『反省させると犯罪者になります』(岡本茂樹 新潮新書)補遺
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『反省させると犯罪者になります』(岡本茂樹 新潮新書)補遺。
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教師になった年だったと思う。24、5歳の頃だ。
生徒が問題を起こした。その問題に関して職員会議で議論がなされた。
私は
『子供達にルールの幅を持たせてあげられないでしょうか? 白黒つけるのではなく、黒から白に移動して行く子供達を見守って指導して行きたいのです』
のようなことを言った。
すると、ベテランの事務職員が
「え、ルールに幅があるのですか?!」
と素直に驚かれていた。
私は
『はい』
と答えたのだが、それは職員会議で却下された。
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その時はここを上手く言語化できなかったのだが、つまりこういうことである。ルールは正論なのだ。正論だから
「守れ!」
でいいのである。何も問題は無い。
しかし、ルールを破る、またはルールを守れない子供達には、それぞれの事情がある。例えば、髪の毛が金髪の子ども。自分の興味でやっていることもあれば、先輩に脅されてやっている場合もある。色々な事情がある。あるが、ルールではダメ。だから、教師はダメと言う。勿論私もダメと言って来た。
が、そこにいろいろな事情、そう、教師から見たらくっだらない事情であっても事情があると言うことを受け止めてからの指導であるかどうかってのは、かなり大きな部分を占めると思う。私は分かっていても、だから何?と突っぱねるポーズをとるタイプの教師であったが、子どもの側から見るとこの問題、この世界はどう見えるのかを考えるということはして来たつもりだ。
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卒業式の前日にやっと教員の説得を聞き入れて髪の毛を黒くする子供達。まだ完全に黒くなっていないまま卒業式を迎えることもある。だけど、教育ってのは指導を受ける側が受け入れることが大事で、さらにいえば、瞬間で教育ではないわけで、いままでの指導の流れ、文脈のなかで何が行われつつあるのかと言うことが大事なわけで。
そこをバシッと抑え、またはスパッと切ってしまうのは、見栄えのいい指導にはなるが、子供達の成長を支える指導になっているかと言うと、疑問が残るわけだ。
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「え、ルールに幅があるのですか?!」
今なら、もう一度言える。
『はい。あります(^^)』
と。
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アマゾンで注文し、届くなりいっきに読みました。
自分の生徒指導のありかたを見つめ直してみようと思います。
ありがとう、うれしい、寂しい、悲しいなどの感情表現の言葉から自分の私生活ではっと思うことがありました。
本書のなかにハンモックのたとえが出てきますね。(^_^)
投稿: 宮城県の早坂です | 2014/02/20 21:21
(^^)。ハンモックには驚きました。
生徒指導を考え直すにはいい本だったと思います。
投稿: 池田修 | 2014/03/09 10:27