『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海 ダイヤモンド社)を読んだ
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昨晩『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海 ダイヤモンド社)を読んだ。だーっと読んでしまった。
ディベートを始めた頃に、ドラッカーの名前を聞くようになり、断片的に読んだりはしていた。また、西川純先生が、学び合いを提唱される中で、ドラッカーについて述べられていることもあって、一回ドラッカーに関する本を読まないとなあと思っていたのだが、とあることでこの本を手にすることになり、読み進めた。
端的に言うと、『1985年の奇跡』の感動と、経営学の入り口の学びを同時に味わえる良書だと思った。
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学級担任の仕事は、学級の経営にある。この経営という概念がじつはなかなか分かりにくい。どうしても利潤を生み出す営みという考え方に直結してしまう。となると、
(学級で利潤を生み出すって何?)
となり、思考停止になってしまいがちなのである。しかし、何も利潤を生み出すことのない経営もあるのである。となれば、この本は、学級経営、クラブ経営、NPO経営など利潤を追い求めることの無い集団や組織を経営する者にとっては、非常に参考になるだろう。
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竹内常一先生は、私が「書き抜きエッセイ」を開発して実践しているときにこう仰った。
「池田もやっと、分かってきたようだな。文章修行は、本来注釈から始まるものなのだよ」
と。
『孟子』は朱子によって注釈が行われた。このような形で文章修行をするのだと仰っていた。私はそんなことを考えもせずに、生徒たちが文章を書くのに難儀しているのを見て、あれこれ工夫をしてこの「書き抜きエッセイ」の方法を開発したのだが、実践家の勘所が、たまたま歴史の流れに乗っかっていたと言うことだ。
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で、この本は新しい形式の注釈書を提案しているかもしれないと思うのである。つまり、物語仕立ての注釈書というわけである。
同じような構造で『もしも○○が××を読んだら』というシリーズが生まれても面白いなあと思う。○○には今を生きるちょっと社会的に弱い立場にいそうな人物を入れ、××には古典の名著を入れるわけだ。そうすると、古典の物語仕立ての注釈書ができあがるということか。
ただ、類書は難しいだろうなあとも思う。古典を学び、現代にも精通していて、なおかつ物語が書ける力があることが、この「物語仕立ての注釈書」を書くためには必要だからだ。
だけど、読んでみたいなあ「物語仕立ての注釈書」シリーズ。当然出版社は次の企画を考えているんだろうな。楽しみ楽しみ。
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コメント
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お、読まれましたか。
実はこの手の書籍は、プチブームになっておりまして、ビジネス書の分野ではまもなく一つの派閥になる様相を呈しております。「餃子屋と高級フレンチではどちらが儲かるか」という本がその走りではないかと私は思っています。
それから漫画を使った物語仕立ての数学解説本が、オーム社から出てまして、私は「マンガでわかる微分積分」「マンガでわかる統計学」を読みました。微分積分は、新聞社の先輩と後輩、統計学は家庭教師の先生と生徒、という設定で解説がなされています。
いずれも物事を人に分かりやすく説明する、という点で実に参考になります。
投稿: むらちゃん | 2010/05/09 01:26
ありがとうございます。
そうですね、流行っているようですね。私も『餃子屋と高級フレンチではどちらが儲かるか』は、キャッシュフローの概念を勉強したいと思いまして、読みました。少しは分かりましたf(^^;。数学の本はまあ、いいかf(^^;。でも、統計は読んでみようかな。
エデュテイメントという概念が提唱され始めて10年ぐらいになるでしょうか。本来学ぶと言う行為は楽しいものだと思うのですが、これをエンターテイメント側から強力にサポート(演出)するようになって、また新しい動きになっているなあと思っています。
NHK教育テレビなんて、私の子どもの時代のことを考えると、本当に本当?って思いますからねえ。
投稿: 池田修 | 2010/05/09 10:23