菊池先生の、そんな凄みを見せて頂いた
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友人の菊池省三先生が「NHK プロフェッショナル」に出演した。録画して見た。
驚いた。転勤して一年目の春を取材させると言うこと自体が驚きである。子どもたちとの人間関係の出来ていない転勤直後の一学期。しかも最高学年。保護者、職員室、管理職などの了承を得るそれだけでも相当のエネルギーを使ったと思われる。私も何回かNHKに出演しているので、そこのことは良くわかる。
また、今回の番組の作り方からすると、誰かを「悪者」のポジションに置かなければならないことは想定される。それは、今までに指導をして来たけど成果のでなかった先生たち、新しいものを求めていたときに菊池先生を非難していたであろう他の先生。もっと言えば、今担任をしている子どもたち。
それらが菊池先生の指導によって改善して行くということを描くことになろうことは、番組を引き受ける際に、予め十分に予測されることである。
そこを、それでも引き受ける。
ここがこの番組の表に出ないドラマだと思う。
◆
番組の方は、後半に山場があったと思う。
菊池先生の出演は、前半に多いのだが、教育を知る人は後半が山場だと理解するだろう。
菊池先生の発言の量が極端に減るのだ。
運動会、しかも、初めて取り組ませる創作ダンス。
ここの指導に際して、指示ことばが減る。
番組を見る限りでは、全体に掛けることばは皆無と言って良いだろう。
菊池先生がしていることは、全体を見守って、ポイントでリーダーにちょっとしたアイディアを与えること。そして、全てが終わってから労いの声をかけることであった。
これは、教育を知らない人には誤解を与えるかもしれない。
(え、どこがプロフェッショナルなの? 指導していないじゃん)
と。
しかし、違う。
見守っている菊池先生の中には、話したいことや自分がやってしまいたいという思いが渦巻いているに違いない。これをぐっとこらえて見守って子どもたちに任せる。転勤早々の5月にこれをするというのは、相当の賭けであり、腹の据わった指導なのだ。
◆
運動会で創作ダンスは失敗したように見える。
しかし、教師は運動会で創作ダンスを成功させることが目的ではない。子どもたちは成功させようと努力をする。それはそれでいい。
しかし、教師は違う。
教師の目標は、この運動会、この創作ダンスを通して、彼、彼ら、クラスの人間的な成長を促すことにある。そして、それはテレビの取材があろうと無かろうと関係のないことだ。3月の卒業式を目指して、このクラスをどう育てて行くか。それが菊池先生の頭にはしっかりと描かれているはずだ。
菊池先生の、そんな凄みを見せて頂いた。
再放送は、7月20日(金)午前0時50分~
http://www.nhk.or.jp/professional/2012/0716/index.html
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