英断だ。 宇都宮市教育委員会が、教員の雑務軽減に動き出した。
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英断だ。
宇都宮市教育委員会が、教員の雑務軽減に動き出した。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20140305-OYT8T00485.htm?from=tw
教員の雑務軽減へ指針…宇都宮市教委
宇都宮市教委は、小中学校の教職員が児童生徒のための時間確保に苦労している現状を受け、業務を効率化、または簡略化する具体的な方策を盛り込んだ指針を作成した。
雑事や負担の偏りを解消して、子供たちと向き合える時間を増やすのが狙いだ。
2011年度の栃木県教委の調査で教職員の多忙ぶりが浮き彫りになり、市教委も12年12月、アンケートを実施した。児童生徒と向き合う時間が「確保できない」とする回答が約3割を占め、その原因として、文書管理や会計処理の負担、雑務の分担の偏りなどをあげる声が多かった。
これを受け、「教育活動及び指導の充実と勤務意欲の向上のために」と題するA4判17ページの指針を作成。市教委が各校に宛てる公文書の分量を減らし、内容の簡略化にも努めるとした。送付するメールの書式やシステムも統一する。会計処理では、多くの学校で教職員が授業の空き時間に銀行に出向いているのを踏まえて、「インターネットバンキング利用校の拡大」も打ち出した。
また、服務、経理、緑化、出席統計といった「校務分掌」が100種類を超え、その担当が一部の教職員に偏りがちである点については、「適切な配置に努める」とした。各種の作品募集にかかわる事務作業では、ボランティアの支援を仰ぐよう呼びかけた。
市立の小中学校など93校に2月下旬に配布し、今後の進捗状況は、市教委幹部や校長らでつくる委員会がチェックする。市教委学校教育課は「雑務の負担を軽減すれば、教職員は仕事にやりがいを感じ、学校教育の質が向上するはず」と期待している。
(2014年3月5日 読売新聞)
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まさにここである。
日本の教員の仕事の6割は雑務だという指摘があるぐらいだ。
子どもに向き合う時間がないのだ。
授業に向き合う時間がないのだ。
学級事務職が動き出すかもしれない。
この流れが加速することを願う。
しかし、その上でさらにどうすべきかを考えて行くことが増えて行く。
多くの雑務は、将来的にはコンピュータに変って行くことになるだろう。
だから、宇都宮市教委の英断は、実は過渡期の英断になる可能性がある。
そうではあっても、この英断はいま必要だ。
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しかし、この英断は実はもう一つの根本的な問いを提出している。
そもそも教師の本務は何なのかと言うことである。
普通に考えれば、現在の雑務を取り除いた所が教師の本務ということが言える。しかし、本当にそうなるだろうか。
教師の本務と考えられている部分もコンピュータに取って代わられることになるだろう。テストの採点業務。大学入試はマークシートになっている。日常生活の採点も、コンピュータがやるようになるだろう。Googleドライブでテストが行われれば、瞬時に採点と統計データが出る。また、手書きの試験であってもスキャンして、文字認識でおしまいということになるだろう。
さらに、教えるということについてもコンピュータの方に、その子どもに応じた教え方のプログラムが蓄積されることにより、マンツーマンで効果的に教えることが可能になって行くだろう。高校ではいままで禁止されていたICTを活用した遠隔授業が、2016年度から解禁されるようになる。
http://www.shijyukukai.jp/2013/12/2667
新人の授業の下手な先生より、授業の上手い先生のICTによる一斉授業の方が、生徒にとっては良いに決まっている。生徒は先生の成長にお付き合いする必要は無いからだ。
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一気に「教師の本務とは何か?」というところまでは話は進まないだろう。しかし、そちらに動き出すことはまず間違いないのではないだろうか。
いまから、今一度、教師の本務とは何なのかを考え、学生たちと議論を重ねて行きたい。
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