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2011/10/17

今日学生諸君が選んだテーマは「子どもの名前」である

10/17

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(写真は、琵琶湖噴水にできた虹)

教職総合演習の授業。
今日学生諸君が選んだテーマは「子どもの名前」である。最近の子どもたちの名前がDQNネームだとかキラキラネームだとか言われているものが増えていて、これはどういうことなのだろうかということで授業取り上げることにしたとのこと。面白いテーマである。

戸籍法では常用漢字2136字と人名漢字861字に使われている漢字を使って名前を登録することができる。漢字さえ、この中から選ぶことができれば、読み方はどうでも良いということになっている。極端な話、太郎と書いて「じろう」と呼んでも法律的には問題はない。これは日本の文字が表音文字と表意文字を持っているというすばらしい言語環境にあることにも起因していると思われる。さらに、日本は「にほん」とも「にっぽん」とも呼んでいてとくに問題がないというような言語環境も前提にあるのかもしれない。

発表では、大正時代から現代までの100年の名付けの歴史を概観し、その特徴を説明する。クイズ形式なども取り入れていてい面白い。社会情勢を反映したもの、有名人の名前をもらったもの、音の響きを大切にして選んだものなどがあることが分かる。

実習コーナーでは、最近の子どもの名前の例を出して、どんな呼び方をするのかを当てさせたり、逆に音を出してどんな漢字なのかを考えさせたりしながらの授業展開でこれも面白かった。

例えば、「こづえ」「ひよこ」はどんな漢字が出るだろうか? これは「虎強」(男)、「一夜子」という漢字が与えられているとのことであった。

(えー、かわいそう)
(なんだ、この親?)
と思うこともあるだろう。しかし、教師はその子どもに名前を付けることは出来ないし、親を否定するのも問題だ。教師として考えなければならないことは、その子どもの名前を先ず全面的に受け入れるということなのだろう。それがたとえ、教師の価値観とはまったく違っていたとしても。

例えば、自分のクラスに変わった名前の子どもがいたとする。これはいかがなものかと思う教師は多いだろう。ただ、ここで大事なのはどんな親でも、その子どもを大切にしたいという思いからつけようとしたはずだと思うことであり、子どもにそれを理解させることがだと思う。

私が中学校の教師をしていたとき、その中学校の隣の学区で「悪魔」と名付けられようとした子どもがいた。これは社会通念上、子どもの福祉上の問題があるということで受理されなかった。が、その親であっても、悪魔という名前が子どもには力強さを与えるもの、または悪魔が良いと思ってつけているというところは、子どもに良い名前を付けたいという思いと同じではないかと思う。

しかし、実際のところ変わった名前というのは、つけた後に気がつく。あれこれ気がつく。私の場合、日本語では二音で呼ばれることが多いので、子どもの名前は女の子だったら二音の名前を付けてあげたいなあと思っていた。ところがこれは思わぬメリットもあった。幼稚園の持ち物に名前を書くとき、実に楽なのだ(^^)。「けんいちろう」とか名前を付けたら、大変だったろうなあと思う。私の場合はメリットだったが、逆の場合もあるだろうと思う。

親は満足、子どもも満足。
親は満足、子どもは不満。
親は不満、子どもは満足。
親は不満、子どもも不満。

小学校に入ってきた辺りの子どもは、名前に関してどのような思いを持っているだろうか。
親はまあ良いとして、子どもが不満を持っていたときにどう対応するのかが、教師の大事な役割なのだと思う。

クラスにいる生徒の名前を取り出して具体的に説明するのではなく、今回、下記にある「一夜子」の場合のように、子どもたちとは直接関係のない名前を出しながら説明するというのが良い方法だと思われる。そもそも名前とは何なのかついて、中学校なら特別活動の進路で扱っても良いのではないかなあと思うのだ。

その際、まず、「親は自分の子どもを不幸せにしようとして名前を付けることはない」という前提を子どもに伝えることが大事だろう。その上で、あれこれ考える。

例えば、悪魔だったらどうするか。これは私が中学生に話したことだ。豊臣秀吉の子どもの幼名のことを出して説明した。
『鶴丸の名前は、子どもの頃は「捨(すて)」。これは拾われてきた子どもは丈夫に育つという言い伝えがあったことから付けたというものなんだな。さらに、良い名前を付けてしまうと、悪魔がすぐに見つけてその子の命を取ってしまうので、悪い名前を付ける習俗をもつ人たちもいるるのだぞ。わざとそういうい名前を付けることもあるということも、あるのだ。これも子どもを大事にしたいという願いからだ。だから、そうなのかもよ』

今回の授業では、「一夜子」だ。これは「一回セックスしたら出来ちゃった子ども」という意味があってとても耐えられない名前だと学生たちは言う。確かにそういう思いがわくのは分かるかもしれない。しかし、現代では10組のカップルのうち1組のカップルは不妊症に悩んでいるという。そういうカップルからすれば、うらやましい名前かもしれない。

さらに、これが戦時中だったらどうなのだろうか。連続テレビ小説では、陽子は結婚して一週間でご主人は出兵する。その間に授かった子どもがいたとしたら。いや、一夜限りの結婚の場合も多くあったはずだ。そこで授かった子どもは(その後の養育の大変さは別にして)、「一夜子」というのはありなのではないかという話をした。背景が変わるとかなり変わるのである。

人それぞれの事情なんてのは、周りにはそう簡単に分からないものなのである。
私が話そうとすることはまったく違うかもしれない。しかし、こういう話は、ありだと思うし、場合によっては積極的にすべきだろう。

また「一夜子」という漢字の問題もあるかもしれない。「ひよこ」という読み方は、どういう文字が考えられるであろうか。ヒヨコ、雛。Macの変換ソフトの「ことえり」でやってみるとこのカタカナと漢字が出てくる。ま、一般的にもこれだろう。ここから「一夜子」という漢字をひねり出すのは大変なことだ。

私は、この音からどんな漢字を思い浮かべますかという学生の発問に対して、「陽与子」という漢字を考えてみた。お日様のあたたかさを与えられる子どもというのは、結構いいのではないかと思う。(ま、連続テレビの「おひさま」の「陽子」ぽいけど。で、来年は、この陽子の名前がはやるんだろうなあ。火与子までなると、卑弥呼っぽくなるなあf(^^;。)

だから、「あなたの名前の音には、こういう意味もあるね」という説明の仕方もあるかもしれない。

また、ワーキングネームや、通名、呼び名、筆名などを考えるという手もあるかもしれない。
そして、最後は改名の方法だろう。実際に改名をするかどうかは別にして、親と子どもが悩んでいるのであれば、改名はこのようにして出来ますよということを教師は知っておいてもいいのかもしれない。

この「名前」というテーマは実に奥が深い。
実はもう一つ別のグループもこのテーマで発表することになる。今回の発表を受けて次の発表がさらに深まった発表になることを期待する。

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