「授業に関係のない話をする子どもがいます」
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野口芳宏先生は、子どもの発言には次の四種類があると仰っている。曰く、音声発言、ノート発言、表情発言、音読発言である。まさにその通りである。しかし、私はここの音声発言の中に「呟き発言」があると考えている。
子どもたちは、教師の指導言(指示、説明、発問)に対して、「呟く」。その呟きは、疑問、反論、驚き、喜び、怒り、悲しみなどである。つまり、ぽろっと出てくる呟きには、子どもの本音が出ているのだ。この部分を無視して授業しては深い所に辿り着くことは出来ない。子どもの本音を無視することになるからである。
ただ、教師の側の無視には何種類かの無視がある。
1)子どもの呟きが聞こえないので、結果的に無視。
2)子どもの呟きが聞こえたのだが、その呟きの意味するところが理解できないので、無視。
3)子どもの呟きが聞こえたし、その意味する所も理解できたのだが、その後の対応が出来ないので無視。
ま、どれであっても子どもの側からすると無視されていることには変わらない。
◆
昨日の教育実習生の授業の冒頭で、こんな指示があった。
「慣用句とは、いくつかの言葉が組み合わさって◯◯をもつようになった決まり文句です。何でしょう。」
というものである。
◯◯には、「意味」を入れさせたいという発問である。
これを授業で読んだ所、教室では
「文句?」
「文句?」
「文句!」
と呟きが広がった。
教師は、◯◯を考えさせたいが、子どもは文句に注目したのである。つまり、フォーカスが割れたわけである。
この状況で実習生は、2)を選択した。(後で確認した)
非常に勿体ない。
『文句が気になる? ああ、君たちひょっとして親に言われている?「いちいち文句を言うのではない!」とか。そうだねえ、その文句だねえ。だけど、この場合はね〜』
と子どもの呟きを拾って、解説をし、授業で扱う文句とは違うことを説明すれば、授業は深みを増したはずだ。
◆
「授業に関係のない話をする子どもがいます」
と教師が困る場合、
1)子どもが本当に授業と関係のない話をしている。
2)子どもは授業に関係のある話をしているのだが、教師にはその関係が見えない。
の二種類がある。1)の場合の原因の殆どは、授業がつまらないであり、子どもには責任はない。2)の場合、その繋がりを説明するのは子どもの仕事だが、なかなかそうも言えない。だから、教師がその繋がりを発見して、授業の流れに押し込んであげる必要がある。
それが、今回の「文句」のことなのだ。
ここが出来るようになると、授業が面白くなるのだ。時間はオーバーするけど(^^)。
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