とびきり美味いウーロン茶
先日、大阪のとある店で飲んだ。ま、いわゆるカウンターがあって軽い食事が出来る店である。
カウンターの中には、細くて神経質そうで、眉毛も剃っていて、体中にタトゥーをしている若い男がドリンクを作っていた。街中で会ったら、ちょっと会話はしたいとは思わないかもしれないタイプである。
だが、彼の作るカクテルはなかなか良かった。切れがあった。ふーん、いいなあと思いながら飲んでいた。
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ある程度飲んだので、一休みと言うことでウーロン茶を頼んだ。
彼は、グラスにアイスを入れ、ペットボトルからウーロン茶を注いだ。
私はそれを受け取ろうと手を出した。
すると、彼は、マドラーをグラスに挿して、軽くステアした。私が受け取るタイミングが一瞬ずれた。だけど、心地よいズレであった。
(ああ、そうなんだよな)
プロの仕事というのは、そう言うことなのだと思う。ほんのひと手間だが、その手間を惜しまずに掛けることができるかどうかである。時間にして3秒であろう。その手間である。
◆
『ありがとう。ウーロン茶にもきちんとステアしてくれるなんて、嬉しいなあ』
と私はプロの仕事にお礼を言った。
するとその彼は嬉しそうに、軽く微笑んで
「どうぞ」
と渡してくれた。
とびきり美味いウーロン茶であった。
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