髭じいさんと学習指導案の書かせ方
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『AさせたいならBと言え』(岩下修)は、名著である。子どもにAをさせたとき、Aしなさいと言ってもダメで、Bしなさいと言って、実質的にAの内容をさせるのである。プール指導で、体の力を抜きなさい(A)と言ってもダメで、お化けになりなさい(B)と言うと、体の力が抜けるというものだ。
今日の教職総合演習では、学生たちに手遊び、歌遊び、手品などのこねたを披露させた。ちょっとしたものを数多く持っておくことは、教育実習では大事なのでそれを披露し合った。私はそのときの指示の出し方などに指導を入れていた。立ち方、声の出し方、指示の順番、一時一事の法則などを確認した。
その中で、改めて凄いなと思ったのが、「とんとんとんとん、ひげじいさん」である。幼児はミュージカルの世界にいる。なんでも歌って踊っている。学生たちには、「君の動作を30分間、全部歌と踊りで表現してみよ」というやれればやってみよの指示を出すが、子どもはこれをやっている。
髭じいさんをやると、子ども達はすぐに喜んでやる。歌、動作(踊り)があってすぐに乗ってくる。この髭じいさんが凄いのは、髭、こぶ、鼻、眼鏡、頭の上と手の位置がだんだん上に上がることだ。そして、最後に「ひらひらひらひら、手はお膝」となるのが凄い。
手が上にだんだん上がると疲れる。だから、「ひらひらひらひら」と降りてくると、子どもは嬉しい。そして、安心して「手はお膝」に落ち着くのだ。この歌は、「手を膝に置きなさい」というAを実現させるためのBの歌なのではないかと思うのだ。実に優れていると思うのだ。
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今日の国語科教育法2では、学習指導案の書き方についてあれこれ。項目の説明、例えば評価の基準と規準の違い等は先週やっておき、今週はそれを受け手行った課題を振り返った。学習指導案を書かせたのだが、何を元にしたかと言えば、私の出演したNHK教育テレビ「わくわく授業」である。
作文の書かせ方についての巻である。この作文の書かせ方については、前期の授業で学生たちには指導してある。その内容のちょっと古いヴァージョンで指導したものが、このH16に行った「わくわく授業」の収録である。この授業の内容をPCで見られるようにし、その内容を学習指導案にさせた。一週間かけての課題である。
通常、学習指導案の書き方指導は、ある教材を与えて、それを学習指導案の形式で教材研究させるというのが一般的ではないかと思う。だが、これは結構難しいと考えている。そこで私は、実際の授業を見せて、それを学習指導案の形式に落とすことで学ばせようとしている。
今は、例えば野口芳宏先生の授業のDVDなどが、簡単に手に入る。その授業を学習指導案の形式でまとめさせるというのは、いい勉強方法ではないかと思うのだ。追試という方法をさせる前に、学習指導案のひな形の中で授業を見させるのだ。書き取らせるのだ。
これだと教師と生徒のやり取りも具体的に書けるのでやりやすいはずである。自分の書いた指導案を仲間たちと読み合って、自分のものと比較検討をすることができる。同じ授業を見ながら、観点が違うことが分かる。自分が何を大事にしているのかも分かる。
そして、何より、このDVDは授業者が私なので、彼らが学習指導案を書いた後で抱いた授業に関する疑問は、私が確実に答えられる(^^)。また、おまけとして収録時の裏話や、メディアリテラシーとしての考え方も示せる。これも結構面白い。
この「わくわく授業」収録は二週間にわたった。一週目が作文で、二週目がディベートであった。進路指導主任としての仕事がピークの時の収録でもあったので、二週間で5キロ以上痩せたのを覚えている。だが、このタイミングで残しておいて良かったなあと思う。人生は面白い。さ、頑張ろ(^^)。
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