『イノベーションのDNA 破壊的イノベーターの5つのスキル』読了
10/21
『イノベーションのDNA 破壊的イノベーターの5つのスキル』読了。著者の一人のクレイトン・クリステンセンの本は『教育×破壊的イノベーション』に続いて。これもかなりいい本であった。
著者は、10年に及ぶ研究から、イノベーションに必要な力は、5つあることを示した。それは、無関係そうに見えるものを結びつける力、質問の力、観察の力、ネットワーキングの力、実験の力だという。その内一番大切なのは、無関係そうに見えるものを結びつける力であるという。
これが、破壊的イノベーターには備えられていると言うことを、S.ジョブズをはじめとする世界中の数百人、数千人に協力を得て研究を重ねて得られた結果から書かれた本である。
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読み終えた私は、なんというかちょっと嬉しい。
私が苦手な部分は、イノベーター型に依拠しているところがあるからだと分かったからだ。イノベーター型と対比されるのが、実行型。本書の中にはこのチェックの問題があるのだが、私は見事にイノベーター型であった。
だから、私は実行型の人とペアを組めた時に仕事ができていたなと振り返ることが出来た。イノベーター型の人と、実行型の人は大事にする部分が違うのだ。前者は、壊して確かめて、問題を解決しようとする。後者は、動いているものをわざわざ壊す必要は無いと考える。私は前者そのものだ。
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5つのイノベーションに必要な力のうち最も大事にされているのが、無関係そうに見えるものを結びつける力だが、これはつまり、「謎掛け」であった。私が大学生時代からずっと大事だと主張して来たことが、あっさりとここで書かれていた。
私は、イノベーションは、蓄えられた経験、知識、考え方などの組み合わせだと考えている。その組み合わせの妙で決まると考えている。そして、それを実現させようとする強い意志を持っている人だけが、実現させることが出来るとある。
質問と観察とネットワーキングで問題の把握をし、実験で確認する。実験も色々な種類があることが書かれており、私がやっていたことは実験だったと分かった。
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イノベーションのDNAを持っている個人、それをどう企業のイノベーションのDNAにするかということも書かれており、これも見所。結論から言えば、イノベーションはありとあらゆる所で必要で、それは天賦の才能ではなく、トレーニングでできるようになるものであるということを述べている。
そして、それを教育の場面で行うこと大事だと書かれている。
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最後に、クレイトン・クリステンセンの謝辞の中で膝を打った場所を引用する。
「優れた理論は、研究者が理論で説明できないアノマリー(異常)を見つけようとしてくり返す研究のなかから産まれる。だからこそ、物事が予想通りうまくいかない理由を、進んで説明してくれた人たちに、大きな感謝を捧げたい」
私は、この文を読んだとき、理論を教育実践に置き換えて読んでいた。研究者を実践家にして、進んで説明してくれた人を指導課題を抱えている子ども達に置き換えて読んでいた。そうなのだ。
私たち、教育関係者も、イノベーターになる必要がある。そして、次世代のイノベーターを育てていく必要があると強く感じさせる本であった。
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