« 文化の秋である | トップページ | 模擬授業の事前指導 »

2009/11/18

片思いのように考え続ける

11/16

二限のゼミは、卒業論文のテーマに関わっての学生の発表が始まる。これをテーマにしようかなと思うものについて、それに関わる一冊の本を紹介しつつ、自分が取り組もうかと考えているテーマに付いて発表するというものである。

どうなるかなと思って様子を見ていた。
丁寧に勉強してきている様子が分かる。まさに、レポートである。ただ、与えられた時間をよく考えることなく発表の分量を多めに作ってしまったことは、最初だけに仕方がないかもしれない。

しかし、それ以上に考えなければならないことも指摘した。それは、「疑問」についてである。

自分が取り上げようとするテーマについて、疑問を持てるかどうか。ここが論文を書く際の胆になる。学んだことを調べて発表するのは、レポートである。が、論文は、問いとそのことに関する答えがなければならない。

『今日の発表のためにあれこれ調べて、何か疑問は持ちましたか?』

という私の質問に、あまり上手く答えることはできなかった今日の学生。そうなのである。ここは難しいのである。良質の問いを発見できるかどうかが、論文の価値を決める。じっくりとその問いの発見に勤しむべきなのである。

期待している。

さらに、教育実習の訪問指導の際に私が見た授業のワンシーンについて、再現指導を行う。

小学校三年生の国語の授業のワンシーン。子どものとのやり取りの中で学生が指導しきれなかったシーンを取り出す。授業後の指導の中ではすべてを解説せずに、残しておいた。その解決編をゼミでやろうと考えていたのだ。

実際に実習に行っていた学生にその場面を再現させる。そして、ゼミで考える。ある種のストプモーション方式である。あれこれ考えさせた。そして、その結果その授業をしていた学生が、ある答えを手に入れた。私が考えていたものである。今まで指導してきたもののもう一つ上の回答である。手に入れたのを見るのは、指導者としてとても嬉しいものだ。

あとで、どうして思いついたのか?と確認したら、あの研究授業の後ずっと考えていたそうだ。ああ、なるほどと思った。

考え続ける。そう、「片思いのように考え続ける」のである。片思いのように考え続けるというのは、気がついたらその人のことを思っている片思いと同じように、気がついたらそのテーマについて考えていたというように考えることを言う。私の造語である。

そうやって考え続けることは、恐らくテーマが意識層と無意識層を行ったり来たりしながら脳の中で答えを整える方向に働くのだと考えている。そして、ゼミの中でさらに刺激を受けて、
「はい、この通り」
と答えが出るのである。「片思いのように考え続ける」のである。

その後、昼ご飯をざっと食べて、車で出かける。大阪の中学校で新採の先生の研究授業があり、これへの講評と、これに続いての校内研修会の講師という二部構成のお仕事である。

前半では、研究授業をした先生の自評で、
「山場が消えてしまった」
ということを言っていたので、それに絡めながらどのように授業を構成し、どのような指導言で学習集団をコントロールすれば良かったのか。また、私ならどのように展開したであろうかなどについて話す。

本日の教材は「空中ブランコ乗りのキキ」である。私は一度も授業で行ったことはない。であるからして、細かいところに触れて指導することはしていない。しかし、新採の先生に細かいところをあれこれ指導するより、授業全体の作り方やあり方という大きな観点を押さえた上で、今日の授業の細部を検討する方が良いのではないかと思い、そのまま行く。

1)なんでこの「空中ブランコ乗りのキキ」を、教科書は中学校一年生で取り上げるのか。その意味はどこにあると思うのか。生徒観ということに関係して考える。
2)「空中ブランコ乗りのキキ」の「キキ」は漢字で書いたとしたらどういう漢字が当てはまると思われるか。タイトルを読むということ。タイトルと内容との関わりに付いて考える。
3)「幸福」と「少し不安」の関係はどのような関係にあるのか。対比したことばは、本当に対比されているのか。伏線をどう読み取るか。

などについて検討を加える。ここの部分は、よく考えると結構面白いのである。

さらに、後半では教師の指導の優位性を保つための考え方と、そのためのレッスンを少し行う。時間がないのでごく僅かだけ行った。エッセンするから、あり方が伝わるといいなあと思う。

終わってから、校長室でさらにあれこれ。実はここで出てくる話が結構面白い。講師と校長先生、さらには研究主任、教科主任、そして授業者。どこの学校でも終わった後はこうして校長室で振り返りをしていると思われる。

研究会は、その後の懇親会への参加が大事だが、校内研修ではこの校長室での振り返りに参加するのが面白いと、私は中学校の教員の時から思っている。平田オリザさんに最初に話をしたのも、平田オリザさんが当時私が勤務していた中学校で模擬授業をしてくださったあとに、校長室に押し掛けていって質問をしたのが最初のことである。ま、あの時はまさかこんな風に展開するとは思わなかったが、あそこで話をしていたことが、ここに繋がったとも言えるのである。

で、聞かれるままにあれこれ話していたら結構な時間になってしまい、慌てて失礼した。帰りは家まで持たずに、ラーメンを途中で食べる。頭を使うと炭水化物を消費するので、お腹が減るのである。炭水化物はブドウ糖。そう、脳みそはブドウ糖をエネルギー源として活動する臓器なのである。勉強するとお腹がすくのはこう言う理由である。

週のはじめ。
結構激しく始まった。



« 文化の秋である | トップページ | 模擬授業の事前指導 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 文化の秋である | トップページ | 模擬授業の事前指導 »