(ノーベル教育賞じゃないか? これ)
(ノーベル教育賞じゃないか? これ)
と読後に思った。
『みんな言葉を持っていた ー障害の重い人たちの心の世界ー』(柴田保之著 オクムラ書店)である。
重傷心身障害を持つ人たちとの10年、20年にわたる交流、研究で、言葉等理解できるはずの無いと思われていた人たちが、信じられない位豊かな言葉を持っていたということを発見した本である。
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考えてみれば、目が見えないからと言って言葉が話せないというようには思わない。しかし、体が思うように動かせない人たち(動かない、動きすぎる)は、言葉を持っていないと思い込んでしまっていたのではないだろうか。体が動かない事と、言葉を理解していない事は別の事なのだ。
柴田先生は、重い障害を持つ人たちの微かな反応に、言葉を理解している兆しがあると感じ取り、それをさまざまな方法で読み取る挑戦をする。
50音図の表をパソコンにいれ、選択したい文字のところにカーソルが動いたときにわずかに感じる変化を、選択の意思として文字を選ぶ。すると、俄には信じられない文章、詩が現れるのだ。
他にもさまざまな工夫をして、言葉を紡ぎだす手助けをする。
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本書には、四章構成になっている。
第一章 秘かにに紡がれた詩
第二章 障害の重い人たちの心の世界
第三章 言葉の世界の扉を開く ー四人の歩みー
第四章 援助の実際
第一章の作品も凄いが、私には第三章の実践の記録が圧巻であった。ことばとは、教育とは、生きて行くとはどいうことなのかを深い所で問い直してくれる。目の前の子どもたちが違った姿で見えてくるのではないだろうか。
障害者に関わる人だけでなく、ことば、教育に関わる人には必読書として考えたい。
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