卒論指導の中で、学生たちにこんな問題を解かせたことがある
12/1
12月に入った。卒業論文の指導が佳境に入っている。
今日の卒論ゼミでは、3人がほぼ仕上がった卒論を読み上げながら、チェックを行うというスタイルで行った。本学の児童教育学科の卒業論文は、2万字程度で締め切りは二週間後というところ。今日の3人は2万字の規定をクリアしているので、あとは質の向上と期限を守らせることということだな。
卒論指導の中で、学生たちにこんな問題を解かせたことがある。
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Q「5メートルの鎖にライオンがつながれていました。さて、そのライオンは何平方センチメートルまでの草を食べる事ができるでしょう?」
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さて、答えは出たであろうか?
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論じるというのは、主張に根拠を添えていくことだ。イイタイコトに、なぜならば〜だからであると添えていくこと。その繋がりに滞りがなく、矛盾も無いこと。そして、自らが立てた問に対して、答えを導く論の展開が文章でなされたとき、それを論文と呼ぶ。
卒業論文は、ほとんどの学生が最初に書く論文だ。
私が学生時代には、こんな論文の書き方の指導を受けたことは無く、テーマを相談に行ったら卒業論文のタイトルを決められておしまいという感じだった。
今でこそ、タイトルは先生が決めてくれるのはいいなと思うが、その当時は
(なんで、勝手に決められてしまうのか?)
と頭に来ていたのだがf(^^;。
で、最初の論文なのでとにかく目次案指導に力を入れる。ここで論が滞り無く流れていれば、あとは大きな失敗にはならないからだ。ここに力を入れる。
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その後、学生が自信のない辺りの文章をゼミの場に持ってこさせて、3、4回生全員の前で読み上げ発表をさせる。読み上げるだけで、自分の間違いに自分で気がつくことも結構ある。滑らかに読み続けることの出来ない文章は、やはりどこかで論理が破綻していることが多い。
ところが、論理は繋がっているのだが、根本がダメだと言うことがある。それはそもそも論証できないでしょというものを論証しようとしているものが、ときどきある。そこで最初の問題の登場となる。
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上記の問題の答えは、0平方センチメートルである。
問題を良く読むと、ライオンがとある。ライオンは敷地の草は食べない。ま、実際はシマウマの内蔵に食らいつき、消化の最中の草を食べるらしいが、この問題にはシマウマはいないし無視して良い。だから0平方センチメートルなのである。
このような間違いをしている場合がある。
ライオンは草を食べないのに、どれだけ食べられるかを証明しようとしているような論証である。
論証しようと思っている本には、正しいことを書こうと思っているのでまさか自分が間違って書いているとは思わない。しかし、見る人が見るとまったく見当違いのことをしていることが分かる。だから、卒論はゼミで仲間達からのリアクションをもらいながら進めることに意味があると考えている。
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今日も「大幅に」という言葉の使い方について、あれこれ検討を進めた。大幅にという言葉は、何を規準にして大幅なのだろうか。どの程度になれば大幅なのだろうか。3倍に増えて大幅もあれば、10倍に増えて大幅ということもある。一つの言葉を使うとき、その言葉が何を示していて、論文の中で整合性をもって使われているかを確認する必要がある。そんな話を進めていた。
書くのは、君である。
自分の勉強したことをベースにして、自ら立てた問にすっとした答えを、論証して提示せよ。
私たち教師に出来ることは、指摘することと待つことだけである。
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