携帯電話の行方をあれこれ思いながら、夜を過ごす。
考えても仕方がないことを考えるのは、非常にストレスフルである。そのような案件は、考えないことにするというのが、私のやり方なのだが、それらがあれこれたまると、一つ二つと首をもたげてくる。難儀なこった。
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でまあ、寝ようと思ったところにメール。
確認すると教育実習に励んでいる四回生からである。二人から来た。
ある学生は、一年間頑張って板書の練習をした成果が出たようで、自分の名前を自己紹介で黒板に書いたら、生徒から「上手い」、「上手」という声が聞こえてきたと嬉しい報告。指導を許されるポジションを手に入れたようだ。
またある学生は、実習で自分の勉強不足に改めて気がつき、戦いているとの内容。本人の希望もあり、活を入れる。
『何言っているんだ。通常の教育実習生の10倍はあれこれやっている。自信を持って取り組め』
と。
本人から返信がある。頑張れそうだとのこと。良かった。
◆
車の中も、研究室も携帯電話は発見されず。
大学の中もあれこれ捜すのだが、発見されず。GPS機能がついているわけでもないので、見つからない。うーん、気分は優れず。
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1限は、教育実習から帰ってきた学生と面談。個人の面談は、教育実習の場合はやらなければならいものではないが、本人が是非報告したいとのことだったので、それでは伺いましょうかということで、会う。
爆笑であった。
いまの中学校現場を思うと、良く彼女はこの実習を生き抜いてきたと思う。指導していただく先生が二人いて、二人とも面倒見ては呉れなかったというのだ。その中で、国語科教育法で身につけたあれこれを駆使して、実習を走り抜けたのである。
そして、こともあろうか、すべての先生の授業を参観するだけではなく、その先生方の授業を評価していたとのことであった。それは、授業を拝見した時のメモが良く取れていて、授業の目的と指導方法を見る目が育っていたことから、そのメモを元にして書いたレポートが良く書けていたというので、先生方から依頼があったというのだ。
「この授業の目的と、この指示がずれているように思います」
のようにやってきたというのだ。
怖いもの知らずであるf(^^;。
実習生が指導主事の仕事をしているのである。
さらに、研究授業では、
「実習生がここまで授業をするのを初めて見た」
とまで言われたそうだ。努力を重ねていた学生であったが、それが一つの結果となって出たようで、指導をしていた私は嬉しく思う。
◆
研究授業に関して彼女の言葉で印象的だったのは、
「あれ、これどこかで見たシーンだと思ったんです」
と、自分の研究授業をデジャブのように見ていたとのことであった。それは、グループで話し合いをさせたら、グループ間の意見がずれて行くというものであった。
これは去年の授業内の模擬授業をさせたときに、起きた現象である。その時、彼女らはそれぞれのグループの中に入り込んで説明をしていたのだが、これがうまくいかなかった。このことを思ったのだろう。
「生徒のグループにそれぞれ説明させようと思ったんです」
と彼女は指導の方針を変えて臨んだのだそうだ。
「そしたら、生徒たちが自分たちで説明し合って、正解に辿り着いたんです。私が説明するより良かったと思います」
と言っていた。
彼女の進歩である。
生徒同士の意見が分かれる。ここを作り出して、教師は一歩下がって子どもたちの議論に任せる。これが出来るようになると授業のレベルは上がる。
彼女の場合、意図的に議論を生み出したかどうかは分からないが、その後の一歩下がって子どもたちに任せるということは出来ていた。ここが進歩したところである。
「先生、実習の最終日に、魔除けの和綴じ本のひもが切れました。私を守っていてくださったんだと思います」
何とも印象的な出来事だ。
国語科教育法1、2のまとめとして作ってある4冊の和綴じ本を参考にしながら教育実習を終えたのである。
そして、その実習の最終日にひもが切れたとのことであった。
「遠く離れて京都にいらっしゃる先生に、ご指導を頂きながら実習を終えることができました。ありがとうございました」
とその学生は話していた。
『んにゃあ、違う。あの一年間の授業をやり抜いてきた君たちである。だから、実習を無事に終えることができたのだよ。やらないものには出来ないのだよ』
「先生、私、大変な実習だったのに、実習に行く前よりも今の方が強く先生になりたいと思っています」
『そうか。それは良かった、で、いいんだよなf(^^;。』
「はい。先生にご指導いただいて本当に感謝しています」
『ん、まあ、がんばれ』
良かった良かった。
彼女には、2限で行っている今年の国語科教育法で少し、上記のことを話してもらった。後輩は身を引き締めながら聞いていた。
ご苦労さん、先輩。
これから頑張れ、後輩。
◆
午後、研究室で読書。
読書、読書。
原稿に手が伸びない。
◆
あまりにも伸びないので、気分転換。
もう一度、携帯電話のありそうなところを歩いて回る。
研究室、印刷室、トイレ、共同研究室、編集室・・・。
外の空気も吸いに。
一度見たところをさらに見て回る。
駐車場、車の中、車の荷室。
ん?
あったああああああ。
荷室に落ちていた。
デイパックを荷室に置いたときに、そこからこぼれ落ちていたようだ。いやあ、気分が良くなった。
これで原稿に向かえる。
が、明日にしようf(^^;。
凄く大きな仕事をした気分だ。
今日は疲れた。
気疲れである。
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コメント
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中間テスト、移動教室、運動会、音楽鑑賞教室(東京芸術劇場まで電車で引率)と立て続けに行事をやり過ごし、やっと本腰を入れて授業を・・・。
と思ったら、今日の学年会議で、8月3週目に行う勤労留学(職場体験)の職場確保開始の命が下りました。同時に、9月の行事が立て込んでいるため、そのまとめ&発表に充分時間が取れないことも判明。生徒に活動の振り返りをじっくりさせてあげることができないのは気の毒です。
若手の先生方が働き易い職場環境を作ることも我々の使命だと感じていますが、現実の壁は厚いですね(>_<)
投稿: J.SASE | 2009/06/05 04:49
ますます加速している感じですね。
一週間、会議と行事のない一週間が一年間に何週あるのでしょうか。きちんと授業だけに集中して先生と生徒が取り組める一週間です。走りながら考えるのは、働きだしてからで良いと思うのですが。
私が職場体験をさせた時は、この職場を捜してくるのも生徒にさせました。私たちが指導したのは、タウンページの見方と電話の掛け方でした。連絡が取れたら、こちらの方から正式なお願いをするという方式でした。
自分で働く場所を捜すこと。これも大事な勉強だと考えていましたので。結構いいところを捜してきていましたよ。
投稿: 池田修 | 2009/06/05 13:56