啓蟄の菜虫化蝶の候 『獺祭 磨き三割九分』の意味
啓蟄の菜虫化蝶の候となった。
一週間前に卒業式を終え、四月からの旅達のために卒業生はそれぞれの場所に巣立って行った。
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卒業式の翌日に、児童教育学科の一期生たちだけで卒業パーティが開かれた。
そのパーティの最後の最後に、一回生のときに最初にクラスアドヴァイザーをした1−Cクラスの卒業生達が集合をかけ、私の所に集まって来た。
感謝の言葉をもらった。
嬉しかった。
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私にとって最初の学生達だ。
四年後のことを考えて、厳しく、つまりは丁寧に育てたつもりだ。
水曜日の2限に行われるその一回生ゼミの課題を終わらせるために、1−Cは火曜日の夜遅くまでメディアセンターで残って作業をしていた彼ら彼女らであった。
「なんで、内のクラスだけ、こんなに課題が多いのよ」
という不満の声が、メディアセンターには満ちていたはずである。だが、私は課題の指示を出し続け、あれこれやらせた。四年後のことを考えると、それはとても重要なことだと私は考えていた。
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私はこのクラスを彼ら彼女らにとってのホームに育ててあげたかった。実家を離れて学びを始めた彼ら彼女らに、この授業にくれば仲間がいて、ホームとしての居場所がある、というように。
ホームがしっかりしていれば、その後、専門課程の勉強を始めたときに、それぞれの目的に向かってチームを作ることが出来る。だから、ホームをしっかりと作ってあげたかった。
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4回生の前期に、このメンバーの女子グループが我が家に遊びに来た。
『一回生のときには、まさか私の家に遊びにくるとは思っていなかったろ』
と話した所、15人ぐらいの彼女らは、一斉に声を揃えて
「ほんとー」
と言っていた。
ははははは。
そんなもんだ。先生の思いは簡単には分からないのだ。
そして、残りの半年をさらに見守ろうと思ったものだ。
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その彼ら彼女からのお祝いの品が『獺祭 磨き三割九分』であった。
『獺祭』は私が彼ら彼女らに教えた銘酒である。大学生のうちからこんなに良い酒を飲ませてしまっていいのかとも思うのだが、私は良い酒を丁寧に味わった方が良いと思っているので教えた。
で、『磨き三割九分』というのは、なんでだと思って旅を続けていた。最高グレードは『磨き二割り三分』なのである。
(こっちは最高の指導をしたつもりだったけど、そこまで行かなかったかなあ)
とも思って旅をしていたのだ。
が、旅先のビンタン島のバスタブに浸かりながら、閃いたのだ。
(なーんだ、そういうことか!!)
なんで『磨き三割九分』なのか。
Thank you
だったんだ。
そうだ、そうに違いない。
ちくしょう、やるな。
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立派に成長した彼ら彼女らだ。
菜虫化蝶の候である。
(この花束は、専門ゼミの学生達から貰いました。花束大好きな私です(^^)。)
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