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2010/01/09

収穫ありである

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朝起きると、昨日の夜景の美しさの向こう側に隠れていた神々しい姿が、眼前に広がった。富士山である。品川からでも見えるのだなあと素直に感動。

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品川と言えば、品川心中。古今亭志ん朝の名演がある。海のすぐ近くであり、東海道のスタート地点でもある。いまは、電車ばかり集まっていて海という感覚はないが、富士山が見えるなんて感覚はもっとない。

しかし、22階ぐらいに宿を取れば、いまでもしっかりと見える。江戸時代だったらこんなに上に上ることはできないが、逆に言えば、地上からでも富士山は見えたのかもしれないなあと思う。

関東にいる時は、富士山なんて特に珍しいものではなかった。極めて日常。私は物心ついてから住んだ家からはずっと富士山を眺めることができた。だから、日常。ではあるが、ちょっと考えれば、富士山を毎日眺めて暮らすことのできる日本人なんて日本全体から見れば少ないはずだ。

滋賀県に住んでいれば琵琶湖を見て生活することができると思いがちだが、琵琶湖の側で生活している滋賀県人の少ないことと同じであろう。

自分の普通は、普通は特殊である。

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今回の出張は、【平成21年度大学教育改革プログラム合同フォーラム】というものである。いわゆるGPである。先きにこのGPを通っている大学の実践発表があり、これを聞きにいくと言う出張であった。

会場は、国際展示場、ビックサイトである。ビックサイト。なんて懐かしいんだろう。ちょっと鼻の奥がキュンとする。

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ディベート甲子園を立ち上げたのは今から15年ぐらい前のことである。第一回大会から第七回大会までは、このビックサイトが決勝戦の舞台であった。私は、生徒たちと一緒に第七回大会の決勝戦で、この舞台で戦っている。

会場に入ってみて、ちょっと思ったのは
(あれ、狭いんじゃないの)
ということである。前の方に座ったからかなとも思って見回すのだが、やはり狭い。ちょうど卒業した学校を久しぶりに訪れたときに感じる、あの狭さと同じようなものである。

「池田君、それは君が成長したということだよ」

と卒業後先生に言われたことがある。お世辞だと分かっても嬉しかった。そして、それが本当だったら嬉しいなあと改めて思う。ビックサイトが小さく見えるのが、私の成長であれば嬉しいなあと。

発表と、パネルディスカッションで学ぶ。数年後は、私たちの大学もここで発表となる。発表を見ながら、どうやってやろうかと考えて、いくつかのアイディアを手にする。収穫ありである。

昼休みに食事に向かう。
会場の外にいる人たちは、みんな大学の先生。たっくさんである。

ああ、衝動が私を襲った。
『先生!』
と大声で叫んだら、ここにいる何人が振り返るかなあと思ってしまう。
必死のことで自分を抑えた。

疲れたので、自腹でもう一泊しようかとも思ったのだが、ま、十分に帰れる時間でもあったので京都に向かうことにする。折角なので、東京駅から帰ることにする。

東京駅に向かう車窓から東京の街並を見る。いやあ、東京だ。どこまで行ってもビル。そして、まだ、これでもかっ!というぐらいに新しいビルが建設されている。凄いねえ、まだここに入ろうとする企業や人がいるわけだ。そして、さらに凄いのは、このビルのすべてに持ち主がいるということである。

いっこぐらい、私にくれないかなあと、下世話なことを思う。

東京駅について、
(ま、このまま帰るのもねえ)
と思う。
東京駅と言えば、八重洲ブックスセンターである。が、鞄の中は資料で一杯。さらに、読んでない本が家に溢れている。恐らく新幹線は疲れてしまって寝てしまうであろう。

ん、寝る?
気持ちよく寝たいものである。そうだ、新丸ビルに行こう。
数年前に、ここに私の友人の神田外語大学の臼井さんと来たことがある。たしか、ここに美味しいビールを飲ませてくれる店があったなあと思って、向かうことにした。

新丸ビルは、さすが東京のオフィスビルという感じでセキュリティもしっかりしていて、なかなか入りにくい感じである。ま、相当東京に慣れている大学生でも、二の足を踏むぐらいのいわゆる、関西でいうところの「シュットした」センスのいいビルである。

目の保養ではないが、エスカレーターで一つずつ上りながら、今の流行を眺めながら上っていく。すると、

「・・・のみなさんは、・・・」

というアナウンスが聞こえるではないか。はあ?

「良い子のみなさんは、手すりにつかまって・・・」

という例のアナウンスである。ちょっと待て。ここは仮にも東京駅の新丸ビルだぞ。良いこのみなさんって誰だ?あまりにも杓子定規すぎないか? アナウンスを切るか、変えるぐらいしてもいいだろう。

で、無事に目的のビールにたどり着く。新丸ビルの5階にある、「FRANZ」である。ここのバイツェンはかなり美味しい。一杯をじっくりと味わっていただく。このぐらいのご褒美はあっても良いだろう。

あは、うまひ。

ところが、京都に向かう新幹線の中に乗り込んだときに最後にショック連発。

(N700系じゃない!)
のである。みどりの窓口で、しっかりとN700系と伝えたのに、間違えられていた。ああ、折角無線LANが使えるようにしてあるのに、使えないではないか。悲しい。

さらに、接続のために取り出していたiPod touchを見ると、さっきまで書いていたブログの文章が消えている。ひえー!ショックショック。

新幹線が動き出してから、30分ぐらい落ち込む。

ただ、一つの救いは、夕焼けを追いかけて走る新幹線であったということだ。時速280キロでは地球の自転速度に追いつけるはずも無いが、ほんの少しだけその日没の瞬間を引き延ばしてくれた。

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急な一泊二日の出張。
ま、こういうこともあるか。

さ、家に帰ったら娘に遊んでもらおう。

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