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2009/11/07

11月の明日の教室 その2

11/3-2

演劇は、やはり凄かった。

演劇で教育をということで、プロが入り小学校三年生に演劇づくりを通して、コミュニケーション教育を行う取り組みである。

私はその途中も拝見しているが、その結果の凄さを見て益々その凄さを感じた。

プロが入るとどうなるのか。当たり前であるが、演技が安定する。いや、演技と言うか劇が安定する。私の感想であるが、プロの役者が担当するところは、「ネタフリとフォロー」であり、子どもが担うのは「ツッコミ」であった。

つまり、演技のきっかけと処理はプロが受け持つので、子どもはその枠のなかでのびのびとやれるのである。もちろん、演技そのものだけが大事なのではない。ここに至るまでのプロセスでこの「演劇で教育」の多くの目的は達成している。しかし、やはりステージで発表しての演劇である。ここが安定することは、非常にいいことである。

この演劇には、私の大学から教育実習に行っている学生たちも出演していた。一人は、お坊さん役で、一人は小学生役で。これがどちらもばっちりの配役で感動であった。特に小学生役は、
「先生、笑い過ぎです」
と本人に言われたが、そのぐらい似合っていた(^^)。

こんなことを体験させてもらえる教育実習ってないよなあと思う。

演劇を見た後、パネルディスカッション。「コミュニケーション ティーチングの活用および制度化について」ということで行う。

パネラーは、平田オリザ氏(劇作家・演出家、内閣官房参与)、北川達夫氏(日本教育大学員大学客員教授、フィンランド教材作家)、
池田修(京都橘大学文学部児童学科准教授)、糸井登氏(菟道第二小教諭)、蓮行氏(劇団衛星代表)ということである。

この蒼々たるメンバーのパネルディスカッションを捌いてくれませんかと糸井先生にお願いされたとき、
(あ、これは日本の教育の新たな1ページを作るパネルディスカッションになるな)
と思った。気合いを入れて引き受けた。

当日の事前の打ち合わせは、パネルディスカッションの打ち合わせというより、平田さんの日常のお話。鳩山総理大臣の施政方針演説の演出をされた時の話や、これからの教育行政の方向や、・・・・。以下、自主規制。いやあ、面白い!

日本の教育は面白くなりそうだぞ。自分と自分の仲間がこうして日本や世界を動かしている実感を持てるなんて、とても不思議な感覚だが、せっかくここに関われているのだ。力を注ぎたい。新しいあれこれの仕事も生まれそうだ。

で、パネルディスカッションの構成はこんな感じで作った。

1)自己紹介、劇へのコメント、演劇教育と私、コミュニケーション教育と私(どういう立ち位置なのかを説明。または、定義をする)(各5分)
2) 今回の演劇を作ってみて感じたこと、考えたこと 糸井 蓮行(各5分)
3) コミュニケーション教育などの立場から 北川 (10分)
4) 劇づくりなどの立場から 平田 (10分)
5) フリーディスカッション 20分 池田からの質問
6)各自のまとめ 2分ずつ

詳しくは後ほど発売されるDVDを見ていただきたいが、当たり前だがエキサイティングなものになった。私はこのメンバーからどれだけ話を引き出し、リンクさせ、課題を焦点化し、解決の可能性を提示させるかということに力を注いだ。

5)のフリーディスカッションの所で、全員に質問をぶつけながら、パネルディスカッション全体に流れる「見えにくい基調提案」を表に出そうと、あれこれやりつづけた。

懇親会で、
「質問は予め考えてあったのですか?」
と質問されたが、そんなことはできない。だから、メモをとりながらあれこれと、
(どこに争点があってどのような切り口で質問をすればそれが浮かび上がるかなあ)
と考えながらやっていたのだと言うと、
「え〜! そうなんですか?」
と言われるので、
『じゃあ、見ます?』
とその時のメモノートを見ていただく。

当たり前だが、話を聞きメモをとり、その場で考えることしかできないのである。

ただ困ったのは、平田さんも北川さんも
「コミュニケーションに関する評価は、どのようにまとめたか、どのように話の方向性を見いだしたかということを重視してすることが多いのです」
のようなことを話すのである。

(おい、おい。それって今の私だろ。ハードルをあげないでね)
と心の中で突っ込みを入れながらやらねばならないことになっていましたf(^^;。

で、怒濤の懇親会。
宇治川の畔のロケーションばっちりのお店で。50人近く集まる。うちの学生も6人ぐらい参加した。

新しい出会いがたくさんあり、久しぶりに会う仲間、遠方から駆けつけてくれる仲間もいて、とても良い時間を過ごせた。幸せである。

その中で一人、三省堂の異能の編集者と出会えた。
「いやあ、池田先生、やっとお会いできました!」
と最初からこの感じ。というのは、平田さんや北川さんから良く私の話を聞かされていたとのことで、会えないかなあと思っていたとのこと。嬉しいですねえ。

この編集者は『ニッポンには対話がない—学びとコミュニケーションの再生』(平田オリザ、北川達夫)を生み出し、なおかつ、あの『うめ版 新明解国語辞典×梅佳代
を生み出した編集者さんなのでありました。

私は前者のことはなんとなく伺っていましたが、後者は全く知らないままで話をしていました。

で、
「池田先生に、プレゼントしたい本があるのですが」
とおもむろに取り出してきた本が、
『新明解国語辞典編 しろ版』『新明解国語辞典編 くろ版』
でありました。

『え〜〜〜〜〜〜〜〜、これあの『うめ版』じゃないですか?』
「え〜〜〜〜〜〜〜〜、先生ご存知なのですか?」
『ご存知も何も、これを使って大学で授業をしていますよ。あの写真とこの写真と、それからあんな写真もあ、こんな写真もあったでしょ?』
「うわ〜〜〜〜〜〜。そんなに詳しく覚えてくださっているのですか?」
『そりゃあ、名著ですから。そうだ、おい!』
と側にいる学生に声をかける。

『これで授業をしたよな?』
「はい!! すごく面白かったです!!」
「えええええ!! 嬉しい。こんなに自分が作った本を褒めてもらえるなんて無い経験です」
『いやあ、名著です』
「大学で取り上げてくださる先生が、日本に一人ぐらいはいてくださるかなと思いましたが、池田先生でしたか!!!」

もう、大興奮であった。
ここでも何か新しいことが生まれる予感であった。

その後、会場を京都に移動して二次会。
店に入るなり、
「池田先生、ようこそ」
と言われる。
???
すると、その後ろにうちの学生。
アルバイトをしている。私が店に入ろうするのを見かけて
「池田先生!」
と叫んだのを社員さんが聞いて、上の発言となったのであった。
面白い。

その後は、ははは。
知的興奮の嵐。

で、終電で帰る。
凄い一日であった。

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コメント

三省堂のIさん、直前のメールでは「80%京都行きは無理です」とあったので、宇治駅で会ってビックリしました(^^;)

私は、昨年、教育出版の中学校国語K編集長から紹介されてからのお付き合いです。話をするたびにIさんのエネルギーに圧倒されます。

多分次回は水道橋の「合掌」というお店で会うことになるかな。

人の出会いには絶妙のタイミングがありますね。

遠路はるばる、ありがとうございました。
5年先からあの時間を振り返ると、あの時間が一つのターニングポイントであったと、あの場所にいた人たちがすべて感じられるような時間でしたよね。

三省堂のIさんとの出会いも、これはとても衝撃的でした。あれこれ楽しいことがまた生まれそうで、それも面白くなりそうで、ありがたいことです。

また、お待ちしております(^^)。

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