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2011/10/24

5)生徒の失敗、勘違い、間違いから作る授業

10/24-2

もう一つの授業は、国語科教育法2。学習指導案の書き方についての説明である。学習指導案は、教育実習で担当される先生やその地方によって独特のカラーがあるので、柱の部分だけをしっかりと教えることになる。

学生たちに強調したのは、

1)生徒観
2)基準と規準の違い
3)板書計画
4)評価の規準と観点
5)生徒の失敗、勘違い、間違いから作る授業

である。1)〜4)はまあ、その通り。5)は私が特に指導している所だ。

学生諸君は放っておくと、授業中生徒が簡単に正解を言ってくれるという前提で授業を作る。
『○○が分かる人?』
「〜です」
『そうですね。ということは、△△は?」
「〜〜です」
のような授業の案を作ってくる。
こんな授業はあり得ない。あり得ないからこういう指導案で授業をすると、子ども達はまったく反応しない。そして、その授業で頭が真っ白になり、自分で独り言のように正解を呟きながら進める授業になっていくのだ。

そんな授業はその授業をしている学生が、生徒時代に、いや大学でも最も嫌う授業であったにも関わらず、それをやるしかないところに追いつめられてやってしまうのだ。

授業は、生徒の失敗、勘違い、間違いから作るのである。
もう少し正確に言えば、この発問をしたとき、どんな反応があるのかを予め十分に予測しておくのである。そして、正解から遠い子どもの発言を大事にして、なぜそれが違うのかという説明を予め授業の流れに予定しておいたかのような授業を作って行くのだ。

そのためには、深い教材研究が必要になる。子どものつぶやきやノンバーバルコミュニケーションを見て取る眼力も必要になる。

私が読んだ実践記録で、今でも鮮やかに覚えている授業のシーンがある。理科の授業だ。

コップに冷たい水を注いだ先生は、教室にそのコップを暫くおいておく。すると、コップの表面に水滴が現れる。先生は
『この水滴はどこから現れたのでしょうか?』
と発問する。子ども達は考えるが分からない。その中で一人の児童が
「コップの中の水がガラスを通って出てきたんだ」
と呟く。それを聞いた先生は
『あ、そうかもしれないねえ』
と言ってその発言を認め
『じゃあ、実験してみようか?』
と言ってコップの中にインクを垂らすのであった。
もしコップを通って出てくるのであれば、外の水滴はインクの色にならなければならない。しかし、勿論ならない。子どもたちは正解に向けて深い思考に入って行くのであった。

この先生の凄さは、子どもが「コップの中の水がガラスを通って出て」来るということを考えるのではないかと予測し、その答えに対応できる準備をしている所にある。これが私の言う、生徒の失敗、勘違い、間違いから作る授業である。

この授業を作るのは、実に難しい。しかし、この授業を受ける児童生徒は実に楽しい。答えは出ている。難しくても教師はここに挑戦するしかないのだ。

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