「メロンは大丈夫か?」
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『いてええぇ!』
久々に娘のキックを受けた。眉間に受けた。娘の寝返りのキックである。娘は手をお母さんに伸ばし、足で私の存在を確認しながら寝る。そして、時々キックを見舞ってくる。
しかし、今朝方のキックは強烈であった。半日ぐらい痛かった。一週間ぶりに会ったので、このぐらいのキックになるのであろうか。
◆
奥さんの実家に泊めてもらった。娘も駅まで迎えにきてくれたのだが、最初は久しぶりに見る私に、嬉しさもありつつ照れている様子。可愛いなあ。
ではあるが、家に着いたときにはもう全開であった。久しぶりにお父さんになる。
その結果が、眉間にキックを受けることになるのである。
◆
午後から父の見舞いに。前日に母から相当言われていたので覚悟をして病室に向かう。すると、ICUは脱出し、一般病棟に移ったとのこと。良かった。順調である。
病棟では、おとなしくしている父に対面。まだいくつかのチューブが体にあるが、思っていたよりは全然良かった。ただ、まだ痛そうだ。
父の手を久しぶりに握る。母から、冷たくなっていると言われていたのでさすって温めようと思ったのだが、いやいや温かい。良かった。握りしめるだけの握力もあった。担当医の巡回時には、笑顔も見せることができた。
◆
しかし、当然であるが話す声には力がない。だから、そばに行ってじっと耳をこらして聞く。大事なことを言いたいのだろうなと思って、真剣に耳を澄ます。
「メロンは大丈夫か?」
(メ、メロン?)
なんのことかと思えば、毎年田舎らから送ってもらっているメロンがそろそろ滋賀の家に届く。だから、いつまでも東京にいるとそのメロンの一番美味しい時期に家にいないことになりやしないか、というのである。
うーん。大きな手術をした後なのだから、もっと凄いことを言うのかと思ったら、メロンである。これは、
1)手術は成功し、本人は日常生活モードになっている。
2)動転し、もっと大事なことを忘れている。
3)メロンこそが、父親の大事な思いである。
などのあれこれが頭の中をよぎる。
恐らくどれもであろう。今年のメロンは大事に食べようと思った。
他にもあれこれ名言があるのだが、それは書かないでおく。
◆
見舞いの後、母親と一緒に軽い食事。母は忙しくて昼ご飯を食べていなかったとのことなので。元気な母だが、あれこれ疲れているだろうし、お茶でもと思っていたのでちょうど良かった。
でも、こちらが体調を心配する前に、私の体の様子を心配してくれる母であった。母はいつまでも母なんだなあ。誕生日おめでとうとも言われるのであった。なにをおっしゃいます。生んでくださいましてありがとうございます。
◆
その後、奥さんの実家で私の一足早い誕生日お祝いをしてもらう。これもありがたいことだ。
明日の帰りの新幹線の時刻表等を確認して、早めに寝る。
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