娘(4)が泳げた
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娘(4)が泳げた。
いや、本当に驚いた。
昨日、プールの中で目を開けることが出来た。
私とプールの中でじゃんけんが出来たのだ。
そして、目を開けたまま蹴伸びができた。
以前から
『目を開いて泳げたら、ゴーグルを買って上げるからね』
と約束をしていた。
このごろは、最初からゴーグルをかけて泳がせる親も多いようだが、私はそれは認めなかった。目を開けてプールで泳げる。これが大事である。
◆
私がスキューバのライセンスを取ったのは、沖縄の座間味島だ。自衛隊の特殊潜水隊上がりのインストラクターは、厳しく叩き込んでくれた。
海の中でレッスンをしている時のことである。こっちにおいでというサインを出すので、私はマスク、シュノーケル、足ひれの素潜りの状態で海の中をインストラクターの所に泳いで行った。
すると突然、インストラクターは私のマスクを取った。当然目の前は海水。目に海水が直撃して、痛いのである。ま、私はどういうわけかパニックにはならない性質なので、そんな状況でも冷静に判断して、トラブルを回避していたのだが、これはとても大事なレッスンだと思った。
足ひれを片方外してまっすぐに泳ぐ訓練とか、他の人のレギュレーターで泳ぐ訓練とか、方位磁石を見ないで三角形に泳ぐ訓練とか。他のダイビングのレッスン場所がやっているかどうかは分からないけど、この非常事態を想定したレッスンは、本当に大事だと思う。
◆
ゴーグルがあれば泳げるというのは、無ければ泳げないと、無くても泳げるだ。私は娘に無くても泳げる、あったらもっと泳げるということを実感させたくて、
(いいなあ、あの子、ゴーグルをして泳いでいる)
という娘の目をぐっとこらえて、買わないでいた。
買って与えるのは、簡単。
実に簡単。
だけど、それでいいとは思えないのであった。
◆
で、目を開けていられるようになったので、私は急いでゴーグルと、水泳帽を手に入れた。
それだけで、泳げるとは思わなかったが、約束通りに買って来たこれらを娘に見せたら、まるで『動物のお医者さん』のチョビのように、「俺はやるぜ俺はやるぜ」の目をしていたので(^^)、これは今日連れて行かなければならないと思い、夕方慌てて連れて行ったのであった。
第一声は
「うわー、泡が見える!」
であった。
その後、ワンストロークの平泳ぎのようなもので、1メートル進むことから始めて、水に浮くことが出来るようになり、5ストローク、私が橋の形をしたその中を潜水で潜って通り抜けるところまで出来るようになってしまった。いや、まさになってしまったのだ。私がアドバイスしたのは、平泳ぎの手を
『スプーンのようにしたらいいよ』
と言っただけである。
あとは、防水デジカメで撮影していただけである。
私は、娘が初めて歩いた瞬間を見ている。そして、今回、初めて腕輪を外して泳いだ瞬間も見ることが出来た。なんと幸せなんだろうと思う。
◆
泳ぎ終わって着替えていたら、プールサイドにいたおじいさんに声を掛けられた。
「いやあ、凄いですねえ。家内と一緒に見ていました。最初は勢いだけだったのに、最後は10m近く泳いでいましたね。感動しましたよ。私にも孫がいますが、ああいうようにはならないですねえ。なんというか、意欲が違いますねえ」
と言われた。父として素直に嬉しい。
『ありがとうございます。幸いにして意欲を沢山持って生まれて来てくれた娘なので、それをそのまま伸ばして挙げたいなあと思っています(^^)』
と答えた。
◆
実家の親に泳げるようになったことを電話して、祝ってもらった。動画は両家の親に配信したf(^^;。
寝る前に、娘にゴーグルのことを話した。
『実はね、お父さんはお前がゴーグルを買ってと言ったときに、すぐに買ってあげたかったんだけどね我慢したんだよ』
「?」
『ゴーグルがないと泳げない子になって欲しくなかったんだ。ゴーグルがあれば直ぐに泳げるとは思ったけど、それじゃあ、ないときには泳げない子になってしまうでしょ。沢山泳げる子になって欲しかったんだよ』
というと、娘は笑顔で首肯いていた。
◆
なんともドラマティックな夕方であった。
娘の人生の記念日の一つであった。
乾杯。
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