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2012/12/05

子どもたちは忘れ物をしたくてしているわけではない

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(比叡山から琵琶湖を眺める)

本日の学級担任論は、忘れ物指導と遅刻指導について。忘れ物指導を重点的に。

忘れ物指導に当たる大前提は、「子どもたちは忘れ物をしたくてしているわけではない」ということである。それを踏まえて、どうしたら忘れ物が減るのかを考えて行く必要がある。

人間は忘れるという素晴らしい能力を持っている。

だから、忘れ物をゼロにすることはできない。問題は、大事なものを持ってくることを忘れないようにするにはどうしたらいいのか。これをその子どもの性格に応じて考えさせることにある。



考えるポイントは、次の3点。

(1)減らすには、移動するものを減らす。
(2)忘れ物のシステムを理解する。
(3)どんなものが忘れやすいのかを理解する。

(1)子どもが家と学校で移動させなければならないものは、かなり多い。『忘れ物の教育学』の家本芳郎先生の調査によれば、ある小学校では

1)学習用具。教科書・教材・ノートなどである。
2)筆記・文具類。ある学校の例だが「筆箱・筆記用具・消しゴム(無臭)・下敷(無地)・メモ帳・ハサミ・のり・セロテープ・定規・カッター・分度器・コンパス・バンドエイド・サインペン・マジック・色鉛筆(十二色以下)・十円玉一個(緊急電話用)・小型ソーイングセット(女子だけ)・くし(女子だけ)」とある。
3)宿題。学習に関連したレポート・作品などの提出物も、ここに入る。
4)提出物。清掃用のぞうきんとか保健指導上の検便など
5)提出書類。進路希望調査・家庭調査簿やPTAの出欠席・委任状などの類。
6)徴収金。学校納付金・PTA会費・社会見学費などのお金。
7)校則できまっている規則に関するしたく。交通安全カード・記名・生徒手帳など。
8)置き忘れ。更衣室に時計を置き忘れたり、音楽室に笛を置き忘れるといったこと。

のようになる。大人は仕事道具は仕事場においておくことが原則なので、子どものの方だけ圧倒的に大変だと分かる。学校に置いておけばいいもの、クラスに一つあればいいもの、学校にあればいいものと考えて共有、共用できれば、移動させることが無くなり、分母が減るだけに、忘れ物は減る。

(2)忘れ物はどういうプロセスで出来るのかを理解する。私は「忘れ物のの作り方」というワークシートで学ばせている。どこでつまずいたら忘れ物になってしまうのかを理解するのだ。自分の癖を理解することで減る。

(3)忘れものの少ない授業は、怖い先生の授業、楽しい先生の授業、面白い内容の授業だという。恐怖で減らしても、恐怖が無くなれば元に戻る。または、恐怖を乗り越えてしまっては元も子もないし、そのために最終的には暴力に走るようになる。これは却下。

後の2つは、実は先生の努力でなんとかなる部分である。先生が良い先生で、面白い授業をすれば、子どもたちは忘れ物をなくそうと思うのだ。だから、忘れ物の多い授業というのは、実は子どもだけの責任ではないと言うことが分かる。



「忘れ物をするな!」
という指導は簡単である。だが、それは指導ではなく単なる脅しの命令だと私は考える。どうしたら忘れ物が減るのか。それを子どもたちと考えてあれこれやる。その上で「忘れ物をするな!」というのであれば子どもたちも納得する。

担任は、学級に繰り広げられる問題解決型の学習を子どもたちと一緒にしながら、クラスを育てて行くのだと私は考えている。

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